[インフラ]水道の仕組みとWOTA
水道に水が流れる仕組み
海や陸の水が蒸発してできた雨雲から、
山や森の土へと降りそそいだ雨水は、
ゆっくりと浸透しながら湧き水になり、
川になっていきます。
川の水をたくわえ、川の流れを調節して洪水を防ぐためにダムがあり、ダムにたまった水や地下水につながった井戸から水をくみ上げます。
地下水(井戸水)は浅い地表か深い地層から水をくみあげるのですが、手動式ポンプなどで水をくみ上げている浅井戸は雑菌や汚染物質が流入しやすく、水量も安定しにくいんですね。
しかし地下水(井戸水)は、
夏は冷たく冬は温かい恒温性を持っていて、
長い配水管を必要としない浅井戸は災害時にも被害を受けにくくなります。
一方、深井戸では、
電動ポンプなどで深い地面から水を汲み上げるので、良質の天然水を大量に安定的に利用できます。
汲みだした水は浄水場で安全に使えるように処理され、きれいになった水は圧力で地中の配水管をたどって、都市部へと送られます。
配水管から各戸へは、給水管のポンプで水をくみ上げ、ビルやマンションなどには貯水槽にいったん水をたくわえてから、蛇口へと送るんですね。
下水管の役割
家庭や工場で使った排水や道路を流れる雨水は、
都市部の地下に埋設されている下水管へと入っていきます。
下水管の役割は汚れた水を下水処理場まで運び、雨水を川へと運ぶことです。
一般的に汚れた水と雨水を別々の管で運ぶのですが、どちらの水も同じ管で下水処理場まで運ぶ方式もあります。
下水を流すために、管は下り坂になるように設計されていて、地下深くまで行くと設置されたポンプ場から下水をくみ上げる仕組みになっています。
こうして下水は下水処理場へと運ばれていきます。
下水処理場の役割
下水処理場に運ばれた汚れ水は、下水の中に含まれているゴミや砂をふり落とすために、2回にわたって池を通過していきます。
ゴミや砂を取り除いた水は、バクテリアなどの微生物を集めた活性汚泥と混ぜられます。そこに空気をいれると、微生物が活動を始めて水中の汚れを食べて増殖していくんですね。
微生物によってきれいに処理された下水は、もう一度池を通過して活性汚泥をふり落とします。この使用済み活性汚泥は汚泥処理施設へ送られ、有効利用されます。
赤潮の発生原因となる窒素やリンを除去する高度な処理を次に行い、最後にこれを塩素消毒して大腸菌などを取り除きます。
こうしてきれいになった下水は、河川や海などに放流されて自然の水循環に戻っていきます。
雨で処理する水が多い時
微生物処理は微生物の活動に頼っているため、豪雨などで下水の量が多すぎると処理しきれない場合があります。
そのため、処理しきれない下水をためておく施設があり、雨が止んだ後に処理するんですね。
貯水タンクがいっぱいになるような豪雨の場合は、雨水の方が汚れ水より多いことが多く、法による排水基準を満たせば簡易処理で放流できる場合もあります。
WOTA
この大規模な下水システムをコンパクトにし、水道設備がない被災地などでもきれいな水を循環利用できるようにしたのが、WOTAという会社がやっている事業です。
独自開発の水質センサで、排水の水質や5段階のろ過フィルターの状態を監視し、AI による全自動運転によって排水を純水に近い水質にリサイクルして使えるようにしたんですね。
RO(逆浸透)膜という特殊なフィルターを使って石けんやシャンプーも除去できるので、難民キャンプや被災地などのインフラが機能しにくい場所にもシャワーを提供できるのです。
参考
SUNTORY、政府広報オンライン、三菱化学、国土交通省、東京都下水道局、WOTA