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最下位をさまよったどん底のシーズンで手にしたもの
女子サッカーのプロリーグ「WEリーグ」ができた1年目の一昨年。
チームの順位は8位と、思うような結果を残すことができませんでした。
だからこそ2年目となる昨シーズンは、絶対に結果を残さないといけないと思っていて。
キャプテンとしても、チームの勝利に貢献するために、自分の中で全てを出し尽くす気持ちでいました。
それでも、思いとは裏腹に、結果を出すことができなかった1年間。
リーグ戦では第10節まで勝利することができず、ここまで長い期間、最下位に苦しんだのは人生で初めてでした。
それでも、最後の最後でなんとか持ち直して、順位を1つあげて掴んだ10位。
決して褒められる結果でも、満足する結果でもないけれど、自分の中では大事なことに気がつけたシーズンだったと思っています。
今回は昨シーズンのことについて、チームがどん底のときにキャプテンをしていたからこそ感じていたことを書いていきたいと思います。
結果が出ないことで生まれた不安
シーズン前に行われたカップ戦では、怪我人が多く出てしまったことで、そのままリーグ戦に入ってしまうことへの不安はありました。
でもその反面、
前年度に試合に絡めなかった選手の試合経験を積むことができたので、自分としてはワクワクする気持ちも大きかったです。
始まる前のチームの雰囲気も、よかったと思います。
だからこそ、まさかこんなに負け続けると思っていませんでした。
リーグの前半戦が終わった時点で、
勝ち点は4。
頑張ってない選手は一人もいなかったけれど、負け続けることによって「これはあってるのかな」とプレーにも迷いが生まれていました。
みんなの頑張りどころが定まらず、1人ひとりが違う方向に突っ走っていたように思います。
どんな状況でも選手間で話しをすることは必要ですが、今思うと、負け始めた最初の段階で、普段よりも意識してコミュニケーションを取るべきでした。
でも、心のどこかで「勝つために、個人でみんながちゃんと行動していれば、結果はいずれ出る」と考えていたように思います。
自分個人としては、
ずっと試行錯誤していました。
キャプテンという立場では、
何が正解なのかがわからない。
自分の納得するやり方と、キャプテンとしてのあり方は自分にとって真逆でした。
前のnoteにも書いたように、元々自分は、行動だけで示したい。
けれど「キャプテンは発言に説得力を持たせないとダメなのかな」と思うようになってきて、最初の頃はそのバランスが難しかったです。
勝てない試合が続く中で、少しずつやっていることに対する不信感も出てきていて。
何もかもが一致していない感覚がありました。
逆転負けが、転機に
転機は、リーグ第15節の
大宮アルディージャVENTUSとの一戦。
前半まではリードしていたものの追いつかれ、後半残り3分のところで逆転負けをした試合でした。
このシーズンで、
初めて味方にベクトルが向きました。
それまでは常に「自分がどうすれば」ということしか考えていなかったけれど、その時は、自分にも、味方にも、イラつきました。
本当に今までの甘さ、コミュニケーション不足、全てが出た試合だったと思います。
試合が終わって、
まずひーさん(#3)と電話をしました。
これからどうするかを考えているときに、ひーさんからかけてくれて「ちかはこの状況どう思う?」という風に聞いてくれました。
そのときには「むかつく」とか「こんなチームの状況は嫌だ」とか、思いつくままに話していたと思います。
とにかくこの状況を変えたい、
という思いで頭がいっぱいでした。
そして、次の練習前。クラブハウスの応接室で、チームの中心メンバー5人で話し合いの場を設けました。
そこで自分は
「大宮戦で、自分にも味方にも腹が立ったこと」「今のままでは全然足りないこと」
そして
「このまま終わりたくない」「こんなんじゃ試合を見てくれている人たちに失礼だ」
ということを話しました。
そのうえで、5人で手分けをして、チームメイト全員に対して一人ずつ話しをしていきたいということも伝えました。
でもそのとき、その場にいた2人は納得した表情をしてくれず、理由を聞いても、最初は言葉にしてもらえませんでした。
けれど、自分が理由を聞いてもなんとも思わないし、本音で話してくれないと無意味だと伝えると、1人は
正直、自分がコントロールできない部分で
納得できないことが重なっていて、今はチームのことまで考えられない。
でもまずは自分のことを本気で頑張る
と、本音で言ってくれました。
そしてもう1人は
自分は今言葉で言っても「こいつに言われても」と思われるから嫌だ。
まず自分がプレーでやっているとこを見せたい。
と話してくれました。
正直、めっちゃうれしかったです。
言いづらいことだったかもしれないけれど、2人とも本音で返してくれたことがうれしくて。ちゃんと言葉にすれば、ちゃんと返ってくるんだと思いました。
そこからは、ひーさんとめぐさん(#10)、自分で、チームメイトに一人ずつ話しをしに行きました。
自分が担当したのは7人ほど。そこでも思っていることを、本音で伝え、そしてちゃんと本音を聞けたのではないかと思います。
ここでも、みんなのそれぞれの考えを聞けて、本当にうれしかったです。
「この人はこう思っているだろう」と、これまでは相手の考えていることを聞かずに、推測しすぎていたなと気がつきました。
本音で話した時間を経て
大宮戦の後、そうやって話をしてから、チームに対して「大丈夫」と思うことができました。
味方のことを、これまで以上に、心の底から信じることができるようにもなりました。
他の人も同じように思ったんじゃないかな。
それからは試合前にも、
ロッカールームで一人ひとりの役割を、はっきり伝えるようになりました。
例えば、FWの相方に、
初出場の人に対してのサポートを任せるとか。
今日は相手がこの戦い方をしてきそうだから、前半はこのような戦い方をしたいとか。
スタメンじゃない選手に対しては、今日の試合は途中交代をする選手の力がとても大事になってくるといったことも。
思っているだけではなく、言葉で伝えるようになりました。
これが正解だったのかはわかりません。
でも、その時間を作ったことで、自分の発言に責任感も生まれて自分自身も奮い立ったと思います。
そして、大宮戦の次の試合、
INAC戦は1-0で勝利。
そこから少しずつ勝ち点を積み重ね、自分たちは最下位から1つ順位をあげた10位でシーズンを終えました。
信じた先で頑張れるようになった
シーズンが始まる前と、終わったあとでは、考え方の根本が覆された感じがしています。
1番思ったのは、行動+言動で人は動くことでしょうか。そして、ちゃんと相手のことを知る・知られることで、信頼が生まれるということ。
そういう意味では、言葉で話すことが足りていなかった自分は、どこかで仲間を信じ切れてなかったし、信じてもらうことをしてなかったとも思います。
言葉にすることで「この人ならここを守ってくれるだろう」と思えるようになりました。
さらに今は「この人がここまでやってくれるから、自分も責任をしっかり果たす」と味方を信じた先で、自分も頑張れるようになりました。
感覚的には、これまでは自分30%、チーム70%の割合くらいで考えていたけど。
今はチームのことしか考えていません。
昨シーズンを通して、このチームで結果をちゃんと残したい、何かを残したいと、より強く思うようになりました。
今は、自分の調子の良さなんて関係なく。
いくら泥臭くても、かっこ悪くても、チームが賞賛されるならなんでもいいと思っています。
昨シーズンの全てを今後に繋げる
今思うと、
もっと選手同士、本音でぶつかれる関係を作るべきだったなとか。
もっと本音を話しやすい環境作りをしなきゃとか。
もっといろんなところに目を配って、いろんな人を繋げてあげるべきとか。
もっと選手の目標設定をした方がよかったかなとか・・・・。
課題をあげればキリがありません。
でもこの経験があったから、
気がつけたことがある。
だから、去年1年間を悲観的にとらえるのではなく、今後につなげていく糧にしていけたらと思っています。
最後に。
1年を通して感謝している人、助けられた人は、本当にたくさんいるけれど。
なによりも、チームメイトに、
結果を出せなくてごめん。ここまで一緒に辛い時間を過ごして、最後まで一緒に戦ってくれてありがとう。と伝えたいです。
今回もここまで読んでくださった方、本当にありがとうございました。
また今シーズンもここから、全員で闘っていくので、見守っていただけたら嬉しいです。
引き続きよろしくお願いします。
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