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【report】5/20 What's ELV? 役割を終えた自動車の現状を見つめて、未来を考えるオープンセッション
こんにちは!グローカルインターン生の三谷翔です!
このイベントでは、豊田通商株式会社で豪亜中近東・東アジア自動車部で、オセアニアグループに所属しておられる稲田さんとノアさんにお越しいただきました。今回、長年この問題に取り組む豊田通商株式会社さんから学生と是非このテーマでディスカッションしたい!と頂き「若者世代が考えるELVの未来」について学生と社会人交えてセッションを行いました。
答えを探す時間ではなく、未来に向けて学生の感性を取り込んだ上で進みたいというのが趣旨です。
オープンセッションの概要はこちら
📷Darren Jamesより
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ELVとは?
ELV = End of Life Vehicle(エンド・オブ・ライフ・ビークル、以下ELV)、役割を終えた車が再び誰かを支える、循環型社会の自動車リサイクルです。
日本国内ではリサイクル率99%が達成されているものの、製造産業やリサイクル設備が未整備な島嶼国において、寿命を終え た自動車(ELV)の投棄が社会問題になりつつあります。
そんなセッションテーマで今回は、計6名の学生(内1名名古屋からオンライン参加)と社会人1名が参加してくれました~。
そこで話された当日の様子をお届けします!
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<テーマに係るお話/困りごと共有>
稲田さんとノアさんからELVの問題や解決に向けて困っていることを共有していただきました。
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<Q&A:参加者で出てきた問い>
Q:1年間にどれくらい売っているのか、何台捨てられているの?
・担当している島にはすべての車会社合わせると約2万台、トヨタは約6000台ほど販売している。(オセアニアの島国は100以上存在し、国によって違うので正確な数字はわからない。)
・人口は一番大きい島で800万人ほど。
・車の寿命は平均15年ほどなので、15年前の6000台は廃車になっている可能性が高い。
・1世帯当たりの家族が多く、公共機関が充実していないので島の生活では車が必須な生活。電車はほぼなく、ほとんどがバス。
・1次産業か3次産業がメインで、鉄鋼業や製造業など加工する産業はあまり栄えていなく、設備などの環境が整っていないため、発展もしにくい。
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Q:自動車産業日本国内ではリサイクル率99%が達成されていると伺ったが、残りの1%や99%の内訳はどんなもの?
・どうしてもリサイクルできないダストがでてしまう。昔リサイクルできるけどされていなかったものは近年99%されるようになった。
・日本でのリサイクル出ているもので、燃やしているものも含まれていて海外の基準だと、全然リサイクルされていない(約80%リサイクルされている内の60%が燃やされている:サーマルリサイクル)
Q:通商さんが、お金関係なく、リサイクルをするときは、そこに集めて、リサイクルしてスクラップする構想はある?
・インドネシア、タイ、マレーシアに工場があるので、そっちに仕向けることができる。しかし、海外の工場では、日本で部品を送って組み立てているだけなので、加工する技術や労力がなく、分解しても、結局日本に帰ってくる形になる。
Q:なんでトヨタはこの問題を問題視しているの?
・きっかけはハイブリットのリチウムイオン電池が捨てられたらやばいことになることから。
・今はわざわざリチウムイオン電池を外し、再加工して輸出や別の製造過程に流している。
そこで、「電池を抜いた後の車はどうしているの?」という観点から問題視をするようになった。
・他のメーカーも全く同じことをしていて同じ状態だと思うのだが、連携は取れていない。
Q:日本以外の部品を組み立てている国で部品を製造したり、再加工し自動車を作るという状態をつくるのはどうだろう?
・エジプトでは加工品を組み立てるだけだが、製造をする場合年間2000~3000台(1モデル)作らないと赤字がでてしまう。そのため、日本から持ち込んで、組み立てたほうが安い。
・オーストラリアには昔工場があったが、年間30万台~40万台作っていたが、少なすぎるといわれてつぶれた。
・海外は賃金自体が高い
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〇国の土地にあった車を作る/共通の規格を作る
・リサイクルのしやすい車に考え直す
・エンジンからモーターに変えるだけでリサイクルしやすくなる
・今、自転車は部品が統一化・単一化されている
→日本だろうがフランスだろうが、修理がどこでもしやすいようになっている。
・車も根柢の作り方を見直して、どこでも直せるようにしたらどうか?
→部品によって作りやすい国が変わってくる
・共通化の過程は見直しやすい。共通化したくないのは大人の事情でよくあること。
〇車に泊まるホテルや観光に活用する
・車が放置されている写真を見て「わざとおいているのか?」と思うくらい綺麗なものもある。
・車に泊まるホテルや観光に活用するなど観光地やアートとして利用できないのだろうか??
・最初のスペックとして観光業と連携する、市民の人の啓発として使えないのか?
・出張に行こうと思ってもリゾートホテルしかなく、バックパッカー向けや安く泊まれるような場所がない。
→バスが良く捨てられているので、うまく活用ができないだろうか?
Q:TOYOTAはどれくらいリサイクルや環境に対してお金を使っている?
・車の製造時に予算が組み込まれているなど、これだけ使っているという記録はぱっと出てこない。
・どれだけのお金が動いているかはわからないが一応、「トヨタ環境チャレンジ2050」というものがある。
<課題解決策の提案内容や深ぼられた内容>
〇考え方の視点を整理する:お金があるところからないところへ流す
・「車を島国から持ち出しで何かできるか考える」のは、現地の人や国だけの問題ではない。日本や欧米など経済的に豊かな国、環境先進国と言われる国の人たちは協力したいと思ってくれるのでは?
・海外の来月の暮らしさえ不透明なほど経済的に困っているような生活環境では「どれだけ給料があげられるか」「楽に仕事ができるか、さぼれるか」という世界で世の中を見ざるを得ない人たちが多い。
→その人たちに環境の話をしても、関心がない人が多く、それよりも家族にご飯を食べられるようにしたいなど考えている。
・お金を持っている人がどうやったらお金を使ってもらえるようなサービスを考えられるのか?税金にお金を組み込んだり、このお金でリサイクルされていますという風に動かしたりなど課題解決の解決システムを組めるのかという視点が大切になる。
・国に出してもらうとなると難しいが、来る人にお金を出してもらうかを考える。
・他の企業や行政・国などの連携は必要不可欠になる
・当事者や利用者が知らず知らずの内に社会貢献をしているような構造を生んでいるサービスが「ECOSIA(エコシア)」。
→一回検索するごとに、検索の収益の1部を植林に使うというドイツの企業があり、45回くらいの検索に1本木が植えられる。
・参加者は1年で4000回検索していた(約80本は植林している)
・自分は1円も払っていないけど、お金が動かしている貢献ができていると感覚を体験できるため利用している。
〇車を持ち込んでいる船に帰るとき、車を船に乗っけられないの?
・乗っけることは可能、しかしお金がたくさんかかる
コンテナ1個に対して行きは30万、帰りは5万くらいで船の運航が行われている。帰りは島国のお土産や資源など何かをのせて帰ってきている。
〇とりあえず持って帰ってくるのはどう?
・お金をかけてまでも、汚染する前に持って帰ってしまい、日本においておいたら何とかしないとって動くのでは?
→島国に放置していたらそれはそれで環境汚染が進行してしまう。
・トヨタ環境チャレンジ2050に載せたらELVを回収してますという打ち出しができる。
・持って帰る費用を外部から募る。
・TOYOTAだからできることというのを打ち出してほしい。
・募った金額のお返しとして現地や回収した車の見学券や、修理・買い取りを安くするなどを行う。
・回収した車を復元する。
→トヨタがやっている夢の車コンテストのように、回収した車の夢の形を実現してみる。(入賞した作品は実際に実現されているケースも)
<チェックアウト>
とても充実した話し合いの最後に感想共有が行われました。
〇参加者の声(一部抜粋)
・事前準備もなく参加したが、とても楽しかった。
・このような問題を考えることに価値があると思う。
・大手企業がローカルや日本と無縁な場所に取り組もうとしているのはすごく面白いと感じた。
・今日出たアイディアが実現したら車に興味がない人でも楽しめる社会になりそう。
・答えが見つかったというわけではないが、自分ができることから探していきたい。
・想像以上に楽しくて充実感に浸っている。
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〇ノアさんの感想
社会人3年目になったばかりですが、学生と話していて考えが固くなったなと感じました。利益やコストに焦点を当てすぎるのではなく、新しいアイディアを考えたり、次の世代の若者や顧客の考え方に焦点を当てたり、長期的な視点を持ってみたり、もっと勉強をして柔軟な考えを持ち仕事に反映できるようにしたいです。
〇稲田さんの感想
自分だったら何十時間かけても出ない発想がいっぱい出て学ぶことが多い時間で良かったです。車がなくてもいい社会が来るのであれば、車はなくてもいいものかもしれませんが、モノや人を移動させるために車は必要で0にはならないので、どうやって効率的にサステナブルにモビリティを提供していくのかずっと考えていました。少なくとも何十年かはこの問題に向き合っていかないといけないと思います。改めて「なんとかしないと」という使命感を受けることができて感謝の気持ちでいっぱいです。
〇インターン生三谷の感想
内容がボリューミーすぎて全ては載せきれませんでしたが、とても充実した時間となりました。大人が社会課題に対して見えないふりをすることや、解決に向き合わずブラックボックス化をして活動方針や具体的な解決が見えない状態が起きることが少なからずあると私は考えていています。しかし、今回、ELVの問題に対して学生と社会人が話し合い、アイディアを出し、稲田さんとノアさんが柔軟に学生の意見に頷き受け入れている場面がいくつかあり、とても嬉しかったです。社会人と学生がお互い気づきや学びを生んでいることが社会課題解決に向けて社会のインパクトを与えていくのではないかなと思っています。そのため、このような多世代が混ざりながら社会課題について話す場を大切にしたいです。
豊田通商の稲田さん、ノアさん、参加してくださったみなさんありがとうございました~!また、みなさんと集まってお話しできることを楽しみにしています。
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