見出し画像

6/27 「興味の深堀の先に、拡がる世界」株式会社 堀場エステック 代表取締役 堀場弾様

こんにちは、行元です。先日、堀場エステックの代表取締役、堀場弾様にグローカル人材論にお越し頂きました✨(グローカルセンターは、京都産業大学から委託され、「グローカル人材論」の講義をコーディネートしています。)

この授業では「働くとはなにか」をゲストの生き様に触れて考えることをメインとしています。

成功体験ではなく、もう戻りたくないくらい大変だった時のお話、失敗談や葛藤の部分にフォーカスを充てた貴重なお話をいただき、学生との対話形式で会が進められ勇気をいただきました。

弾さんご自身の原体験のお話から「世界における日本」の働き方や、リカレント教育が叫ばれる以前から、一人の社会人として世界と、自分と向き合い必要な学びを自らデザインしてやり抜く終わりなき探求・学びの重要性を感じることができました。

スイッチが入ったり背中を押されたりするのには、様々なきっかけがありますが、たった一人のかっこいいなという憧れの存在に出会うことが大学生活の醍醐味だなと思います。

弾さんからのメッセージは、学生よりむしろ生涯学習が叫ばれる中大人が必要なのではと私が背筋が伸びる思いでした。

海外で苦労した学びのエピソードとして、以下のスライドに基づき当時の心境や葛藤を赤裸々にお話いただきました。渡航前はTOEIC400点だったという英語も2-3年でコミュニケーションが取れるようになったものの、点数やボキャブラリーだけでは太刀打ちできない世界と対峙されたといいます。

仕事のベース、語学のベースがあってもグローバルビジネスの方向性、文脈を理解し、ビジネスフィールドでのアウトプットを即時に行うことはハードルが高かったといいます。ものすごくリアルな情景として、会議やディスカッションで、最初の15分、20分は何の話をしているか理解するところからはじまり、問題をどう解決するかの議論に至り、収束するころには何となく掴めるもののプロセスやポイントがクリアにわからない、、、一言も話さずに終えるということもあったそうでこの時の喪失感は半端なかったといいます。英語や言語を学ばれている方は共感されると思いますが、その悔しさをバネに、語学力と中身の理解の双方を意識し力をつけることを心がけたそうです。どんな仕事でも新しい活動でも苦労はするが、分からなかったときに1つ1つ、助けを求め、理解を深めることを心がけ、向き合われたそうです。

そこから更に自らを過酷な環境へ送り出されます。日常業務に加え、UC Irvine(カリフォルニア大学アーバイン校)のExecutive MBAクラスに通い、経営・経済・財務・マネジメント・マーケティング等を幅広く学び、実社会へ活用することを目的に、卒業までの2年間、レポート作成、試験・プレゼン、授業の発言・・・と社会人学生生活に邁進、没頭されたそうです。

プロジェクトマーケティングの授業では「ある会社が業績不振になりました。では、何が問題だった?」という課題が出されたそうです。リサーチアクション次第で情報はいくらでも得られるので、自分たちの視点(スコープ)をどうやっていれていくか?」という点を意識し、実際、スーパーのケーススタディの例-(お客さんにインタビュー)従業員の人を減らして人件費を削減できても、カスタマーサービスが落ちている?等分析を行いながら、課題が多くて大変な日々を過ごしつつ、そんなリアルケーススタディをMBA時代に行い、理論と実践とを往復し日々自己研鑽する環境で育ってきた人たちと、社会人になれば同じ立場で仕事していかないといけないという危機感を感じたそうです。

2023年 堀場エステックは 約60%が海外の人たちだと言います、会議も内容もグローバルのレベルで議論が行われています。

 アメリカでの生活が5年経った頃に、2008年のリーマンショックが。そこで直面したのは、雇用形態が日本と全く異なるということ。各部署からこの人がパフォーマンスが低いという評価があれば、即日即時退出。100人いる部署で25%売上が落ちると、20%人を減らして利益確保という経営判断がされる。まずは出張費、接待交際費を削り、レイオフも余儀なくされる。苦渋の決断で経営判断を実施まで行う経営のサポートをするミッションを背負われる中で、ジョブ型雇用*の厳しさ、リアリティに直面したそうです。

*ジョブ型雇用とは?
ジョブ型雇用とは、会社と個人が合意した職務内容(ジョブ)にもとづく雇用関係を指します。企業は経営戦略にあわせてジョブを規定し、職務遂行にふさわしい経験・スキルのある人材を起用します。ジョブ型雇用においては、職務や役割に照らして発揮された成果にもとづいて評価を行う点が特徴です。一方、個人は希望するジョブに就き、高いパフォーマンスを発揮するために、主体的にスキルアップやリスキルを行い、キャリアを自律的に形成する必要があります。
ジョブ型雇用では、会社と個人はジョブを介在した対等な関係になり、お互いが選び・選ばれる間柄になります。

なお、経団連の『Society5.0に向けた大学教育と採用に関する考え方※1』ではジョブ型雇用を次のように説明しています。
「ジョブ型雇用とは、特定のポストに空きが生じた際にその職務(ジョブ)・役割を遂行できる能力や資格のある人材を社外から獲得、あるいは社内で公募する雇用形態のこと」

こうした環境の中で、日本の働き方との違い、評価との違いのギャップ、「自分はそこで何ができるのか?」、常により良いものを求める志と次々と直面する次のハードル、健全な危機感を常に感じながら、将来的なビジョンを描き世界をフィールドに学び続けてきたそうです。

また、社長のリアルということで、超過密の貴重なスケジュールも見せていただき、秘書の仲野様の各方面とのご調整働きについても垣間見ることができ勉強になりました。

学生の感想が全てを表しているので、下記リアルな学生の声を抜粋したいと思います。

▽学生の声①自分にとっての気づき
私が今回のお話で一番印象強かった部分は堀場さんがアメリカで送っていた生活の部分にあります。特に映画でよく見るような即日即時オフィスから成績が悪ければ出されるという厳しい完全実力至上の世界にはとても興味がわきました。安定した生活は保障されていないが、自分がやればやるだけ上に行けるような所に興味があるからです。それに加えて自分から会社に自分はこんなことができるからもっと昇進、昇給してくれと売り込みに行くのが当たり前の文化にもすごく興味を持ちました。今回のお話でアメリカでなくても、とにかく海外に行きたいという思いが強くなりました。

▽学生の声②これからトライしたいこと
成功体験を積み上げて挑戦していくということで、成功体験を作るためにはたくさんの経験を積み上げなければならないし、その経験が成功でも失敗でも必ず意味はあると思います。経験を積むということは、簡単に聞こえ て実は簡単ではなく、与えられた機会の一つ一つを大切に爪痕を残していかなければならないと考えました。また、常にベストを尽くすとのことですが、本当にその通りで、いつこの機会が来るかわからないし、これが最初 で最後かもしれないと考えた時、人は絶対に中途半端にはしないと思います。もちろん今までも手を抜いてはいけないですが、前半に書いているように与えられたことはいつまた訪れてくれるかわからないので、毎回が最後、 毎回が勝負の場だと思って自分の出来ることを発揮すべきだと思いました。 

▽学生の声③
お話を聞いて自分に取り入れようと思ったことは、疑問は早めに解決しておくことです。自分は疑問を感 じる場面があったとしてもすぐに解決しようとはせず、後回しにしてしまうことが多かったです。それだと後々 になって自分が疑問に思っていたことを忘れてしまって、結局何も疑問を解決できていないことになるので、こ れからは疑問を感じたらその瞬間に解決するようにしていきたいです。

                *

堀場エステックさんの技術の変遷などについてももっとおうかがいしたかったのですが、今回は弾さんのパーソナルなご経験にフォーカスを当てたお話をリクエストし、あっという間の90分でした。

学生へのメッセージ:成功体験を積み重ねる重要性

「仕事をする時間、20-23歳から、40年働き続けなければいけない。毎日1/3ずつくらい、人生の多くの時間を仕事に投じる。多くの時間を過ごす中で、やりがいを持って働けるか?はやはり重要だと感じる。

自分も会社も成長できる継続して乗り越える、自分が壁にぶちあたって、成長のベクトルが上がる。

まだ経験していない、自分の世界や経験してない人と関わる。色々やってる間に楽しくなってくる。振り返ると全てしんどかったけれど、最後までなんとかした。1週間、1か月、半年なんとか。やっと卒業。そして3年、5年経つと、すごい強みになっている。あれほど大変なことはないだろうな。と思える経験を。
小さくていいので積み上げていくことを大切にしてください。」

次の世代に、勇気を与える経営者になれるよう私も務めていきます。

弾さま、仲野さま、本当にありがとうございました。
引き続きよろしくお願いいたします!

技術を通じて、世界の社会課題解決にアプローチしている内容の深堀については、別の機会でぜひともご一緒させていただければと存じます。

編集後記)
学生たちの眼差しが印象的でした。沢山の質問が飛び交い、授業終了後まで学生が残り。現状やりたいことと会社で実現できていることのバランスについて質問が及んだ時、「新しい技術をどう生み出すかは課題で、最近は各社人が足りない状態になっている。技術にしてもBusinessにしてもやりたいことが100%できている企業はないのではないか。質も、数も、入って欲しい人がとれてない。」

というお話は印象的でした。

こうした時に、まずパーソナルにお互いを理解し合い、この人の夢や見ているビジョンの実現に自分も投じてみたいという入り口は大いに重要であると私は感じる。もちろん世界の流れや技術、自分の関心領域を入り口にした共感も重要だ。けれど授業で名だたる経営者のお話を聴けば聞くほどやはり「人」だと感じます。

また、世界の社会課題について私自身も「水(水道インフラ)」を巡る技術とその可能性について学びを深めたいので、水質改善、大気環境改善について等無数にある聴いてみたいことは次回に温めたいと思います!
 
本当にありがとうございました。

行元 沙弥

いいなと思ったら応援しよう!