人を不幸にする思い込み
多くの学生たちと接して感じることがあります。
それは、日本人であれ外国人であれ、自分の将来にとっての『必要条件』が分かっているように「思い込んで」いることです。
これって、大半の人にとっては、とっても不幸なことです。
なぜなら、その『必要条件』を揃えられる人は、ごく一部だからです。
つまり、大半の人は『必要条件』が揃わないことに、苦悩し、苦労し続けなくてはならないからです。
先生たちは、とても無責任に「進路を決めるためには、まずあなたの意志を決めなくてはならない」などと言いますが、それはずいぶん先にまで生きた人が振り返って言えることで、青春真っただ中で、自己が定まっていない若者に、確固とした意志を持てということ自体が、とっても愚かだと考えます。
自分の意志が『必要条件』だとすると、それが揃わない限り、先には進めません。だから、悩み多き青春時代をさらに奈落に落とし込んでしまう。
はっきり言います。誰にも、自分の人生にとっての『必要条件』など分かりません。ですから、そんなものを無理して求める必要など、元々ないということに成ります。
人間、誰一人同じ人生を歩む人はありません。
その人自身の人生しか歩めないのですから、仮に全く判断ができなくても、神様の思し召しと思い、どこに向かっても前に進むことです。とどまらない、勇気を出して、一歩前に出る。先に進まない限り、より遠くを見ることはできません。
人からうらやましがられるような人生でも、不幸な最期を迎える人もいます。
親から勧められた結婚で、他に好きな人がいて、無念の結婚生活を始めた人でも、とても幸せな人生を歩む人だっています。
大会社に勤められても、良い仕事に恵まれず、会社人生を「小言」で終わらせてしまう人もいます。
今にも倒産しそうな会社に紛れ込んでも、自分の才覚を生かして、社長になって満面の社会人生を歩む人もいます。
何よりも大切なことは、自分の思い込みの枠から、思い切って飛び出して、懸命に生きることです。
「懸命」が、最善の「賢明」なのです。
若い人たちには、苦労しろ!というのが最善のアドバイスです。
苦労の中から得られる智慧や技能は、その人を助ける最大の武器になっていくものです。
島崎ふみひこ
異文化コミュニケーション研究所(R)
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