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1917と仕事納め

3月19日(木)

今年度全員が出勤する最後の日。顧客と久々に対面でやりとりをして、しみじみする。「顧客がいないと俺たちの存在価値ってゼロだもんな」と部署のリーダーが言いだし、本当にその通りだと思う。うちの会社は(自分も含めて)社会不適合な人の集合体であって、顧客の役に立つことではじめて社会に貢献できるのだ。

オフィスの清掃などをして引っ越し作業。大量の本を移動させたりする。久々にデスクワーク以外の仕事をして疲れてしまい、ドーナツやせんべいをむさぼり食った。昼はがっつり弁当が支給される。食べ過ぎである。

全体の会議で社長退任の挨拶があった。

退勤して日比谷へ。T氏と合流し、IMAXで「1917 命をかけた伝令」を観る。第一次世界大戦中、遠方にいる味方の部隊に「敵が罠を仕掛けているから翌朝の一斉攻撃を中止するように」という伝令を伝えるために危険な戦地を駆け抜ける二人の兵士の物語。戦時中版「走れメロス」。

カメラが引きの構図になると大抵そのへんに転がっている死体が映るので、引きになるとなんとなく薄目になる。そんな殺伐としたシーンと対照的に、時折出てくる花や木々、戦火で遺跡のようになった街の映像がものすごくきれい。「ワンカットで撮影」というふれこみだったが途中で完全に場面が切り替わるので、ワンカットにこだわる必要はなかったのではと思うけれど、たしかに長回しゆえに平穏なシーンと緊張感ただようシーンが交互に連続的にあらわれてリアリティはあった。

途中まで何が起きるかわからなくてものすごく緊張しながら観ていたが、後半は逆にどんなに敵兵に撃たれても主人公に弾が当たらないとわかっているので安心して観られた。

伝令が無事に届いて1600人の命が救われても、来週にはまた別の伝令が届いて攻撃をしかけるし、あと一年以上も戦争は終わらない。それがとてもやるせなかった。

T氏と串揚げ屋に入り、とりあえず仕事を納めたということで一年間お疲れさま会をする。コの字型になったカウンターの内側で、調理担当の人が次々に串を揚げて出してくれる。

ストップを言うまで無限に出てくるというので、いつまで食べ続けたらネタが尽きて一本目に戻るのか気になる。菜の花のベーコン巻やふきのとうなど、季節限定の串が日本酒によく合っておいしい。樽酒がすごくいい。お通しの野菜を食べ終わるとキャベツや口直しのもずく酢を持ってきてくれる。

外にでると雨がぱらぱらと降っていた。お気に入りの靴を濡らしたくなくて小走りで帰った。

#日記 #エッセイ #酒 #1917

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