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いざ、イマジネーションの旅へ〜 あっ!と驚くアートの世界 〜
2025年1月11日に、ラーニングイノベーションプログラムの参加者によるワークショップの実践が行われました。今回はその様子を本ワークショップを開催したプログラム参加者自身がお届けいたします。
それでは、ご覧ください!
0.はじめに
みなさん、こんにちは。グローカルセンターLIP芸術チームです。
今回は私たち通称「芸術チーム」が主催したワークショップをご紹介します。
ワークショップ名:いざ、イマジネーションの旅へ〜 あっ!と驚くアートの世界 〜
開催日:2025年1月11日(土)12:00〜13:30
芸術チームメンバー:アツヤくん、あべちゃん、ななこちゃん、みさみさ
さて、まずはこのワークショップができたきっかけをお話しようと思います。
私たちがなぜ集まったのか…アツヤくんが投げかけた問いがきっかけでした。
「善」と「悪」の二元論の論争が多すぎる気がする。物事には多面的な側面があるのでは?
特に芸術分野において、自分の中の正解が「善」、それ以外が「悪」という論争がSNSで頻繁に見受けられます。その構図に疑問を持ったそうです。
私たちはこのアツヤくんの問いから、「相互理解による自己認識のアップデート」を目的としたワークショップを考えました。
■参加者の特性
私たちは情報を一面的に判断してしまうことがあります。その判断はこれまでの環境や固定観念に影響されることが多いですが、それに気づくのは難しく、時に相手の意見を遮断したり、自分のこだわりに固執したりしてしまうことがあります。
■ワークショップの特性
芸術を体験することで、新しい感情や考えに気付き、自分をアップデートするきっかけとします。また、自分の想いを伝え、相手の想いを聞くことで相互理解と自己理解を深めます。
1.ワークショップの概要
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今回のワークショップでは、芸術を創作する「創作者」と鑑賞する「鑑賞者」を体現してもらうために、2つのグループワークを用意しました。
参加者は15人。高校生から社会人など属性が異なるLIPメンバーです。
少人数のグループワークを行うため、1グループ3人〜4人×4グループを作りました。
■チェックインと目的の共有
ワークの最初に「呼ばれたい名前」「好きな動物」「萌え・推しポイント」を全員でシェアしました。
「好きな動物」「萌え・推しポイント」は実は次のアイスブレイクにつながる要素となっています。もちろんここではアイスブレイクで何をするかはネタバレしていません。
チェックインではオオカミ、鳥、マーモットなど様々な生物たちが個性あふれる萌え・推しポイントと共に発表されました。
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▼チェックイン抜粋
オオカミ:何をしていてもかっこいい。動物園で見たオオカミが寝ているだけでクール!
ブラックバス:世界一大きいブラックバスが琵琶湖で釣れたことがある。とても夢がある生物。
カモノハシ:哺乳類なのに、くちばしや卵など哺乳類っぽくないところが推し。
チェックインの後は今日のワークショップの目標を共有します。
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■アイスブレイク
チェックインで各自の好きな動物がシェアされた後は、その動物をイラストで描いてもらいました。ポイントは形や体の構造、造形を意識して描くこと。
描いた絵はグループ内でシェアをします。
司会のアツヤくんから「イラストを描いてもらいます!」と発表をすると、会場からは「えーー!」と驚きのリアクション。
描いている最中も
「輪郭はわかるけれど顔がわからない…」
「オオカミを描いたはずなのにキツネになってる!オオカミの特徴ってなんだったっけ。」と悪戦苦闘している人も多くいました。中には
「小学校から鳥を飼っているから目に焼き付いてる!!」とスラスラ描いていく強者も。
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■ワーク①つくる
ワーク①では芸術を創作する「創作者」を体現してもらいます。
創作するものは『へんないきもの』の作品。
このワークは美術教育家の田中令さんのワークを参考にしました。へんないきものをつくろう〜共同で楽しむデザイン画〜 | 保育と遊びのプラットフォーム[ほいくる]
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まずは『へんないきもの』を描いてもらいます。
描き方について説明の後に、アツヤくんとアベちゃんでデモンストレーションを行いました。デモンストレーションは見やすいようにホワイトボードで行いました。
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デモンストレーションの後はいよいよグループでの創作です。
A3用紙に、ペン又はクレヨンを使って「へんないきもの」を描いていきます。
パーツを描くタイミングは司会からの案内で全グループ同じタイミングで描いていきます。
全体感を見て「かわいい感じになってきたから・・」と担当のパーツをかわいく描く人や、インスピレーションで独特のパーツを描く人たち。様々な人たちが描く、4つのへんないきものができ上がりました。
『へんないきもの』を描いた後は、次はそれを作品にするために説明パネル(創作者)を書きます。
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それぞれのグループで様々な方法で絵に意味づけをしていきます。
そして、最後に絵を額縁に入れて完成です。
【意味づけの過程の抜粋】
・「この毛って麺っぽいね。」というコメントに対してパーツを描いた人が「これは電波なんですよ~」とパーツごとの意味をシェア。
・「単体では生きてけなさそうだよね・・。きっと大きくても3センチしかないんじゃない」全体的イメージから特徴を推定する。
・「毛は短めのイメージで描きました」「じゃあ寒すぎる生息地は無理か・・。」とパーツの意味から生息地を推定する。
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■ワーク②感じる
ワーク②では芸術を鑑賞する「鑑賞者」を体現してもらいます。
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【他グループの説明パネルを作成】
絵を隣りのグループに回します。手元にある隣のグループの絵を鑑賞し、説明パネル(鑑賞者)を書きます。
どのグループも製作者の意図を想像しながら意味づけを行っていきます。
他のグループによって描かれたへんないきものパーツや全体感から特徴や生息地をより具体的に出していきます。また性格の部分もイメージを膨らましていきます。正解が無い為か合意形成の際に否定的な意見はなく、誰かの意見にのっかる、のっかり方式で意味づけが行われていきました。
【鑑賞】
1つの絵につき、「創作者」と「鑑賞者」の説明パネルができました。
次の時間は絵と説明パネルを部屋の中に掲示し、鑑賞会を開催します。
鑑賞のポイントはまずは絵をみて、自分がどう感じたかを味わいます。
その次は、「創作者」と「鑑賞者」の説明パネルを比較して何が違うのか、違いを見てどう思うか、また自分が感じたこととの違いを味わいます。
個性豊かな「へんないきもの」「説明パネル」を前に、個人個人が共通点を見つけたり、違いを発見したり、新たな発想を展開したりなど様々な方法で鑑賞を楽しんでいました。
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今回のワークでは作品パネルとして「創作者」「鑑賞者」の意図を可視化することで捉え方が違ってくることを体現してもらいました。また、それをさらに鑑賞をすることで「第二の鑑賞者」を作り出しました。これはまさにSNSなどで繰り広げられる論争の当事者と、それを眺める私たちの構図です。
私たちはSNSで誰かが評価したものをみることで無意識に第二の評価者になっています。
今回は「へんないきもの」を使ってその構図をおもしろおかしく体現していただきました。
■ふりかえり
最後にチェックアウトとして「①想像した生き物の推しポイント」「②あっ!と驚いた「発見」や「違い」」をシェアしてもらいました。
▼チェックアウトの一部抜粋
・自分が伝えたいことが必ずしも相手に伝わるかというとそうではないということを改めて実感しました。
・「いきもの」という固定概念があった為か、手足は4本、目の位置などどのグループも似ているものがあった。
・絶対に共通点などないと思ったが、何点か重なる部分もあり、わかってもらえた喜びと、新たな発想の気づき、優越感など色々な気持ちを得れた。
・手足が2セットあるという発想は驚き!
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2.芸術チームの振り返り
最後に学習環境「空間」「人工物」「活動」「共同体」の4つの要素ごとにこれからに向けて振り返りを行いました
※振り返り一部抜粋
【空間】
・アート空間を作る為、スタッフはもっと派手な格好でもいいかも。
・ワークショップ中に音楽がよかった。音楽を流すことでワークショップ内の雰囲気をワクワクしたまま維持できたんじゃないかと思う。
【人工物】
・美術品のように展示した(額縁に入れたのも含めて)のがよかった。音楽も相まって雰囲気も出ていたし、よりクリアーな気持ちで参加者も鑑賞できたと思う。
【活動】
・福笑いのように、それぞれのパーツを立体物にして(型紙などに描いて)、それを合体させるのも面白そうだと思った。
・“誰が何のパーツを描いているのかわからなくする“(参加者1人ずつに描いてほしいパーツを手紙などで伝えておく)。そうすれば何が書き足されているのか全くわからずよりカオスになってだからこそもっと独創的なものができるかも。
・「変な動物」というのもありだけど、「地球上にいない動物」くらい突飛でもよかったかも。意外とみんな動物の先入観を外れていなかったので、より答えのない感じを押し出すために、そういうお題にするのもありかも。
【共同体】
・立場、年齢が異なった人たちでグループでもフラットに話をすることができたと思う。
3.おわりに
今回のワークショップの目的は芸術作品を作り、鑑賞をすることで「相互理解による自己認識のアップデート」をすること。鑑賞会ではへんないきものを前に様々な意見が飛び交っていました。「へんないきもの」という正解がないものだからこそ、自由な発想で作品をみることができ、意見を交わせたのではと思います。そして、今回想定外の気付きは無意識に「共通点」を探しているということです。今回のワークショップは相手との「違い」を理解し合うことにフォーカスしましたが、作品パネルの「違い」をみると同時に無意識に共通点を探し、共通点を見つけると「合ってる!すごい!」と嬉しそうにしていました。
今回のワークショップでは自己認識をアップデートに繋げるにはまだ相互理解の為の機会がこのワークショップだけでは足りないとは思います。しかしこのワークショップで共通点があると嬉しい、でも違っても楽しいという環境を作り出せたことで相互理解をする為の自分の考えや相手の考えを聞く環境は作れたのではと思います。
ワークショップ企画の経験0スタートの私たちですが、私たちにワークショップを開いてくださった先生、ゲストのみなさん、よっぴー(本プログラムスタッフ)から学んだワークショップデザインを意識しながら企画を進めていきました。
何度もミーティングを重ね、その中は目的は同じだけれど方法Aがいいのか方法Bがいいのか・・妥協することなく対話を重ね、全員が納得のいくワークショップを作ることが出来たと思います。
「学びをデザインする」という点ではまだまだ改善をしなければいけないワークショップですが、このワークショップを作り出した過程はとても満足のいくものでした。
<What's Learning Innovation Program?>
このプログラムでは、高校生、大学生、社会人の垣根を超えた多様な背景を持つ参加者が、月1回程度×6ヵ月間のプログラムで相互に学び合い、共創・実践する機会を通して、「学ぶ力」、「学びをデザインする力」を身につけます。公益財団法人トヨタ財団2023年度イニシアティブプログラムから助成を受けて実施しています。
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本プログラムでは、キックオフの後、3回のゲスト講師を交えた参加型ワークショップを行い、ワークショップを経験してきた参加者がチームを作りました。その後、各チームがワークショップを実践するための企画会議をしてきました。そして今回がワークショップの実践の会でした。
今回のレポートはワークショップの実践part1でした。
本プログラムは5チームに分かれているため、ワークショップの実践レポートは5パート構成となっております。
これから随時part2~part5をお届けいたします!
どうぞ、お楽しみに!