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【活動報告】「グロービス開学15周年応援広告」シークレットイベント~応援広告の裏側、全部見せます!~

2022年3月3日、クラウドファンディングに3,000円以上の寄付をしていただいた方を対象に、プロジェクトの舞台裏を紹介するシークレットイベント「~応援広告の裏側、全部見せます!~」が開かれました。その内容をダイジェストでお届けします。

モデレーター

グロービス経営大学院
経営研究科研究科長 田久保善彦さん
副研究科長 村尾佳子さん(当時)

スピーカー(応援広告デザイナー・交通広告代理店勤務)

2016期オンライン 下總 良則(しもうさ よしのり)さん

美大を卒業後、プロダクトデザイナー、グラフィックデザイナーの経験を積み「デザイン×経営学」をテーマに活動。一般社団法人RACの理事やusadesign代表の他、東北工業大学 ライフデザイン学部 産業デザイン学科の准教授として教鞭も執る。

2018期オンライン 坪山 励(つぼやま れい)さん

一級建築士の資格を持ち、これまで新築・リノベーション問わず、さまざまなジャンルの建築設計を手がける。
現在は定額制で全国どこでも住み放題のシェアサービス「ADDress」のリノベーション・ディレクターとして拠点開発業務を担当。

2018期大阪校 奥谷昌明(おくや まさあき)さん

(株)ジーエークロッシングにて、クリエイティブディレクター、アートディレクターとして、ブランディングやコミュニケーション戦略などに従事。

2018期大阪校 山下敬介(やました けいすけ)さん

交通広告を扱う専門広告代理店・株式会社大阪オリコミのプランナーとして活躍中。

司会(G会幹事団)
2015期大阪校 三浦朋和 / 2018期大阪校 林久美子

イベントスタッフ(G会幹事団、事務局[当時])
2014期東京校 丸林英樹 / 2015期東京校 三嶋春菜 /
2017期東京校 田中雄一郎


不意打ち?だった応援広告の提案

三浦:対談に移る前に、今回の応援広告企画の動きをモデレーターのお二人と振り返ります。

2021年4月にグロービス開学15周年がスタートしました。それと同時に300人いるG会幹事団の中から50人ほどの有志が15周年を盛り上げるチームを決定し、企画・広報・制作チームに分かれて活動をスタートさせましたね。

田久保:みなさんのような豊かな発想力がない我々は、いっぱいイベントをやろうとか、有名人を呼ぼうとか、そういう話はあったわけですけど、まさか駅に広告出そうとか、ぶっとんだ企画は正直なかったんです。一番の悩みは、コロナなので皆さんに来ていただけない中でどうやって盛り上げるのか?が当時の課題でした。

三浦:グロービスに対する応援なので、当然許可がいるわけで、田久保さんと村尾さんにお話するわけですが、その前に我々はデザイナーを募ってラフを作って、それから持っていきました。話を聞いた時はどう思われましたか?

田久保:田中雄一郎という男からある日突然メールがきまして、「卒業生のみなさんがこういう企画を立ち上げてくださっています。クラファンしてボランティアの卒業生がデザインをする企画について相談がしたい」と。ゼロベースの相談に乗って欲しいという体(てい)でメールが来たんです。
 ただグロービスもブランド管理うるさいし、「大変ありがたいけどお気持ちだけ受け取らせていただきます」と答えるつもりで、三嶋さんとの打ち合わせに入りました。

 そしたら、みっしー(三嶋)がすごいプレゼンをそこで始めて。
だってデザイン出来てんじゃん!みたいな。
だんだん聞いている間に、これはもはや抜き差しならない、「NG出したら人間じゃない」みたいな空気になってきた。
 ふと気がついたら村尾さんが全然しゃべらなくなっちゃった。そしたらZOOMの向こうで村尾さんが感激してポロポロ泣いてるんですよ。
僕ね、村尾さんと20年ぐらい仕事してきたけど、泣いた顔なんて見たことがない。

村尾:今ももう一回あれを思い出して泣けてきます。言葉に表現できない…

三嶋:それだけ私達のことを愛してくださっているのだなとお二人から伝わってきたので「これは絶対に成功させなければ」と、逆に私達が覚悟を決めさせていただいた瞬間でした。

村尾:ああいう提案だと思ってなかったんです。本当に皆さんの愛がいっぱい詰まってて、なんだろう…もう本当、この仕事をしててよかったなって。そんな陳腐な言葉で表したくないような感動でしたね。
だめ、また泣けてきますんで。

田久保:なんか突然「もう私は満足です」とか言い出しちゃって(笑)
それでひとしきり村尾さん泣いたあと、ふたりで「田中雄一郎はなんちゅうものの持ってきかたするんだ!」ってちょっと怒ってたんだよね。

村尾:今となっては、はめられたのか、本当のところはどうだったんだろう?って

田中:はめたつもりはなかったんですけど、非常に微妙なラインだなというのは認識した上で、これはもう勢いで持っていくしかないと思ってぶつけました。
 三嶋さんからいただいたお話が既にすごく進んでいる状況をみたときに、僕自身も15周年のプロジェクト担当として(三嶋さんに)「ちょっと待ってください」と言うよりは、このまま通したいなと思ってミーティングを設定しました。

田久保:2021年の大きな出来事の一つです。僕的には。

村尾:スクールのみんな泣くくらい感動していると思います。
 東京(校のスタッフ)もわざわざ「(掲示場所の)半蔵門から帰ります」っていうスタッフが何人もいたし、私達がどれだけ感動しているか、勇気づけられているか、愛情を感じて幸せな気持ちになっているか。本当にお伝えしたいと思います。ありがとうございます。

田久保:私も●ックマンみたいなやつ(※新大阪駅に掲示)、早く見たいんですよね。

イベントはグロービス東京校、大阪校、そしてオンラインに分かれて開催されました

なぜグロービス経営大学院は応援されるのか?

三浦:11月に2週間という短い期間でしたけど、クラウドファンディングであっという間に100万円以上が集まりました。卒業生だけでなく現役生、本科生も参加いただいて、我々卒業生も嬉しかったですね。

村尾:GMS(グロービス・マネジメント・スクール)に一科目だけ出てくれた方とか、思いもかけない方からも応援してくれて、会社として30年になるグロービスの歴史を感じることができました。

田久保:よく取材で、なんでグロービスが短期間で大きくなったのか、うまくいっている理由を聞かれるんですが、間違いなく言えることは、「唯一大事なことは校風、文化」ということなんですよね。
 僕の知る限りにおいて、卒業生が学校を応援するために駅ナカ広告やってる学校は多分歴史上始めてだとと思うんです。それもみんなが楽しみながらやってる、みたいなこともひとつの校風だと思うんです。
 全てが校風、文化につながり、あったかい人間関係がそこにある。困った時にお互いに一言かけあったり、ちょっと手を伸ばしたり。そういう関係性を大事にしたいなと個人的にもすごく思うし、みなさんにも大事にしてほしいなと思います。

三浦:(交通広告は)感謝をどう見える化するかという一つの形になったと思います。みんなも(ありがとうと)思っていたんだ!ということがわかってよかったと思います。

卒業生デザイナーたちが込めた想い

次に、デザイナーの皆さんから簡単な自己紹介と、ポスター制作の際に考え、感じたことを教えてください。

後に「Graphis Poster Annual 2023」でSilverを受賞した下總氏の応援広告

下總:私が「やります」と言った背景は…
オンラインの同級生はそもそも一箇所に集まれない人たちですが、彼らも母校に対して何かしたいという思いがあるんじゃないかと(常々)思いつつ、参加機会があったのでジョインしました。

コンセプトは、(幹事団から)お話を聞いた時にその場でこれっっきゃないなと思って作りました。
 元々は「創造」と「変革」の文字をポスターに一枚1文字ずつ配置していました。「創造と変革の志士」として世の中に出て行くときに教え手のグロービスと学び手の私達、存在は2者いる。
 一文字ずつに分けることによって、街中でポスターが隣り合ってくれたら
キャンパスの外で熟語ができるというのが、私達とグロービスが卒業後に出会うメタファーになると思って作りました。

村尾:今日半蔵門駅でじーっと見て「変な人」してきたんですが、凄い目立っていて、(ポスター内の)文字も感激で。
『グロービス経営大学院 開校十五年の歴史は、母校で創造と変革の志士を育み、私たちそれぞれの道を拓いた時間でもありました。開校15周年。おめでとう、ありがとう』がじ~んとくるんですよね。
 私達以上に学校の価値を表現していただける卒業生がいるというのが宝だと思いました。それを表現するのって難しいし「そうそうこれなの!」って表現していただけたことが嬉しいです。

田久保:経営大学院としてこうありたいなと思っていたことが、このきっかけによって具現化して、下總さんが戻ってきて作ってくださって、ぐるっと一回転したのが嬉しかったです。

「おめでとう、ありがとう」というコメントなんですけどね。
こないだ、とある方に教えてもらったことがあります。
「田久保さん、”ありがとう”というのは最高の褒め言葉だよ」って。学校にとっては。「”難が有る”と書いて”有難う”でしょ」と。
 難しいことをいっぱいアサインしたんでしょ。学生の皆さんに山のようにアサインメント(※事前課題)を書いてもらったら、それは学生にとっては「ありがとう」だよね。
 ”難が無い”と書いて”無難”というんだよ。全然ハードシップなことをやらずに卒業させる学校はあるかもしれないよね。でもそれって無難な学校。
卒業生が「ありがとう」と言うのはめっちゃ大変だったということなんだから、褒め言葉なんだと、中国古典の師匠が。
 「おめでとう。でも大変だったぜ。でもよかったぜ」というメッセージと受け取ったんですけど、素晴らしいポスターを作っていただいてありがとうございます。

水戸M-SPOの大液晶スクリーンにも掲示された坪山氏のポスター

坪山:私は元々は茨城水戸特設キャンパスの1期生です。
それまでずっと茨城で建築設計の専門職として働いていて。専門職のスキルは上がってきたけど、仕事のスキルは上がっているか?というと自信はなかったんですね。そんな中、水戸にグロービスが出来て、これは自分に足りなかったものだ!と思って本科に進んで…かけがえのない3年間でした。

ポスターのコンセプトは「卒業生からの手紙」。
本業でやられている方がいるので、どうやって違いを出したらコンペに残れるかと色々考えましたが、素直に直球を投げようと。
(グロービスに)通ってよかったという感謝の気持ちを伝えようと思ったら「ありがとうグロービス」それしかないなと。
学校や事務局の方々が喜んでくれるのは成長した姿だろうということで写真をバン!と載せて。(グロービスの)各校を回って写真を撮って。
 今日、東京校内のボードに飾られているのを見て「参加してよかったなぁ」と思いました。

田久保:やっぱり最後は直球…グロービスっぽいですね。
ごちゃごちゃ言わずにやりたいことをやる。
 ど直球をまっすぐにいくということが グロービスがやってきたことだと思いますし、そこを狙っていただいた、それが残った。
いい笑顔とまっすぐなメッセージをいただいて、本当にストンと入ってくる。素晴らしいと思います。ありがとうございます。

村尾:わかりやすいので、ストレートに心に伝わってきます。
たまたま(私が)大阪校にいたときに写真を撮りに来てくださっていて、それがすごい感動で。そこまでしてくださる愛、そのプロセスも含めて社内学内で話をしたんですけど、本当に愛されている学校ってこんなに幸せなんだなぁと。スタッフもめちゃめちゃ嬉しくて。
 でも残念なのは、さっきから表現する言葉のボキャブラリーがこれしかないんかと…。

田久保:ボキャ貧状態ですよね

村尾:本当に嬉しかったし勇気づけられたし、どんだけ幸せな気分になったかを伝えたいんだけど伝えられないですね。本当にありがとうございます。

ボキャ貧になってしまった田久保氏(右)・村尾氏(中央)

奥谷:僕は15周年のイベント企画を最初知らなくて、隣にいるやまちゃん(山下)が「ぜひやってみないか?」と声かけてくれて、面白そうだなと思って関わったのがきっかけです。
 で、三浦さんはじめ幹事の方とお会いしてお話を聞いて、みんなよくそんなに仕事しながらできるなと。単純に「すごいな」しかなくて、そんな皆さんの熱意をうけて、自分ができることは何かと考えてやらせていただきました。
 今回贅沢にも3つもデザインさせていただいて。なんとなく出したアイデアフラッシュをどれもいいねと言ってくださって、「折角考えてくれたから作ってよ」(と言われて)じゃあありがたく…ということで作りました。
 グロービスからのオフィシャルから依頼されていたら落ちる案だなと思いながら作ってたんですけど、自分達でやるからこそ、普段(グロービスが)できないことをできるのも楽しさかなと思って作らせてもらいました。

全国で掲示第一号となった奥谷氏のポスター

デザインについて
 15周年、卒業生からの感謝の気持ちはなんなんだろうなと考えた時に、
グロービスに来ている人たちって、グロービスが好きでワチャワチャやっているイメージがあって。
 最初は単科生で通うつもりだったのに、いつの間にか本科生になって、幹事をやるようになり、足が抜けなくなり、大きい集合体になっていく。大好きでしょうがない=モンスターたちの集まり。
グロービスの「G」のフォルムがパクパク食べて大きくなったキャラクターをイメージしました。

JR新大阪駅周辺に掲示された奥谷氏のポスター

「GO」は、15周年はゴールではなく次に進んでいくスタート地点であり、ここで止まることなく次に歩んでいこうと。
 グロービスから見た「次に行くところ」と、メッセージをくれた在卒生が「次に進んでいくところ」があり、色々な色が個性豊かに集まっているというイメージです。

グロービス東京校に展示された応援広告ポスターたち(右上の3つが奥谷氏作)

 青いポスターは「リーダーシップ開発と倫理・価値観」というクラスで出てきた「氷山モデル」をモチーフにしました。
 元々はリーダーって行動して見えていることしか伝わらないよねということを伝えるためのイメージですが、(逆手に取って)グロービスに通っている熱い想いは隠そうとしても隠せない、という表現にしました。

田久保:それぞれのデザインの中に物語があって、聞くとその話がわぁって流れていく。デザインも作り手によって色々な作り方があるんだなと感じましたし、最後に選ぶ側の方(G会幹事)が「落とせないよね、これ」と思った気持ちもすごくわかる。
本当にたくさんの時間とエネルギーを使っていただいたんじゃないかなと思います。心から皆さんに感謝したいと思います。ありがとうございます。

村尾:ちなみに昨日新大阪駅でみたんですけど、何に感動したかって、一番上の文字ですよ。「WE are globis loving monster」ですよ。「loving」ですよって。なんかもう本当にどうしようかと思って。この言葉の意味を思って心があったかくなって。
そういうふうに言ってもらえるってなんて幸せなんだろうなって。

田久保:みんな村尾さんを泣かせるかどうか競いあってます?
私だけじゃなくてもスタッフ一人ずつじんわりきていると思いますよ。
だってこんな風に表現してもらえる?って。奥谷さん狙ってます?

奥谷:そんな感激されると思わなかったので、本当によかったと思いました。

村尾:こんなふうに表現してもらえるんだという驚きと感動があります。
だって、ねぇ。なんだろう。本当幸せしか感じない。

田久保:ボキャ貧になってるよ。マジで我々、ボキャ貧ですね。

三浦:我々制作チームも(3つあるうちから)一つとして落とせなかったんですよね。誰も「じゃあこっちにしましょう」と言えなかった。
結果として奥谷さんには茨の道を進んでもらうことになったんですけども(笑)

村尾:これらのポスターは15周年に限らず永久保存版だろうなと思っていて。各拠点にずっと語り継がれるんだろうな。
スタッフもしんどいときにこれをみて頑張れると思う。
そんな存在になるんじゃないかなと思います。

グロービスの人的ネットワークならではの出会い

応援広告企画チームで中心的な役割を果たした山下氏(画面中央)

三浦:もう一人のゲストスピーカーである山下さんにもお話を伺います。

田久保:今回、これだけ沢山のクリエイティブがあって拠点があって、ぶっちゃけプロジェクトとしてはややこしかったと思うんですけど、スタートするまでのご苦労というか、このタイミングで正直思っていることってどんなことですかね?

山下:まず幹事の方からグロービスマイページの学生検索(※グロービス生だけが利用可能なサービス)で私を「交通広告」というキーワードで探していただいたらしいんですね。そこで急に知らない方(※三浦)からFacebookにメッセージがくるという、すごい巻き込まれ方だったんですね。
 こういう流れがあるんだというのが驚きでした。グロービスの大事にしている人的ネットワーク、こういうゆるいネットワークでくるんだっていう驚きがありました。

村尾:驚いてぶっちゃけそのときどう思いました?

山下:誰やろこれ?って思いました。セクション(※所属クラス)を調べたら、たまたま私をグロービスに誘ってくれた大先輩と同じセクションだったんですね。それで大丈夫だろうと(笑)
 もちろんグロービスの仲間なので信頼できるんですけど、グロービスは自前のデータベースがあることによってそれを信頼してスッと入ってスッと返事した思い出があります。

田久保:そんな巻き込まれ事故にあって早一年くらい経つわけですが、何が一番苦労のポイントだったんですか?

山下:「交通広告で応援広告をやりたいんだ」と呼び込まれたときは提案して終わりかなと思っていたんです。「ちょっとミーティングに参加してください」って言われて、いつですか?と聞いたら土曜日の22時半からやるということで、一回くらいだったらいいかと思って…

田久保:土曜日の22時半?三浦さん、なにしてんですか!

三浦:すいません、そこしか空いてなくて…

山下:そしたら毎週それがあるんですよ。
「次はまた来週ここまでにこれしてほしいです。こうしましょう」って合意が取られていって、それであれ?とか思って。

田久保:それブラッククライアントですね(笑)

三嶋:毎週山下さんにお願いごとをして宿題を持ってきていただきました。

田久保:みっしーが宿題出したんだ。あ~そういうことかー

山下:「これいつ終わるんやろ」って思いながらしてたんですけど(笑)、普段は僕黒子に徹しているんですけど、クラファンの声掛けしなきゃいけない場面とかありましたし、普段とは違う体験ができるところがグロービスネットワークの魅力だなということで、巻き込まれたまま今に至っています。

村尾:やっぱりいつもニコニコされているされているだけあっていい人だったんですよね。
でも意味づける力ってすごいなって。逆に違う感激ポイントで。
多分結果として巻き込まれて楽しかったと思ってくださっているんじゃないかなと勝手に思ってますけども、そういう人が人生楽しみながらいろんな経験を積まれて…

田久保:いやいや、ちょっと待って。山下さん一度も「楽しかった」って言ってないからね

山下:…………楽しかったです

田久保:ちなみにミーティングの巻き込まれは都合何回くらい参加されたんですか?(※計算して)30回はやってると…あ、今新しい質問が届きました「割に合わないとは思わなかったですか?」

山下:ちょっと思ったかな~(笑)そんなことはないですよ。
それ以上に色々な経験を積ませていただいたなと。

もうひとつ面白かったのが、昼休みに福岡校のG会メンバーの方にZOOMで繋いでいただいて、三浦さんと博多駅の掲示場所の良し悪しを確認したことです。
 ZOOM越しでリアルタイム映像を通して広告設置状況をみて、ワイワイ話しをながら、広告を評価して絞り込んでいったのは初めての体験でした。場所に相当のこだわりがあってこそのことだと思いますし、新鮮でした。

村尾:30回もそんな貴重な時間を費やしていただいたんだなということに改めて感動ですよね…。ありがとうございます。

田久保:僕、さんざん盛り上げてるのにそんなにしっぽりさせないでくださいよ(笑)

 最近思うんですけど、グロービスで出会ったことのないご職業の方はいないんじゃないかと思うくらいいろんな職業の方に出会うことが出来て、「元気があれば何でもできる」というのが私の座右の銘なんですけども、「グロービスにいると何でもできる」というのがリアルなんじゃないかなと思うくらい皆さんのおかげで成長させていただいたなというのが実感です。

15周年で何を思いましたか?と時々言われるんですけど、そんな場所にしていただいたというのが偽らざるひとつの気持ちだったりしています。

地下鉄仙台駅に掲示された応援広告

デザイン×経営

三浦:それではここからは切り口を変えてお話いただけたらと思います。折角デザイナーがいらっしゃっているので、デザイン思考、デザイン経営、BTC人材などといった観点から、お三方が実務をしながら感じていること、課題、ビジョン、志などを伺えたらと思います。田久保さん、よろしくお願いします。

田久保:G1のメンバーにTakramの田川さんがいらっしゃって、田川さんをちょっと口説いて、グロービスの中にデザインのクラス作ってくださいとお願いして作ってくださったんですね。
 皆さんの場合はそもそもデザイナーがMBA学びにきたということなんですけど、ぶっちゃけ、MBAってどんなふうに役に立ってるんだろうって是非伺ってみたいなーと思って来たんですが、なんか一言ずつ、そのデザイナーがもしくはクリエイトする方がビジネスを学ぶときにどういう効果が出ているのかって、どんな風に感じてらっしゃいます?

坪山:よくデザインするときも「お客さんのために」「クライアントのために」と考えるんですけど、それが本当の意味でクライアントのためになってなかったなと思うんですよね。
 例えば僕は建築設計になりますけど、建築家ってかっこいい空間を作ろうとするんですけど、でも本当にお客さんが求めているのって、その建築を使ってお金を稼ぎたいとか、人が働きやすい空間を作りたいとかだったりするんですよね。
で、微妙にずれてるじゃないですか。「かっこいい空間」と「お金をかける目的」。その認識が全然できてなかった。それがグロービスに入ってクリシンから始まり、ヒト系科目、カネ系科目と色々受けていく中で、あ。こういうことかと。自分はこの考え方を矯正できてすごくよかったなと思ってます。

田久保:ある種の顧客視点とかそういう話ですね。

奥谷:僕はお客さんの目的に対してデザインで解決してるんですけども、今までは表面的に「いいものをつくりたい」がメインでした。けど「クライアントの会社にとってどう影響があるんだろう?」と俯瞰して見ることが全然できていなくて。それを補うには?と考えて、グロービスと出会って「経営」を考えるようになって。(今は)経営者がデザインを見たときにどう感じるだろう?と俯瞰で考えられるようになったと思います。

田久保:やっぱり最終的にはビジネスをやっている人から発注を受けることが当然多いので、ある種の「経営者目線」で考えられる、もしくは経営者とそういう目線で議論ができるようになるという効用はすごくあったということなんですかね。

奥谷:そうですね。あと経営者の方から「デザインで表現するのが得意な人」という目で見られることが多いんですけども、会社のビジョンとか戦略の話ができるだけで「この人、ちょっと違うぞ」っていう。
感覚で作っているんじゃない、という説得力があるかなと思いました。

下總:「デザインと経営」って、自分からするとすごく似ているなと思ったんですね。
その理由ですが、デザインは「意匠」だと思っているんです。意匠っていうと、”見てくれ”のデザインのことと思われるかと思うんですけど、そうではなくて、考えることとそれを実現する力が両方合わさってはじめてデザインってできるんだよということを言ってるんですね。これが意匠の本当の意味なんですよ。

グロービスで「経営に大事なことって何?」ってことを沢山学びましたけど、その中でWillとSkillが大事ということを学んだんですよね。こういうことがやりたい、で、それをやるためのスキルが必要になりますと。意匠も実はWillとSkillなんですよ。
 デザインと経営ってすごい遠い世界にあるように思うんだけど、実は同じことを言ってるし、同じことをやってるんだなと、改めて自分の中で理解することができて。

 なので例えば経営の場に行って自分が何か発言するということがあるんですけど、今までのデザイナーであれば「経営の場に物申すというのがよくないんじゃないか」と思ってたかもしれないんですけど、自分もメンバーの一人だから言っていいんだよな、みたいな。そういうところは間違いないんだなと、このままでいいと思えたことが一番ですかね。

田久保:なるほどね。意匠か。
(Takramの)田川さんに「デザインってなんなんですかね?」みたいな議論をしたときに「人間が意図を持って作り出すものはデザインの対象にになるんですよ」って教えてもらえて。
 だから組織をデザインするというのは、人間が意図を持って作る組織だったらデザインの対象だし、キャリアデザインという言葉もあるじゃないですか。それも結局人間が意図を持って作ろうとするものであればデザインの対象なんだよね。
…ってなってくると色々広がるよね、みたいな話が今の下總さんの話と符合するところがあって。
 経営という概念の中にデザインという言葉が色々なところに使われるようになったというのも、原点をたどるとそこに理由があるのかな、なんていうふうに理解できました。ありがとうございます。

飛び込んで、巻き込まれて、得られたもの

田久保:ではちょっとその延長線上でいくつかお伺いできればなと思うんですけど、今回、日々のお仕事の合間を縫ってプロジェクトをやっていて、一番やってよかったな、こういうポイントがご自身にとって充実感があったなということってどんなふうに思っていますか?

奥谷:今まで関わりのなかった人たちとやれたということと、それをするにあたって、同じ目的・想いがあると色々できるんだなと思いました。
 普段クライアントワークをしていると、やもすると仕事のための仕事、デザインをビジネスとしてやることになるが、今回は皆さんの想いをどうやって表現できるか?と、いつもの仕事とは違う感覚で関われたことが頭の切り替えになった。追われながらやるのとは違う感覚。いろんな人と関わることによって考え、発想が広がる。いい機会を与えてもらいました。

田久保:ある意味ピュアになれたんですかね。純粋なクリエイターになれたというか。

奥谷:そうですね。普段仕事でやるのとは違って自由にやらせてもらったので、表現したいことをするというより、その想いをどう表現するか?を自由にやらせてもらいました。「いいクライアント」という感じですね。

田久保:その結果がLoving Monsterですからね

Loving Monster

村尾:今の、すごくいいヒントかなと思って。
 「いいクライアント」とおっしゃったけど、普段の仕事もクライアント、パートナーと同じ方向を向いて一緒に信頼関係を作っていいものを作ろうというところにピュアに向かえたらいい仕事ができる、同じなんだろうな。
 でもそれがピタッと揃うことはそんなに多いわけではなかったりして、だから違う意味で、やっぱり想いは大事なんだなということを学びました。ありがとうございます。

田久保:ちょっと話飛ぶかもしれないですけど、
正直僕ね、スタッフのモチベーションとか気にしたことがないんですよ。気にする必要がないという感じなんですけど。なんでかっていうと、皆さん(グロービス生)が勝手にモチベーションを上げてくれるんです。
 例えば卒業式ですごい変なことが起きるんです。お金を払っていただいて、努力したのは皆さんなんですよ。にもかかわらず、卒業式に来ると涙を流さんばかりの勢いで「ありがとう」って言ってくれるわけですよ。
こんな職場あります?世の中に?って。
 で、「ありがとう」のシャワーを丸一日浴び続けて、一年間分のエネルギーをチャージして一年間頑張るんですよ。うちのスタッフは。
これが卒業式と入学式で年に二回あるんで、もう十分…みたいな。そんな世界なんですよね。
 いい受講生・卒業生に恵まれて勝手にチャージして勝手に生きてる。だから僕はボス(堀学長)にモチベーションのケアとかしてもらった記憶があんまりないんですけど、そういう構造かなと。
 勝手にセルフモチベーションアップ装置を埋め込まれた感じなんですけど、それが今の話と紐づいちゃいました。

坪山:良かったことは奥谷さんと一緒で、今まで話したことがなかった人と
一緒に仕事ができたことですね。
 2018期オンライン生って横のつながりが強くて仲いいんです。
そこだけで満足してしまう部分もあったりして、今回(ネットワークを)広げることができたのがすごいよかった。大阪に行ったときはテンション上がりすぎてそのまま飲み会になだれ込むというのもあったし(笑)、それがすごい楽しくて、卒業してからこうして深く話し合えたのってよかったなと。

田久保:実はG会の幹事団も、その中でつながる人間関係がすごく楽しいって言ってる人多いですもんね。幹事団だけで300人いる同窓会って一体何だって感じしますけど。それは本当に幹事団なのか?みたいな。

村尾:でも一番恩恵受けているのは我々だなと今の話聞いて思っちゃいました。本当に皆さんが関係を作っていただいて、で今回みたいにこういったことをしていただいて、学校のスタッフ一人ひとりが本当に感動したので、なんだろう…嬉しい。そんなものを一方的に享受したなと今回本当に思っちゃいましたね。ありがとうございます。

田久保:今日の考察。本当に嬉しいとボキャ貧になるという…

村尾:本当に(言葉が)それしかない。

再びボキャ貧に見舞われる田久保氏(右)・村尾氏(中央)

下總:私もお二方とほぼ同じなんですけど、総じて「いい仕事できたな」と思えたことが一番かなと思います。卒業して皆さんとのつながりができたこともそうですし。
 デザインって最初ラフ案なんですよね。コピーも全てラフでとりあえずはめてみて、後から原稿を考えていこうと。(そうしたら)最終稿になっていけばいくほどデザインの精度が上がっていったなという実感があって、素材原稿の良さというか、お祝いのメッセージをくださる皆さんの想いもそうですし、関わっているチームの皆さんの想いもそうだったし、向いている方向はみんな一緒だったと思えて「いい仕事ができたな」と。

田久保:山下さん、このプロジェクトをやってみて良かったことがあったのか、なかったのか、いかがでしょう?

山下:ありがとうございます。もちろんいいことはありました。
例えば、さっき「黒子に徹する」という話をしたんですが、自分が作ったものでもないデザインでこんなに喜べるというか…
最近Facebookの投稿をやめていたんですけど、3/1に新大阪でおくちゃん(奥谷)のポスターが出た時は、これは投稿するしかないな!と、出勤途中の朝8時くらいに、私全然(通勤)方向違うんですけど逆走して新大阪で自分たちが今まで作り上げた広告を撮って、自分も収まっとかなあかんなと思って、自分の成果物でもないのに一緒に撮るという広告主気分を味わえたのが新鮮でした。
 後日談としては、他の方も写真撮って投稿しているのを見て、交通広告の魅力…誰でも見られる公の場所で広告が出せる…という価値を届けられているんじゃないかというのも重なって嬉しかったです。

田久保:ありがとうございます。三浦さんどうですか?

三浦:グロービスのスタッフの皆さんがモチベーション装置に組み込まれているというお話がありましたけど、G会の幹事団も全く同じだなと思いましたし、このプロジェクトも全てやりたいからやっていたんですよね。一秒たりともしんどいと思ったことはなくて、これだけの皆さんのパワーと、更に「こうやってこの人達は仕事するんだ」というのを間近で見られて新鮮でしたし、(5年前に)G会幹事団に立候補してよかったと思っています。

田久保:じゃあ今のコメントを聞いた村尾さん、豊かなボキャブラリーで語ってください。

村尾:既に涙目なんですけど…今のG会幹事団も一緒だなとか言っていただけるということ自体がすごい感動。なんかこう、ほんとに…ありがとうございます。

田久保:三浦さんも泣かしましたよ。

夜に映える水戸M-SPOの応援広告

モデレーターから締めの言葉

村尾:まずは幹事団の皆さん、それからクラウドファンディングにご協力いただいた皆さん、本っ当に本当に心から感謝しています。そして今日はボキャ貧で言葉がないので、こんなに感動して嬉しいんですっていうことを、どれだけ皆さんから力をいただいているか、15周年に限らず日常からずーっと皆さんがいてくれるからスタッフは頑張れるし、学校としても皆さんに恥じないように進化していかないと、という思いでやっているので、改めてこの節目のタイミングで皆さんからの愛を沢山受け取って、私達もそれにもっともっと応えていきたいっていう思いをまた強くした時間にもなりました。
 ずっとこの先も続く学校になれるように皆で頑張っていくと思いますので、これからもこの関係性をより深くしていただければと思いますし、一緒に学校として成長していくことができたらなと思っています。本当にありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

田久保:これまでの15年間を支えてくださったことに本当に心からお礼を申し上げたいと思います。
 GDBAの一期生から今年入って来てくださる2022期生まで何も変わることなくこの学校を支えて一緒に作ってくださっている、そんな仲間がこの学校の全てだなって。本当にそれに尽きるなって思います。
 グロービスの基本戦略は何かっていうと、やはり「おんぶにだっこ」戦略なんですよね。皆さんに「ゴメンナサイ」「お願いします」といっておんぶしてだっこして、協力を仰ぐと。この基本戦略は多分未来永劫変わることがないと思います。
 生暖かく見守っていただきつつ、しっかり支えていただいて、この学校が皆さんの母校として恥じない、立派な学校になっていくように学校のスタッフ一同努力をしていきます。それをまた引き続きお支えいただけたらそれにまさるパワーはないと思っています。
 「元気があれば何でもできる」本当にそう思ってます。
 そしてもう一つ、やっぱり「仲間がいれば何でもできる」ということをこのグロービスのG会の皆さんに強く強く教えていただいている、そんな気持ちです。
 この(15周年)プロジェクトは(2022年3月末で)一旦の終わりは迎えますけども、これから先も本当に末永くこの学校のことを見守って支えていただければと思います。本当にありがとうございました。

最後は15周年ポーズで記念撮影

三浦:ありがとうございます。ただのファンイベントじゃなくて、この2時間を通してグロービスと卒業生の絆がさらに深まったんじゃないかと本当に思いました。
今回来ていただいたゲストスピーカーの皆さん、どうもありがとうございました!

イベントを終えて記念撮影@大阪校
イベントを終えて記念撮影@東京校


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