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out of the blue 時事英語 #6

by 古家


out of the blueから始まる連想ゲーム

最近の時事問題などとはまったく関係ないが、out of the blue、突然この文章を書こうと思い立った。このフレーズでのblueはきっと空の青だし、たしか「晴天の霹靂」と同じ表現だと思うが、それを確認しようと辞書などを開くと、きっとほかの表現も目に入ってしまう。まずは自分で思いつくかぎりのblue尽くしと、そこからの連想ゲームを書き散らかしてみよう。英語のblueが持っているイメージの幅が伝われば幸い。由来などを調べるのはあとでする。

Blue blood(高貴な血)は流れていない。
Blue-collar work(肉体労働)の体力はない。
Blue Mondayは「働くのが億劫」な日。

音楽のbluesはなんとなくわかるけど、
Blue noteって何のこと?

青信号はgreen light。
Blue lightだと目に悪い光。
「紅灯の巷」を直訳すればred light district。それでいいかい?

昭和歌謡の名作「ブルー・ライト・ヨコハマ」は何を意味する?
「ブルー・シャトウ」はフランス語でbleu chateauだろうし、
Cordon bleu(青綬)はblue ribbon、美味しい印。
Côte d'Azurは青い浜。あれ?bleuとazurはどう違う?

「紺碧の空」はどこの応援?
東大体育会のシンボルカラーは水色、京大は紺。
オクスフォードとケンブリッジにちなむとか。
青、碧、蒼。どう違う?

「空色」も「水色」も大胆不敵な呼び方。
空も水も無限の色を湛える。
Blue moonは1ヵ月に2度目の満月。
Blue Mountainはカリブに浮かぶジャマイカの山、コーヒーの産地。
東京の青山墓地の由来は青山さん家?それとも中国の故事?

「ABCニュースシャワー」から

さて。かつてNHK BS1で放送されていた「ABCニュースシャワー」という番組があった。03年に始まり、19年に「攻略!ABCニュース英語」と改題されて21年まで続いた。日本時間で当日の朝に放送されたアメリカのニュース番組30分の中から45秒ほどを切り出し、英語字幕付き、日本語字幕付き、字幕なし、もう一度英語字幕付きで4回繰り返し見せ、間にキーワード解説のナレーションを挟むというもの。僕はずっと構成・演出を担当していたから、4000回近い放送で何をキーワードにしたかのリストが手元にある。ナレーション台本も字幕原稿も残っているので、この番組からblueを含む表現を拾ってみよう。

そもそもout of the blueは10年7月22日と18年6月19日(以下、放送日はyy/m(m)/ddで記す)の2回に登場している。
1回目は旅客機が突然発生した乱気流に巻き込まれたというニュースで、用例はSevere turbulence struck out of the blue. 「突然、激しい乱気流が襲ってきた」。
2回目は乗用車が路上で突然火を噴いた事故。No accident, out of the blue, in traffic. 「事故ではなく走行中に、突然」。
番組ではa bolt out of the blue skyという表現も紹介していて、「青空からの稲妻のように」つまり「青天の霹靂」。この文章の冒頭に書いた記憶は正しかった。

次に紹介したいキーワードはbluegrassで、「青信号」がgreen lightなのと逆にこちらは「緑の牧場」。04/4/30の放送で、この週末に開催されるケンタッキーダービーに1頭の小柄な地方馬が出場するという話題。
bluegrass はもともと牧草のことで、Bluegrass Country は名馬の産地であり競馬の聖地ケンタッキー州の別名。「カントリーミュージックの1ジャンルである bluegrass はケンタッキー州出身のビル・モンローが始めた音楽」なんて豆知識にも触れていた。
用例はSmarty is a horse from Pennsylvania, not exactly bluegrass country. 「スマーティーは緑の牧場の国とはいえないペンシルベニア出身の馬です」。
ちなみにThe blue-collar horse in the blue blood race. 「労働者階級の馬が高貴なレースに出場」なんて文も登場していた。

Blue Lawsという、かなり耳慣れないキーワードもあった。03/5/20放送、意味は「安息令」。
ニューイングランド地方で18世紀に定められた厳格な宗教的法律のことで、日曜日にはアルコールを売ること、酒に酔うことはもちろん、仕事も娯楽も禁じ、教会に行くことを強制していた。それが各州の税収不足を補うために撤廃されつつあり、ニューヨーク州でも日曜日にアルコール類を販売することが解禁されるという話題だった。
用例は、Blue Laws, rooted in religion to protect the Sabbath, are falling away in the face of 21st century economics. 「21世紀の経済の中で、安息日を守るという宗教的な起源を持つ安息令が見捨てられつつあります」。

続いては政治ネタ。08/6/10にblue state(民主党の州)というキーワードが使われている。
アメリカ大統領選挙で共和党はマケイン氏、民主党はオバマ氏の両候補者が確定し、いよいよ本選挙に向けた運動が始まったタイミング(この5ヵ月後、オバマ氏が初当選した)で、引用文はHe'll try to turn red states blue.「彼は共和党の州を民主党の州に変えるつもりだ」。Heはもちろんオバマ氏のこと。
同じキーワードは20/10/30にも登場し、こちらは当時の現職トランプ大統領と対抗馬バイデン氏がそれぞれフロリダ州で遊説を行ったときのニュースで、引用文はバイデン氏のセリフからIf Florida goes blue, it's over. 「フロリダで民主党が勝てば、勝負がつくのです」。
red stateで「共和党の州」、blue stateで「民主党の州」。つまりそれぞれの党が優勢な州。go blue「青くなる」で民主党が勝つ、go red「赤くなる」で共和党が勝つ。
赤がRepublicans、青がDemocratsを示すようになったのは、2000年の大統領選挙をめぐる報道からといわれていて、両党の勢力が入り交じる州は2つの色を合わせたpurple state(紫の州)。

12/1/18の放送は、第2次世界大戦で功績のあった黒人の水兵が66年ぶりに勲章を授けられたというニュースを取り上げていた。
It's been years since he last wore his dress blues. 「礼装を身に着けたのは久しぶりだった」。
dress bluesで「制服、礼装」。一般的に「公式の場で着る礼装」、特にアメリカ海軍や海兵隊における紺色の「礼装」。men in blue「青を着た人々」で、それぞれの制服の色から「水兵、南北戦争の北軍」などを意味する。
アメリカでは「警官」の制服も一般的にblueだから、16/7/11の放送ではofficer in blueで「警察官」。テキサス州で5人の警察官が射殺された事件についてbrother in blue「警察の同僚」による追悼のことばからYou saw officers in blue putting their lives on the line.「警察官が仕事に命を懸けている姿でした」。さらに19/8/19には、警察官だった父親をがんで亡くした5歳の子が初めて幼稚園に通う日に、父親の同僚たちから励ましをもらったという「ちょっといいニュース」でFirst day of school fortified by a big boost from the men and women in blue.「男女の警察官からの大きな応援に励まされた、初登園の日」。line of blueといえば「一列に並んだ警察官」。

この番組からもう1本。ある程度の年配以上の人なら覚えているだろうが、かつて「青写真」と呼ばれた複写方式があった。文字通り印面が青いもので、「青焼き」とも呼ばれていた。英語ではblueprint。13/5/29の放送ではこれが「設計図」という意味で使われていた。アメリカの最新兵器の設計図が中国によるサイバー攻撃で盗み出されているという疑惑で、Chinese hackers gained access to the blueprints. 「中国のハッカーが設計図を入手した」という1文が引用されている。

以上、いずれもNHKの番組として放送されたものだから、当時のスタッフが何重にも確認したことしか書かれていない。

今回調べたこと

さてさて、では冒頭に書き散らしたさまざまな表現について、調べてみるぞ。
(これ、好評だったらほかの色でもやってみます。)

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