チームで盛り上げるファシリテーション
はじめに
GLOBIS 学び放題 / GLOBIS UnlimitedのCPO(Chief Product Owner)と法人向けプロダクトのPMをしている久津(@Nunerm)です。
8/4にdevPMさん主催の「開発PM勉強会」のVol.13に登壇させていただきました。当日は150人近くの方にご参加いただき、大変盛り上がったイベントとなりました。
この記事では、私がお話しした「チームで盛り上げるファシリテーション」について、詳しく解説します。
チームで盛り上げるファシリテーション
当日使ったスライドはこちらです。
この登壇では、フィードバックが出てこないスプリントレビューを改善するために、チームでファシリテーション改革に取り組んだ話です。スプリントレビューに特化した取り組みのため、必ずしも全てのミーティングに適用できる内容ではないかもしれませんが、スプリントレビューに悩んでいる方々も多いと思いますので、何かの参考になれば幸いです。
なお、この取り組みはチームメンバー主導で行ったもので、私はほぼ何もしておりません。たまたま主催者の浪川さんにお声がけいただき、チームの代表者として私が話しただけでございます。
スプリントレビューがうまくいってなかった頃の状況を解説していきます。
法人向けプロダクトは、toC向けに比べてステークホルダーが多くなります。GLOBIS 学び放題は人材育成にご活用いただくサービスであり「導入しただけですぐ成果が出る」といった類のものではありません。活用方法も成果が目に見えるスピードも組織状況によって変わります。よって、セールスやカスタマーサクセスが顧客に伴走し、組織戦略に合わせたご活用支援が求められます。
そのようなプロダクトでは、セールスやカスタマーサクセスとの連携が重要になります。リニューアル後の新しい機能の目的や詳細をしっかり伝え、お互い認識の齟齬がない状態を維持する必要があります。スプリントレビューはその状態を維持するための一つの重要なイベントとなります。
当時、事業チーム(≒カスタマーサクセス)と開発チームの間には、情報の非対称性がありました。事業チームで持っている豊富な「顧客からの声」を、開発チームは十分に把握できていませんでしたし、逆に開発チームで行ったユーザーリサーチやユーザビリティテストの結果も、十分に伝えきれていませんでした。つまり「なぜその機能が重要なのか」の根拠となるデータが異なるため、スプリントレビューではそこからしっかり説明する必要がありました。
発表当日は触れませんでしたが、スプリントレビューの改善以外にも、情報の非対称性の解消に向けた取り組みも別途行なっています。
当時のスプリントレビューの様子はこんな感じでした。(発表当日、Zoomのチャット欄には「あるあるw」のような書き込みが多かったので、皆さん一度は経験したことがあるのかなと思いました)
このような「一方通行スプリントレビュー」が続いた結果、上記の通りとなりました。
うちのチームはスプリントレビューの直後に振り返りとスプリントクローズを行うため、「スプリントレビューに間に合わない」=「ベロシティに反映されない」となります。あの頃のベロシティは全く安定しませんでした。
フィードバックが生まれなかった原因を深掘りすると、上記の3つが挙げられます。
心理的ハードルが高く身構えてしまっている上に、半年も後のことなので緊迫感がなく、なおかつイベントが説明だけで面白くないとなれば、参加者が前のめりの姿勢にならないのは当然です。
この状態を改善すべく、チームで改革に取り組み始めました。このキャプチャは実際の振り返りの時のMiroボードです。「遊び心があるといいかも」「ガヤが足りてない」など、改善へのアイディアがメンバーから出てきました。このように「自分たちで問題に気づいて自分たちで改善に向き合える」のは、非常に健全な状態だなと思います。
ここからは、具体的に変えたポイント3つを紹介していきます。
まずはとにかく「気軽に意見を言える」雰囲気を作ることを目指しました。特に2つ目と3つ目が大事だと思っています。
「どんなフィードバックもありがたいと繰り返し伝える」のは、地道なように見えて効果は絶大だと思います。勇気を出して何か発言をしたのに、スルーされたり訂正されたりすると再び心理的ハードルが上がってしまいます。まずはフィードバックの内容ではなく、フィードバックをしてくれたことに感謝をする、これが第一歩です。
また「意見を出してほしい人を名指しする」も重要です。名指しすることで「フィードバックが求められている」という期待が伝わります。もちろんその人と何の関連もないフィードバックを求めては、ただのプレッシャーになり逆効果となります。何でもかんでも名指しすればいいわけではなく、どういう内容の時に誰を名指しするのかの見極めも求められます。
また細かい工夫として、フィードバックを書き込むボードを予め用意しておきます。
どんなに場の雰囲気をよくしても、やはり10人以上が集まる会議で発言をするということは勇気が必要な行為です。このようなボードを用意しておけば「場を遮って言うまでもないこと」をレビュー中に書いてもらえます。それを見て「これ具体的に教えてください!どこが気になります?」みたいな感じでピックアップすることも可能になります。
ここはあくまで余談コーナーだったのですが、登壇当日は一番盛り上がりましたw
うちのチームのスクラムマスターは「あえて場を凍らせる」という技を使います。これにより、内職してた人も含めて全員が「え?何?」となります。つまり全員が一度同じ方向を向くことになります。しかも本人は凍っているのに全く気にせず爆笑しているとなれば、なぜだか安心してしまいます。
凍らせ方にも様々なバリエーションがあり、いつも凄いなあと思って見ています。体を張ってミーティングをまとめるスクラムマスター、さすがっす。
我々も凍る現場を見ると楽しくなって「あー凍った!」って騒ぎ出します。
変えたこと2つ目として、会議の形式を変えました。一方的に話すのではなく、ブレイクアウトルームで少人数に分けて実際に作った機能を触ってもらう「参加型」に変えました。もちろん作った機能の種類によっては触ってもらうことが難しいケースもあるので、毎回ではなく特に新しい導線を作った時やUIの変更があった時によくやります。
準備は少し大変なのですが、得られるフィードバックの数が飛躍的に増えるためオススメです。
3つ目は「お祭り感」です。何となく面白そうなイベントである印象を植え付けるため、告知などを工夫しています。
スプリントレビューの予定はGoogleカレンダーに毎週登録されているため、全員がこの日にあることは認識しているのですが、あえてその日の午前中に上記のような告知をSlackに投げています。もちろんbotによる自動化も可能ですが、「お祭り感」を醸成するためにスクラムマスターが毎週心を込めて手動で告知しています。
また上記の例の末尾のように、参加してほしいチームを名指しすることも効果的です。
また、スプリントレビュー内で喋ってる人以外はガヤに専念します。ガヤがないとやはり「一方的に喋っている会議」となってしまいます。見てわかる通り大したことは言っておらず、数の勝負となります。
このような取り組みをして、2ヶ月ぐらいで目に見える効果が見え始めてきました。今では本当に有意義なミーティングになり、プロダクトの改善のヒントがたくさん得られる場になっています。
(私は本当にやることがなく、ただふざけています)
ファシリテーションは「ファシリテーターが1人で頑張るもの」というイメージがあるかもしれませんが、チームで改善に取り組むアプローチもあるはずです。全員で課題の原因を突き止め、全員で解決していくことも可能だと思っています。
この内容が何かの参考になれば幸いです。
GLOBISで一緒に働く仲間を募集しています!
我々は、今年新しく制定したGLOBIS 学び放題 / GLOBIS Unlimitedのミッション達成のために、まだまだやるべきことがたくさんあります。まだまだプロダクト開発組織として成長しなければなりません。
というわけで全方位で採用を積極的に行っております。
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↓今回紹介したチームも含めた組織の紹介スライドはこちら
https://speakerdeck.com/globis_gdp/we-are-hiring-635c989b-5419-45fd-b866-14b5fca0ba4b