見出し画像

「京都をレイアウトしなおす」ワークショップ

2025年1月18日に、ラーニングイノベーションプログラムの参加者によるワークショップの実践が行われました。今回はその様子を本ワークショップを開催したプログラム参加者自身がお届けいたします。

それでは、ご覧ください!


こんにちは。
今日はラーニングイノベーションプログラムにおいて、2025年1月18日に開催したワークショップ「京都をレイアウトしなおす」について、企画したメンバーがご紹介します。

今回のワークショップのゴールと背景

わたしたちは、「京都における楽しい移動を考えて、京都をレイアウトしおす」ことで「他の人の視点に興味を持つ」ことをこのワークショップのゴールに据えました。

背景

京都には魅力があり、多くの方が観光に来られますが、その結果として「オーバーツーリズム」が生じ、生活する人も、観光する人も「不自由な移動」を迫られているように思います。この状況を逆手に取り、楽しい移動とは何だろう。どの場所に楽しく行きたいだろうか。ということを考えてみたいと思ったのが、ワークショップを考えるきっかけになりました。

ワークショップについて

一見、「楽しい移動を考える」ことと、「京都をレイアウトしなおすこと」、そして「他の人の視点に興味を持つこと」は関係がなさそうですが、地図を使ったワークショップで、この3つの点を結んでみようというプランです。
まずチェックインでは、京都と聞いてイメージする漢字一字を書いてもらいました。「寺」など複数の参加者が答えた漢字もありましたが、京都と聞いてイメージする幅の広さを確認してもらいました。

チェックインの様子
出てきた漢字

空間設計について

このワークショップでの空間設計で特にこだわった部分は「没入感」です。京都をレイアウトしてもらうといっても京都に住んでいらっしゃらない方もいるから、京都であることを十分に意識できるように、という理由です。
原案時点では「京都盆地を再現する」となっていたのですがさすがに難しく、じゃあ一体京都盆地の何が特別なのかを考えたときに思い浮かんだのが「季節感のある景色」でした。それを空間設計として落とし込むために、季節に合わせた写真(今回は冬に行ったので冬らしさのあるものを選びました)を壁に張り付けたり、季節の花を飾ったりしました。

それ以外にも、ステレオタイプ的なものでもいいからとにかく京都を感じてもらおうと思い、千代紙の飾りを飾ったり、和風なBGMを厳選してながしたり、という感じで空間設計はワークのし易さよりも没入感に振り切った形になりました。

また、「京都と言えば美味しいお菓子!」という設計者の思想のもと、参加者の皆さんには「京都っぽいお菓子」を持ってきてもらうように頼みました。その結果、個性豊かなお菓子達(中にはパンも…!)が揃い、ワークをしながらお菓子をつまめる和やかな空間とすることが出来ました。また、実施者である私達もお菓子を持ち寄りました。特に空間設計の担当者は手作りの和菓子を持ち寄り、空間設計の一端を担いました。

手作りの和菓子

個人ワーク

個人ワークでは、地図から意図的に情報を減らした地図の上に薄いトレース紙を重ね、そのトレース紙に「楽しい移動」を書き込んでもらいました。

ワーク用の地図

この意図的情報を減らした地図は、国土地理院のデジタル地図をもとに
・道を可能な限り消して自由に考える余地を大幅に増やす。
・情報を少なくしすぎないようにある程度情報を残す。(建築物や線路は残した。)
上記2点を意識して、楽しい移動を創造的に考えてもらえるよう作成したものです。
当初、京都市全体の地図を作成したかったのですが、縮尺を拡大しないと情報が少なくなってしまったため、今回のワークでは京都市中心部の地図を用意しました。

個人ワークスライド

10分の個人ワークの中で、配布された地図だけでワークに取り組む方、インターネットを見ながら自分が通りたい場所を確認する方など、ワークへの取り組み方にも違いが見られました。

活動の様子

グループワーク

グループワークでは、個人ワークの結果についてグループ内で発表した後、すべてのトレース紙を重ね、さらにグループでもう一つ楽しい移動を追加してもらいます。

今回のワークショップでは、グループワークの時間を長く確保し、淡々に個人ワークの結果を報告するのではなく、
・なぜその場所を通るのか
・なぜその移動方法だと楽しいか

など、それぞれが考えた経緯と背景についても共有する時間を取ったうえで、グループワークのお題に取り組んでもらいました。
グループワークは、お菓子を食べながら、かなりリラックスした環境の中で進み、ほかのメンバーの個人ワークを聞くパートでは、「そんなスポットがあるなんて知らなかった、私も行ってみたい」といった声も聞かれる中、意見交換が行われていました。

後半のパートでは、「こんな移動方法もあるのでは?ここはやっぱり通りたい」など、何を追加したら楽しいかについて、各チーム検討を行っていました。

ワークの発表

グループワークの発表では、それぞれのグループから、個人ワークで出た内容とグループで追加した内容の両方について発表をしてもらいました。

個人ワークで出たものをまとめつつ、足りないパーツを追加したグループがあれば、個人ワークで出たものとは全く違う要素を追加したグループがあり、3グループそれぞれの新しい地図が出来上がりました。

Aチームのワーク
Bチームのワーク
Cチームのワーク

また私たちは欠席者も参加できるようなワークショップにすることも目標にしていて、欠席者に事前にワークを依頼しており、提出してもらったワークについても発表を行いました。
欠席者に対しては、当日参加者とは異なり「道路を1本書いてください」という問いかけのもと、ワークを行ってもらいましたが、北の方に伸びる道路が多い結果となりました。

欠席者チームのワーク

まとめ

まとめの時間では、今回のワークの背景について説明しました。移動というと、単に場所が変わることだけをイメージしがちですが、「どこからどこへ、どんな方法で、どんな速度で移動するのか」を考えることで、時間軸も含めて、わたしたちが京都をどう見ているのかが表れることを説明しました。
また、情報を減らした地図の上にトレース紙を載せることで、新たな地図を作ることになり、京都をレイアウトしなおす感覚を味わってもらったことの説明を行いました。

~参加者の振り返りコメント~
・移動は多くの人が日常的に経験するものだと思うので、現状だけでなく、もっと楽しめる ようにするにはという未来まで考えるということが学びの変革につながりそうな気がした。
・チームでトレース紙を重ね合わせた時に、それぞれの京都への想いや移動への価値観が混ざり合って、よりリアルでかつ新しい京都のあり方が立ち上がってくるワークだった。
・京都に限らず、他の街でもできそう。
・その土地を知っている人や観光関連の人には、オーバーツーリズムの解消に向けた課題解決の一つの手法として有効だと思った。

~企画者の振り返り~
実際にワークを企画・運営してみて、チームの雰囲気がよく、足りなかった部分、出来なかった部分は互いに協力してカバーできたように思います。
当日の会場設営に時間がかかってしまったのは反省ですが、最後まで作りこんだ空間設計により、参加者に没入感を感じてもらえたようです。
メンバーで悩んだうえで、ワークの意図を全部最後に説明したものの、先に説明したほうが、ワークの意図が分かりやすくなり、学びの効果が高くなったかも?という話になりました。
「楽しい移動を考える」というワークをツアープログラムに落とし込んでいた参加者が多かったので、当初私たちが描いていた想定とは異なりますが、ツアー企画として設計するのもいいかもしれないと思いました。

終わりに

今回は「京都」を題材にしましたが、街は共有の資産として、私たちの生活に密着しています。身近だからこそ、他の人が街を見る視点について、考えることはあまり無いですが、ワークを通じて、他の人が街をどのように見ているか。について興味を持つきっかけになればと思います。

<What's Learning Innovation Program?>

このプログラムでは、高校生、大学生、社会人の垣根を超えた多様な背景を持つ参加者が、月1回程度×6ヵ月間のプログラムで相互に学び合い、共創・実践する機会を通して、「学ぶ力」、「学びをデザインする力」を身につけます。公益財団法人トヨタ財団2023年度イニシアティブプログラムから助成を受けて実施しています。

本プログラムの目指すサイクル
(今回は⑤のワークショップの実践の部分です)

本プログラムでは、キックオフの後、3回のゲスト講師を交えた参加型ワークショップを行い、ワークショップを経験してきた参加者がチームを作りました。その後、各チームがワークショップを実践するための企画会議をしてきました。そして今回がワークショップの実践の会でした。

今回のレポートはワークショップの実践part3でした。
本プログラムは5チームに分かれているため、ワークショップの実践レポートは5パート構成となっております。
これから随時part4、part5をお届けいたします!
どうぞ、お楽しみに!


いいなと思ったら応援しよう!