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モノからコトへ(3) 〜 サブスクはレンタルではない
今やあらゆる業界でサブスクはブームだ。月額課金という前提で様々な商品がサブスクで提供されるようになってきた。だがその多くは失敗に終わっている。今回は何が原因で失敗に終わっているのかを考察した上で成功する方向性を提示してみようと思う。
まずサブスクを単純な月額課金モデルに置き換えて商品を提供しているところがとても多いのが目につく。日本サブスクリプションビジネス振興会の佐川理事長の「だからサブスクは失敗する〜2020年生き残るサブスクの条件〜」によると以下の3つが失敗要因を挙げている。
1) 安いだけのサブスク
2) 新規顧客獲得のためのサブスク
3) 事業者都合のサブスク
そしてとてもヒントになることとして「大前提としてサブスクというのは、何度も何度も買ってくれるいわゆる最上級のお客様に向けたサービス」と述べている。
失敗例としてよく上がるのがアオキとZOZOのサブスクサービス。ZOZOは3の事業者都合のサブスクですね。当時の前澤社長がノリでやってしまったのか、前澤社長にノリで押してしまったのか、流行り物だからやってみて失敗したのでしょう(勝手なこと言ってすみません!!)。そしてアオキは2の新規顧客獲得のためのサブスクで、自らが認めているように若い顧客を獲得するはずが顧客は40代が多かった結果に終わり事業終了へ。
そして最後に最も目につくのが安いだけのサブスクです。レンタルよりも安く手に入るサブスクって常識的にあり得ますか?ローンを組むよりも安く手に入るサブスクってあり得ますか?事業者がリスクを取る、ないしは何かを肩代わりして安く提供することをしない限り安いことを訴求するサブスクはメーカーによるレンタルにしかなりません。トヨタ自動車のKINTO ONEを見てみましょう。
一括購入やローン購入よりも安くなるのがKINTO ONEの魅力となっております。メンテナンス、買取価格、任意保険等々を巨大メーカーが引き受け、車両を原価で購入することによってコストを最小限に抑えたのかもしれませんが、正直なところ本当に大事なお客さんは誰ですか?と意地悪な質問をしたくなります。
言い換えるとレンタルとサブスクの差異がありません。サブスクは長期レンタルをしているだけであって、契約期間後の売却価格の最低価格が担保してあるだけで購入者には何のメリットもありません。もし若者の車離れに対する策としてやっているのであれば、本末転倒でしょう。
むしろ私が成功するのではと思っているのがラーメンのサブスクです。野郎ラーメンを皮切りに真似するラーメン屋がたくさん出てきました。私が成功すると思っている理由はそのラーメン屋の原価構造です。原価構造こそサブスクビジネスを成立させるキモだと私は考えています。
(つづく)