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#16 結局、運次第?海外の日本人学校の職場環境のリアル

こんにちは! Global ManabeeのYuです。
今回は、「結局、運次第?海外の日本人学校の職場環境のリアル」
という内容でお伝えします。

「海外の日本人学校で教員として働きたい!」
と感じた時、 その国の生活環境だけでなく、その学校の職場環境も気になると思います。
そこで、実際に学校の職場環境はどうだったのかという点について、経験を基にお伝えしたいと思います。


どんな教職員が集まってくる?

まずどのような教職員が日本人学校に派遣されるのでしょうか。
学校によってそれぞれの人数割合が異なりますが、
各自治体の公立教員が試験を受け、文科省から正式に派遣されてきた教員
学校が独自に実施する採用試験を経て日本から赴任した教員
現地に住む方を対象に求人を行った上で採用した教員

の3つのルートが主になります。

日本とは言語や文化が全く異なる場所に
バックグラウンドが大きく異なる教職員が、
様々な地域から様々なルートを経て
集まってくるのです。

また、多くの教員の任期は2〜3年となり、毎年一定数の入れ替わりがあるという環境です。

このような職場環境であることによってのメリット、デメリットがそれぞれあります。
メリットの面を存分に活用できれば、個人としても学校としても大変魅力ある環境になりますし、デメリットの面が大きくなれば、とても苦しい環境になってしまいます。

同じ内容であっても個人によって、同じ内容でもメリットと感じる人とデメリットと感じる人が分かれてくると思います。
そこで今回は、3つの観点から職場環境のリアルをお伝えしていこうと思います!

「これから海外の日本人学校で働いてみたい!」と考えている方は、ぜひ以下の内容もご覧ください。


1)人間関係

先ほど取り上げた通り、多くの教員の任期は2〜3年となっています。
そのため、職場内に自分と相性の良い同僚や、理解のある管理職がいたとしても、数年で帰国してしまうことがほとんどです。
学校全体として良い雰囲気で仕事ができていたとしても、
次年度にどうなるのかが全く予想できません。

実際に、私が海外の日本人学校で働いているときも、2年目までは職場全体の雰囲気が良く、全員で向上心をもって業務に取り組めていたのですが、
3年目に管理職や半数近くの教員が入れ替わったことで、一気にネガティブな雰囲気が蔓延したことがありました。

一方で、うまく関係を築けない同僚や問題のある管理職がいた場合でも、最短で1年で帰国する可能性がある
と考えたら、気持ちが少し軽くなることも正直あります。

私の周りでも、1年目に一緒に学年を組む教員との関係構築にかなり苦労している方がいたのですが、
2年目以降は、組む相手が変わり、自分の力を発揮できるようになった。
ということもありました。

このように同じ人であっても1年目とその後では、全くキャラクターが変わってくることもあるのです。

そういった意味で、人の入れ替わりが多いことは、メリットとデメリットのどちらにもなり得ます。
これは学校のみならず、いろいろな職場で見られることかもしれません。

仮に職場の雰囲気を悪くしていたような人が帰国したとしても、新たにどんな人が赴任して来るかは分かりません。

新赴任者の性格等については、実際に顔を合わせてみないと分からないので、
自分や職場の雰囲気と合う合わないも含めて、ギャンブル的な要素が出てくるというのが正直なところです。

企業だと、赴任前の支店や部署からその人に関する情報や噂が聞こえてくることもあるかもしれませんが、
学校の場合は、派遣元も一人ひとり全く違うため、
偶然のつながりなどがない限りなかなか赴任前の学校での勤務態度等の情報が入ってきません。

そういった面で、毎年新しく赴任してくる人がどんな人であるかが、その1年の職場全体の雰囲気を左右することになります。


2)学校を取り巻く環境

日本でも、さまざまな点において学校を取り巻く状況の変化があると思いますが、
海外の日本人学校の場合、その国や地域の情勢によっても、学校を取り巻く環境が大きく変わってきます。

例えば、国の政治的な問題で、治安が一気に悪化し、学校での安全管理が大きく変わることがありますし、
歴史的な問題を発端として日本人への反感が強くなり、危険が増すこともあります。
また、突然の国や地域からの通達で休校が決まることもあります。

特にコロナ禍では、海外の日本人学校で働く教職員は、日本へと一時帰国することも難しくなってしまいました。
現地にいる教員にとっては元々は休暇等で帰ろうと思えば帰れる環境だったはずなのに、突然気軽に帰ることが難しい環境になってしまったのです。

また、当初は家族を連れてくる予定だったのに、規制等の問題で単身赴任をすることになってしまい、結果的に3年間家族と離れて過ごすことになってしまった方もいました。

他にも、コロナ禍によって新年度に新たに着任予定だった教員が赴任できず、
多くの教職員を欠いた状態でスタートすることになった日本人学校も多くありました。

実際に私が勤務していた学校では、半数近くの担任が不在の状態で新学期が始まりました。
このような変化が、ある日突然起こり得るというのが、日本人学校で働く難しさだと思います。

日本と異なる環境ということもあり、子どもたちだけでなく、教職員も安心安全に過ごす職場環境であることが大切となります。
常にその国や地域の情勢にも気を配りつつ、突然の変化にも対応しなければいけないというのが、日本人学校の職場環境のリアルになります。

一方で、国や地域の凄まじい発展を間近に見ることができるという良さもあります。
私自身も日本人学校で働いている1年1年が本当に毎年が刺激に満ちていて、
日本にいてはできなかったであろう、新しい発見がたくさんありました。


3)業務の引き継ぎやサポート

大きな企業だと、その国や地域を管轄するトップが変わったとしても、企業理念や業務フロー、ノウハウなどはこれまでの積み上げがあったり、
共通理解されていたりする所もあるかと思います。
(もちろん中にはトップが変わって、劇的に職場環境の変わる企業もありますが…)

ただ、さまざまな地域からやってきた教員が集まる日本人学校の環境だと、学校の方向性についての認識が統一されていないことがあるのというが正直な所です。

一つの国や地域に複数の日本人学校が置かれている所もありますが、基本的には他校とのつながりが薄い日本人学校も多いです。
そのような横のつながりが少ない中でも、学校としてさまざまな課題を解決していかなければなりません。
時にノウハウが無い中でも、0→1を作り上げていく必要もあります。

また、最初に取り上げたように、人の入れ替わりが激しく、 昨年までに実施していた内容がほとんど分からないまま、新年度をスタートしなければならないことも多いです。

新赴任者の立場となったときには、日本とは全く異なる職場環境に適応するだけでも大変で、 その中で業務の引き継ぎをされても、とても覚えきれないです。

このような職場環境だと、これまで積み上げてきた学校としてのノウハウが十分に共有されず、どんどん業務が自己流になってしまう危険性もあります。

ただでさえ、さまざまな都道府県からやってきて、バックグラウンドが異なる教職員が集まる環境です。
一つの物事についても、これまで常識だと思ってきたことがそれぞれ異なり、意見がぶつかることもあります。

そんな中で更に学校として共通の事項も無いと、職場としても安定せず、バラバラになってしまう可能性があります。

業務の引き継ぎやサポートが十分では無い中、どのように進めていけば良いか分からず、
日々手探りで業務に取り組んでいく必要が出てくるのが、日本人学校の職場環境のリアル
です。

だからこそ、自分自身でより良いものにしていこうという意識があると、
その後の自分の成長にも大きくつながる環境だと思います。
また、入れ替わりが激しく、ノウハウも十分でないことが多いからこそ、
年齢や経験など関係なく、教育活動をより良くしていくためのアイデアを出していくと、それが採用される可能性も比較的高い環境だとも思います。


さいごに

いかがだったでしょうか。
今回は、 「結局、運次第?海外の日本人学校の職場環境のリアル」
という内容でお伝えしました。

正直、学校そのものの雰囲気や赴任したタイミングによって、大きく職場環境が変わってきます。
また、国や地域の情勢の変化など、個人ではどうしようもない要因によって変化することもある
ので、
そういった意味で、日本人学校の職場環境は「運次第」な部分があるかもしれません。

ただ、業務への取り組み姿勢や人との関わりについては、 「運」だけでなく、自分自身で改善できる部分も大きいです。

ただただ環境に対して不平不満を述べるだけでなく、 全て受け入れた上で、より良い職場環境を作っていこうと自発的に行動することが大切だと思います。

そのような意識をもつ人こそ、海外の日本人学校をより良い場所にできる人材であり、重宝されるべき人材であるのかもしれません。

どんな場所でもポジティブな面とネガティブな面が存在し得るということを頭におき、その上で向上心をもった方に海外の日本人学校で働いてほしいと思います!
それでは、今回もありがとうございました!

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