見出し画像

社員の自律的キャリア形成、どうすれば?

2023年09月22日第337回グローバル人材育成研究会は、「変化の絶えない時代の、自律的キャリア形成」をテーマに開催。
ゲストに、常にご自身にチャレンジし続けてこられた当社パートナー講師の泉本 保彦氏をお迎えし、当社創業者の布留川と対話も交えてキャリアのお話を伺いました。
また、本回は久々に当社オフィスでの対面開催!「対面ならでは」のグループディスカッションや情報交換、懇親会で各社での取組やお悩みを本音でトーク!皆様と共に創り上げる白熱した回になりました。

当社代官山オフィスにて。
研究会&懇親会、ご参加の皆様と!

自律的に学び続け、周囲に良い影響を与え、変化に適応し続ける人の特徴は?

第一部では、当社創業者の布留川勝より、布留川が開発したVUCA&100年ライフ時代のキャリア論「gALf(ガルフ)」のモデルを使いながら、上記をテーマにお話しました。

リスキリングや人的資本経営も叫ばれる中、いかに自律型人材を育成していくのか? 参加企業の皆さまからは以下のようなお悩みの声が寄せられました。

「自律キャリアを促すマインド醸成、どうすれば?」
「リスキリングを推進しているが、学ぶのは一部の社員に限られてしまう」
「どうすればラーニングカルチャーが生み出せるのか」

事前アンケートより一部抜粋

そもそも、自律とは「自分で決め、自分の行動・判断に責任を持つこと」。
ですが、日本にはキャリアや学びに対して会社に依存的になりがちな傾向が見られます。例えば、グローバル人材になると言っても、「会社に言われたから」やる、「昇格にTOEIC600が必要だから」取る。するとその義務を果たしたら、あっという間に忘れてしまう‥。

この傾向には、終身雇用や年功序列を前提とした日本の雇用制度が大きく影響しています。対するグローバル社会では、”Up or out”。つまり、自分の能力が向上していないのならば、会社から解雇されかねません。だからこそ、自分のキャリアに必要だから、主体的に学びます。
日本の雇用制度は素晴らしい面もありますが、自律的キャリア形成においては必ずしもプラスに働くとは言えない構造があります。

では、こうした”特殊事情”を抱える日本社会の中で、どうすれば自律的になれるのでしょうか?
それを体系化した、VUCA&100年ライフ時代のキャリア論「gALf(ガルフ)」を用いて解説いたしました。

当社創業者 布留川勝

最近は「好きなことを仕事にしよう」という潮流がありますが、38年間の人材育成経験から布留川はこの考え方に疑問を呈しています。好きなことを探すことは素晴らしいことですが、それにより目の前にある最高のチャレンジに向き合えず、「本当に好きなことを永遠に探し続けてしまう」という弊害も多く目の当たりにしてきました。むしろ、自らキャリアを切り開いていく人たちの特性を分析してみると、「好きなこと探し」に奔走するその前に、まずは「できることを大きく、深くしていく」ことが大事なのではないか、と布留川は問いかけます。   

良い偶然を起こしていく人たちは、素直な心をもって目の前の仕事を一つ一つ積み上げていきます。すると、段々と「できること(Able)」が増え、周囲に褒められたり、評価されていきます。そうした過程の中で、自分の「本物」の好きなこと(Like)を見つけ、それをやり続けることで、情熱(Passion)に昇華されていくのです。こうなると、仕事にやりがいを見出し、仕事を楽しみながら力を発揮していくようになります。そうして謙虚かつ真摯に仕事に取り組みながら、更に成長していき、出来ること(Able)が増えていくのです。こうした「良い循環」が自然と回るようになります。

gALfでは、この好循環の頭文字をとり、「アルパ(=Able→Like→Passion→Able)」 と呼んでいます。アルパを回して自律的にキャリアを開発していく人を「アルパー」と呼んでいますが、まさにこのアルパーこそが、自律的に学び続け、周囲に良い影響を与え、変化的適応し続ける人の特徴です。

アルパを大きくしていくためには、先見性とやり続ける粘り強さが鍵を握ります。アルパを大きくするための指針として、鳥の目、虫の目、魚の目をもって自身のキャリアを捉えていくことが重要です。

・鳥のように、大局観を持って人生の目的を俯瞰する視点
・虫のように、現場で戦う中で直感力や地頭・感性を磨いていく視点
・魚のように、社会の潮流や環境を見極め、それに適応していく視点

この鳥の目、虫の目、魚の目をバランスよく働かせ、着実に行動していくことは良い循環を促す羅針盤となるのです。

『いつかはヨーロッパ』から始まった旅

第二部では、生き方そのものがまさにgALfを体現されている、当社パートナー講師の泉本 保彦氏にご登壇いただきました。「鳥の目・虫の目・魚の目」を働かせながら、ご自身キャリアに挑戦してこられた数々のエピソードを伺いました。

当社パートナー講師 泉本保彦氏
株式会社日仏経済戦略研究所 日本法人 代表取締役社長

泉本氏は「マクロ環境分析とシナリオプラニング」「戦略策定とアート/デザインの融合」など、右脳と左脳を両方駆使する戦略立案の専門家。唯一無二の専門性を生かした垣根を越えた独自のアプローチでのプログラムを、ご一緒にご提供させていただいています。

そのキャリアのスタートは、ヨーロッパに真の豊かさを目の当たりにし「いつかはヨーロッパへ」と志した学生時代。自動車製造業、戦略コンサルティング企業においては、「文句を言う前にまずは実行」と熱心に現場経験を培われていきます。また、「『想像力が大事』とクライアントに伝えているけれども、自分の想像力はどうなんだろう。そうだ、デザインを学ぼう」と、京都芸術大学でデザインを専攻。そうした数々の経験を経て、これからのライフワークとも言えるサステナビリティ経営と巡り会った偶然‥。

まさに、目の前のチャレンジから逃げることなく、鳥・虫・魚のそれぞれの目を働かせながら各キャリアのステージで着実に行動を重ねていった経験の一つ一つが、今の泉本さんのキャリアに繋がっているのだ、と実感できるお話でした。

Q&Aでは、泉本氏のキャリアのお話に準えながら、「鳥の目・虫の目・魚の目」をどう身につけていくのか‥など、皆様とも対話しながら考えていきました。

組織でどう自律人材を育成するのか? 

第三部は、「自律的な人材をいかに増やしていくか?組織でどう育成するか?」をテーマにディスカッション。

社員の自律的キャリア形成を推進するために、人事・人材育成の役割は何か?
どこまでを人事が行い、どこから社員の自発的な取り組みに任せるべきか?

など、小グループで取り組みを紹介しながら、悩みを話したり、今後のHRのあるべき姿についても、考えていきました。

話題は尽きない中、多く聞かれたのが、「アルパー(アルパを回して自律的にキャリアを開発していく人)を組織内でどう増殖していくか」でした。

アルパーはアルパーを引き寄せ、アルパーを増殖します。だからこそ、まずは「個のアルパー化」が欠かせません。「言われたことを粛々とこなす」のではなく、なぜ自分自身がアルパーになることが自分のキャリアにとって必要なのか、を深く認識した上で、そのチャレンジを育む環境づくりも重要です。特に日本においては、短期的な売上目標など目先の仕事を追うことに主眼が行きがちな傾向もあり、目の前の作業をいかに会社のビジョンと紐づけられるか?自身の仕事のビジョンを描けるような仕組みを支援することが必要ではないか、といった話が繰り広げられました。

まだまだ談義は尽きず、終了後は懇親会も開催。

ご参加の皆さまと対話しながら学び合い、ご担当者様同士も繋がりあえる場となれば、、との思いで開催した本G研。今後もこのような機会をご提供してまいります。
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました!

もっと知りたい方は、グローバル・エデュケーションまで!
https://www.globaledu-j.com/


いいなと思ったら応援しよう!