9/21 NICEインドFES🇮🇳学生ワークショップレポート「対話を通じて追い求めるリアリティ」

こんにちは、グローカルセンターインターン生のべるです🔔

この記事では、2024年9月21日に開催された「NICEなインドFES」と合わせて5FStudents Labで開催された、インドと日本の架け橋のプログラムやお仕事に従事されている企業人×学生の交流ワークショップの様子をメインでお届けします！

NPO法人日本インド文化経済センターの設立1周年を祝して開催された、イベント「NICEなインドFES」。

冒頭、京都信用金庫理事長/当センター相談役榊田さんより「インドについて一日どっぷり楽しむ日！いろんな方が出会って、新しいものを作り出す。そんな場でこのナイスなインドフェスが開催されることが嬉しい。NICEはインドの様々な文化、交流が生まれるようにする。近いようで、まだまだ遠い国インドを、様々な意味で日本と近くしていきたい。各階で行われる、インドのイベントを楽しんで欲しい。」というメッセージからスタートしました。

【NICEなインドFES全体のイベント】

〇パネルディスカッション

このパネルデスカッションにおいて、実際インドに進出される企業を交え、全体にこれから経済的にも活発になるインドと日本のコラボレーションの可能性に触れられました。「20世紀のモノづくりから21世紀のモノづくりに変化しつつあり、インドには21世紀のモノづくりを引っ張るポテンシャルがあるのではないか」という話がありました。今世界各国から注目されている事に加えて人口が日々増えており、若い人の莫大なエネルギーが秘められているという話がされていました。

〇トークセッション

トークセッションでは、アイティップス株式会社　代表取締役　クマール・ラトネッシュ氏よりインド現状の失業率の課題、そして日本の労働人口不足のかけ合わせこそが、真の連携可能性と、ご自身の事業を通じてアクションされている様子が現地での動画と共に紹介されました。

起業家としてこれまでのライフストーリー、どういう思いを持ち、どのようなことを目指し活動をされているのかが語られ

「失業しても再チャレンジできるようにしていきたい。」
「全ての頑張る人に幸せを」

というスローガンで、インドの失業率の課題・日本の人材不足、この二つの要素を繋げ、架け橋となる人材のトレーニングから紹介まで全てサポートしているとのことです。

会場はエネルギー溢れるクマールさんに惹きつけられていました。この話を基に、学生たちは後に開催されるインド企業の方×学生交流ワークショップでクマールさんに聞きたいことを考えていきました。

クマール・ラトネッシュ氏

【ゲスト】Ratnesh Kumar （クマール・ラトネッシュ）氏 アイティップス株式会社 代表取締役
名古屋生まれ名古屋育ち。 愛知県立千種高等学校卒、慶應SFC卒 10代に途上国開発に関心を持ち、 在学中にオンライン寄付 システムの特許を取得しソーシャルビジネスの事業化を経験 アイティップスでは、日本とインドの職人不足解消の為、 現地インドで技能訓練校を立ち上げ、職人を育成すると共に、 日本の現場とインドの職人を繋ぐプラットフォーム「oyakata」を開発中。 名古屋、京都、インドの拠点で学生インターン募集中です！！

【インドで活躍されている企業の方×学生の交流ワークショップ】

さてここからがこのレポートのメインになります。お昼にはカレーをいただき✨エネルギーチャージしたところで、会場を5Fに移しワークショップのスタートです😋

いただきますっ✨

前半のセッションで登壇された、アイティップス株式会社　代表取締役　クマール・ラトネッシュ氏と現在インドのニューデリーで活躍されている株式会社堀場製作所　経営管理部　新屋　怜央氏を現地からお招きして学生とのワークショップが行われました。(時差は3.5時間！)

本ワークショップでは、学生ならではの視点や疑問や気づきを基に、インドと日本の未来に焦点をおいて、自由にディスカッションを進め、学生の感性を取り込み、日本とインドの未来についての可能性を眺め、意見交換を行うことを趣旨として開催しました。学生たちからは、Slidoにて随時質問を回収し、率直な問いに基づき"リアリティ"を大切に会が進行されました。

▽学生からの質問（抜粋）
・インドの人から見て日本で就職する魅力は何ですか？給料面以外にありますか？
・日本のチームワーク力は世界でも、ものすごいレベルだと聞いたことがありますが、インドの人々の意見を知りたいです。
・読み書きのできない人々も沢山いるような地方では、インド政府は何か対処をしてくれているのでしょうか？
・カースト制の名残はどれほど人々の影響を残していますか？
・インドから見て日本の教育に足りないものはなんですか。
・前半のセッションでお話されていた、インドの人が日本の製造業に目を向けていないのなら、なぜ、どのようにインドの製造業と日本が繋がる必要があるのか？
・インドでのVocational Training の現状はどのようなもので、ビジネスを通じでどうアプローチをかけるか 
・インドと日本のスタートアップの違いは？
・インドの大学ではエンジニアリングとメディカルが大々的な選択肢だと聞いたことがあります。自分の目標に沿って、大学ではなく就職や専門学校などを選ぶ学生の方が実際、多かったりしますか？

〇チェックイン

今回のチェックインでは、呼ばれたい名前と今日期待していることを共有しました！

【今日期待している事】
〇映画の中で知った知識しかないので、もっとインドについて知っていきたい。
〇今持っている知識をこのワークショップを通して、もう一段階深堀できるようにしていきたい。
〇今、人口がいっぱいで、第二の中国と言われているけれども、実際現地で活躍している人から見てインドをどのようにとらえているのか知りたい。

〇ワークショップ

今回のワークショップは、学生がインドについて調べてみて気になっていた、トークセッションを聞いて疑問に思った「実際（リアル）ではどうなってるの！？」を質問して、クマールさん、怜央さんが回答してくださるという形で行元さんモデレートで進んでいきました。

※前提として、「インドには平均がない」「インド＝〇〇、インド人＝〇〇」と考えないようにというところを共有しました。

今回は、その質問と回答の一部をピックアップしてお届けします！

学生：パネルディスカッションの中でインドの第二次産業の人たちは日本の製造業に目を向けていないという話がありましたが、なぜですか？

クマールさん：目を向けていないことはない。日本にしかない技術もあってインドの第二次産業の発展には欠かせないと思っている。しかし、他の先進技術を持っている国と比較して日本の製造業に勤めている人や関わる人は英語が通じないという難点があるため、日本の製造企業がインドの第二次産業に参入しづらい要因としてある。加えて、日本は言語の理由で下に見られる。インドの英語能力は高いから、最新情報が手に入る。言語の壁が超えられるとより発展する。自己主張が強く母語じゃなくても積極的にトライする。

学生：ではやはり、英語は勉強していくといいと思いますか？

クマールさん：英語はただただツールであると考えている。実際、海外に出てみると文法もごちゃごちゃの汚い英語を使っている人がいっぱいいることに気づいた。そう思うと、日本教育の欠点だと感じたのが「完璧主義」だという事。その「完璧主義」を捨てることが英語を勉強していくうえで重要だと考えている。そうすることで世界と比べて日本人が苦手としていた、英語圏での活躍がよりしやすくなっていくと思う。

ーでは日本人が完璧主義を手放し、伝わる英語が実装されたら世界でのビジネスチャンスは広がるということですね

クマールさん：はい。日本語だけで議論されている研究や理論があり、勿体ない。可能性は大です。

学生：インドの人は日本の人と比べて人柄的にどのような差がありますか？

怜央さん：一般的にインド人は時間を守らない、気が強いというイメージを持たれていると思う。確かに、日本と比べたらインドには自分の思っていることをストレートに言う人やハードワーカーが多い気はする。インドの文化として気が強い人がいるというイメージは間違っていないと思う。けれども、時間をきっちりと守って、気弱な人もいる。このように一概に国で性格をまとめられないのは日本でも同じだと思う。だから、実際にインドに行くなどして、自分なりにインドという国、そして住んでいる人について考えてみるのが良いと思う。

クマールさん：北インドは、強い、ガツガツしている。南インドは優しい北インドはプライドが高い傾向があるように感じる。間違いを認められるかが大切。分かっていないのに分かったと言ってしまう習慣がある。弱みは？と聞いたときに「無い」と応える。強気な文化日本は過剰に謝るという大きな差がある。

※二次産業について～メイク・イン・インディア～
14年に政権の座に就いたモデイ首相は、製造業立国（メイク・イン・インディア）を掲げ、22年までに製造業比率を25%にまで引き上げる目標を掲げてきたが、14％前後で足踏みしている。怜央さんから、予めインドは、産業構造的に、第一次産業→第三次産業→第二次産業の順番で発展してきている背景もうかがった。
https://www.jbic.go.jp/ja/information/investment/inv-india202302.html

怜央さん：
そもそも、スローガンはできていないから掲げている。今はメイク・イン・インディアを外国資本を呼び込み加速させたい思惑があるが、インドは人件費が安いから機械が買えない。（人を雇った方が安く済むという阻害要因も）輸入関税を高めてインドで作らせようとする仕組みがある。

学生：都市と農村の大きな差があるからこそ日本が寄付しているお金は都市だけに留まっているのか？

クマールさん：都市の中でも、令和時代と昭和時代が共存している。昭和時代の人にお金を落としているだけでも効果はある。都市から半径200キロまでお金が周っている。日本の国益も考えながら本当の農村部には届いていないかも

学生：学校の授業でカースト制度について学んだのですが、まだカースト制度の名残はありますか？

クマールさん：私のエリアでは、あまりカースト制度の影響は感じていない。苗字でどの身分の人とかが分かることが多いため、カースト制度を意識しないようにするため、名前で呼び合う習慣が生まれている。身分では無く、実力主義な雰囲気があるため、全員がミーティングの中でストレートに話すことができている。
（玲央さんの滞在するニューデリーではまだ根強く残っている様子）

また、日本のミーティングとインドのミーティングを比べると大きく異なり、日本のミーティングは予定調和がされているミーティングが多く、確認だけ集まりになってしまっている（yesを強要されるようなミーティング）。それに対してインドのミーティングは予定調和などは一切なく、その場で初めて議論されることが多い。そのため、否定的な意見も出てくる前提で話し合われている。だからこそ、自身の意見をストレートに発することができる環境がある。（noも積極的に出てくるミーティング）

学生：インドで変わってほしくない文化や習慣はありますか？
クマールさん：キッズフレンドリーな国。そして、昔の日本のように、隣の家庭同士でとても仲がいい雰囲気がある。例えば、シャワーが止まるトラブルが起こった時には、隣の家の人がシャワーを貸してくれるという助け合いの関係がある。この関係は今後インドが更に発展しても変わらないでいて欲しい。

学生：海外の人と関わるときに、何を軸に関わっていったらいいですか？

クマールさん：昔は海外の人と関わるときは西洋中心だった。しかし、これからはバーチャルで国境も分からない、多層的な未来が生まれていくと思う。その時に大切なのは、自分の国に誇りを持つことだと考えている。多層的になるという事はいろんな前提をもった人と関わるという事。そこで自分の前提がすべてなくなってしまうと、自分が分からなくなってしまうと思う。だからこそ、自分の国に誇りを持つ＝自分なりの前提を大切にすることが真に大切だと感じている。

そして自分の前提を確立したうえで海外との接点を作ると自分の国の良い所と悪い所が俯瞰して見えるようになっていくと思う。そうして、みんなの前提・感性がいい感じに混ざり合う事を大切にしていきたい。

ただ、評論家にならないで欲しいと感じている。評論家になってしまうと、自分の意見を言うだけで行動に移さない人になってしまう。だから、自身の意見を大切にしながら何のためにやるのかを考えながら行動に移していってほしい。

このワークショップを通して、学生は、はじめインターネットや映画、学校の授業を通して知った知識を基に質問をしていましたが、現地で活躍されている二人から実際の知識・情報を教えていただくことを通じ、その知識が異なっていたり、かなり古い情報であったことに気づかされました！

【終わりに】

〇インターン生べるの感想
どれだけ公平な目で見ていようとしても、インターネットなど、正しそうで実際とは異なった知識や情報に左右されていたと実感しました。（そして人により見解が異なることも・・・！）実際に現地に足を運ぶことや、そこで活躍されている方に話を聞いて自分なりにイメージを付けて行くことが大切であると今回のワークショップを通して感じさせられました。

普段手に入れている知識・情報に対して「これはどこまで実際の知識・情報に近いのか？」とリアリティを追求して物事を考えていく必要がありますね！

遠いようで近い「インド」5年後のGDPはTOP3入りと言われており、日本とインドの可能性と未来を考える1歩目の大切な時間を過ごすことができました。

ありがとうございました。

執筆者
グローカルセンターインターン生
鈴木優太