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アラブの春が始まった国、チュニジア

アラブの春の始まり
10年前の今日、2010年12月17日は、Tunisia(チュニジア)で "打倒独裁政権" の抗議活動が始まった日なんですね。この抗議活動はその後アラブ諸国に広まったため、アラブの春の呼ばれていたりします。

Tunisia(チュニジア)では長い間、Zine El Abidine Ben Aliという人が国をリードしていたんです。でも、彼の独裁政治は政治的な腐敗であふれていたんですね。とくに、若者たちが大学を卒業しても仕事を見つけられなかったり、警察官など権力をもつ人々が賄賂や暴力を通して権力を悪用する状況が続いていました。

そんな中、Mohamed Bouazizi という一人の若者がこれに耐えられなくなり、政府機関の建物の前で自分に火をつけて、国の腐敗を抗議したんです。

そしてこの事件をきっかけに、不満を抱え続けていた多くの人が抗議活動をはじめます。

新しい抗議の形
ここで新しかったのが、その抗議活動の様子が動画としてとられ、Facebookに投稿されたことです。当時のTunisia(チュニジア)では独裁者によって発言の自由や報道の自由が制限されていたので、個人が発信できるFacebookぐらいしかTunisia(チュニジア)の現状を海外に届ける方法がなかったんです。

この動画投稿が海外に広まっていき、海外のニュースで報道されるんです。そしてこれがその他海外諸国での抗議活動を促すことになるんですね。

結果としてTunisia(チュニジア)では独裁政権を倒すことに成功し、発言や報道の自由が認められていき、法整備によって権力者による賄賂や暴力といったものが少しずつ減っていきます。

結果
でも、政治的な成長は必ずしも経済的な成長ではないんですね。

いまだにTunisiaでは若者を中心として失業率が高く、物価が給料に対して高いので物が買えないなど、経済面での仕組みがうまく機能していません。

国民の生活はまだまだ安定しているとは言い難い状況が続いているんですね。

特殊なチュニジア
Tunisia(チュニジア)では、他の中東諸国(イエメン、シリア、リビヤ、エジプト)と違ってアラブの春が大きな紛争につながらなかったのですが、大規模な紛争はないものの Tunisia(チュニジア)では高い物価や失業率の高い状態が続いていて、それに反発する抗議活動は今だにずっと続いているんです。

主な原因
長く続いた独裁政権を倒したものの不安定な情勢が続いている原因の一つとして、”大きな変化に抵抗があった” というのがあります。

アラブの春のあと、独裁者の政党が解散して新しい政党がつくられていくなど、民主化が進んだわけですが、独裁政権で活動していた政治家の多くが Tunisia(チュニジア)の国政にそのままたずさわり続けたんです。

結果
民主主義をとおしてみんなの意見を取り組まなければいけないために、独裁政権にくらべて政治が複雑化したは良いものの、政治内の腐敗には大きな変化が見られないままだったわけです。

また、政府による自由の制限はある程度解消されたものの、こういった状況から政府への信頼も落ちていき、投票率も下がっていくんですね。それだけでなく、Tunisia(チュニジア)の安定しない国家体制に我慢できず、イスラム国のような軍事組織に多くの若者たちが流れていっているんです。

2021年初めにも高い失業率や安定しない経済へ反発するプロテストがおきているんですね。

参考: BBC news, Al Jazeera, CSIS, Human Rights Watch, United States Institute of Peace

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