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Draconiara

ブログから抜粋しました。ある竜の国の話。


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竜の国は、”翼あるもの”の国でした。


チベットにあるような雪の降る厳しい岩の山々があり、緑があり、湖があり、エベレストなどの山や深海などから「血」を使って入国することができます。

もうその扉を開ける人間はいません。

同時に、竜や竜人の魂を持ち、魂に竜の血が流れている人間には、竜の国の真実を見せ、教えてくれます。


滅びは、竜の国の文化、特に葬儀に対しての「外の国」の無理解と不寛容から始まりました。

竜(西洋に描かれるようなドラゴン)と共に住むのは、竜人と仮称しますが、精神体と肉体を混ぜ合わせたような体を持つ人たちでした。

耳が尖っていて、目の周りや肘と膝の近く、中には首元にも「鱗」が生えていて、鱗と刺青を見せるために(尖った鱗が服に擦れると邪魔、というのもあります)服は最低限簡素なものを纏っていました。

アクセサリーも金や銀で出来た、シンプルなデザインをしていて、むしろ刺青の方が凝っているデザインが多かったです。



彼ら竜人と竜は独自の文化を持っていましたが、最たるものは「葬儀」でした。

私たち人間には考えられないことですが、亡くなった竜や竜人の肉体を葬儀の場で少しだけ「喰う」のです。そして自分の人生の供(友)にする。竜の国では血肉には故人の過去や記憶、情報、先祖の想い、霊力が刻まれていて、それを尊んでいたので、口にすることにタブーがありませんでした。葬儀の場でのみ、と限られていたこともあります。

しかし「外の国」の人々はそれを「野蛮」「頭がおかしい」と罵り、”自分たちの真実””文化””価値観”と違う竜の国を攻め落とそうとしました。竜の国に金や銀の鉱山があったのも関係しているかもしれません。あるいは、竜の血の高い霊力が関係していた可能性もあります。


竜と竜人は、肉体を捨て、精神体のみになって竜の国を閉ざしました。




”鍵は、竜の魂と血にのみ宿る。”