寺町幸枝:詐欺や悪徳商法の被害を食い止めろ。高校生に向けた「騙されない為の教科書」
少年院や児童養護施設でキャリア教育を提供する一般社団法人「ハッシャダイソーシャル」(東京都港区)が、若年層をターゲットにした詐欺や悪徳商法被害に関するブックレット「騙されない為の教科書」を制作した。全国の高校を対象に、10 万部無料配布を開始。詐欺の手口が巧妙になったことに加え、成年年齢引き下げで未成年の契約取消権が行使できなくなったことも影響して被害は増加しており、消費者教育の必要性が高まっているという。
国民生活センターの調べによれば、近年10代、20代から寄せられる詐欺や悪徳商法の被害に関する相談は増加傾向にあるという。加えて、全国の若者にキャリア教育を行なっているハッシャダイソーシャルの調べによれば、5人に1人が、詐欺や悪徳商法の「被害にあった」、又は「あいそうになった」と回答しているという。(全国の高校生150人が対象)
被害のほとんどは、S N Sやインターネットを介してといい、その手口はどんどん巧妙化している上、成年年齢が引き下げられたことで「クレジットカード」の発行が簡単にできるようになり、親の同意がなくてもスマートフォンの契約ができるようになったことも、問題を助長させているという。
こうした状況を危惧した同団体は、フィッシング詐欺、無料商法やマルチ商法といった七つの代表的な詐欺や悪徳商法について、実例も掲載したブックレットを制作した。さらに、詐欺の実態がより直感的に伝わるように、「実例」の掲載と、「マンガ形式」を用いて各詐欺や悪徳商法について説明されたものになっている。
このブックレットを用いて、大阪府の高校で特別公演を行なったハッシャダイソーシャルの共同代表理事である三浦宗一郎さんは、「講演を通じて、詐欺被害にあうリスクを自分ごとと捉えてくれた高校生が多かったように思う。また講演後、“知らないことが多かっと”いう感想が多数寄せられ、知る、ということの重要性を改めて実感した」と話す。
便利な世の中になった一方で、詐欺の被害に遭遇する可能性があることを日頃から意識するのは簡単ではない。三浦さんは、周囲にいる大人に対して、「困った時に相談してもらいやすい関係性を築いていくことが重要だ」と続ける。若者向けの消費者教育はまだ始まったばかりだ。
(書き下ろし)