【ロシュ・ダイアグノスティックス様事例発表】アジャイル組織への変革〜部門間コラボを促す組織開発&マネージャー育成とは?
2023年11月24日第343回グローバル人材育成研究会では、「部門間コラボを促す組織開発&マネージャー育成」をテーマに開催。
ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社より氏原大典様をゲストにお迎えし、「アジャイル型」組織への変革を実現させた道のり、工夫や課題について、実際にワークショップを担当した当社パートナー講師の石坂聡講師も交え、本音も含めた変革のリアルな実体験をお話いただきました!
アジャイル組織への変革 その道のりとは?
ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社様(以下、RDKK様)は、「最もサステイナブルなヘルスケア企業」にも選出(ダウ・ジョーンズ・サステナブル・インデックス)されているロシュグループの、診断薬・機器事業を担う日本法人。全国の医療従事者、病院、検査センターに検査薬・検査機器を提供しており、コロナ禍においても、診断薬の提供を行うなど重要な役割を担われている企業です。
変革のきっかけは、2020年にグローバルの主導でTransformation(変革)が開始したこと。それを受け、その後1年をかけて「日本でどんな変革をすべきか」を大議論されたそうです。グローバルの動きを受けてではあったものの、日本の中でも、全く予測不可能な市場環境を前に、これから先起こり得る変化に柔軟に対応できるのかという危機感がありました。
だからこそ、自分たちの言葉で課題感と目指すべき方向性を徹底議論し、その末に以下の二大改革を掲げます。
しかし、組織を変えただけでは人々の意識は変わりません。働き方、考え方を変えていくために、数々のワークショップを開催。少しずつアウェアネスを高めていき、自分たちの行動ベースで何ができるかを考える場を作ります。
数あるワークショップの中でも、特に丁寧にステップを踏まれていると感じたのが、言葉の定義の擦り合わせです。「アジャイル組織、ネットワーク組織への変革」という言葉は口にするのは簡単ですが、結局のところ「何が変わるのか、なぜ変わるのか、自分が何をすることなのか」まで腹落ちをしていないと、行動は変わりません。だからこそ、社員と共に考える場づくりを丁寧に実践されていました。
たとえば、「ヒエラルキー組織から脱却しよう」と言うのではなく、「なぜ私たちはヒエラルキー組織に固執するのか?」という問いを投げかけ、「なぜそれがよかったのか?でもなんでここから変わらなければならないのか?」を共に考えていくことで、コンセプチュアルな理解に終わらず、社員一人一人が当事者意識を持って日々の実務の中で行動を変えていけるように工夫していった、というお話が印象的でした。
真の「コラボレーション」とは何か?:オペレーション上の協働に止まらず、垣根を越える“勇気“
「就業規則や社長のメッセージがどうであったとしても、社員にとって何より影響力が大きいのは、いつも目の前で働く上司の声がどう響くか?だと実感している」と語る氏原氏。
変革推進の要となるリーダー層にアジャイル型組織を「知っている」から「できる」に変えるためのワークショップができないかと当社にご相談いただき、当社パートナー講師の石坂講師が担当させていただきました。これまでにもRDKK様内において、経営層のオフサイトミーティングでのファシリテーションなど方針展開のお手伝いをさせていただいている石坂講師にもご登壇いただき、実際にワークショップでも実施した「部門間コラボレーション」の本質を理解するためのポイントを解説いただきました。
部門間コラボレーションと言うと、よく上がるコメントは「私は他部署の人たちとも一緒に業務をしているので、部門間コラボレーションはちゃんとできています!」と言う声。石坂氏は、それは本当の意味でのコラボレーションではない、と語ります。オペレーション上の協働で終わらせるのではなく、より本質的なコラボレーションとは何か?を追求するには、以下の観点も含めて考える必要があるのでは?と石坂氏は問いかけます。
誰かがやってくれるのを待つのではなく、自分から行動を起こしていく人たちの集合体でなければ変化は生まれません。部門という枠があると誰もが安心して仕事をすることができます。しかし、いつの間にかその枠が柵となり、「柵が檻になる」と言う現象が起こります。だからこそ、一人一人が垣根を越えていくアライアンスが必要であり、どんどん垣根を越えていく勇気や、それを後押しするカルチャーが必要だ、との石坂氏の言葉には反響が多く寄せられていました。
すべてが形状記憶力との闘い。歩みを止めず、成功に目を向け続ける
ここで記載させていただいた内容では紹介しきれないほどの数々の丁寧な取り組みを通じて、アジャイル組織に向けて変革を遂げられたRDKK様。社内には以下のような変化が見られたそうです。
変革までの道のりは決して平坦なものではありません。氏原氏は「すべてが形状記憶との戦い」だった、と語ります。人間は、根本的に「変化」を嫌います。何とか、元に戻ろうとしてしまうのです。「以前の方がよかった」「複雑でわかりにくくなった」といった反論意見との戦いは避けられず、変革を推進する側でさえ「確かな答え」を明確には持ち合わせていない状態で、前に進まねばなりません。そうした道のりを経て見えてきた景色はどのようなものだったのでしょうか?
社員の力を心から信じ、悩みながらも本気でぶつかっていったからこその熱量や清々しさでお話されていた氏原様の姿が大変印象的でした。
お忙しい中、ありがとうございました。
グローバル・エデュケーションでは、越境リーダーシップのデザインやワークショップを豊富な事例から各社様のニーズに合わせてご提供させていただいております。ご相談は当社まで!