さんかいめのポーリング
さて、前回の記事から幾年か経ちまして……。さすがにあの記事と動画そのままのさばらせておくのはまずいんじゃ……という気分になりました。それなりにポーリングを知った(?)今、ポーリングをやった記事を改めて書こうじゃありませんか。
用意するもの
・キャンバス(3ミリくらいあれば厚紙でもよさげ)
・ポーリング用絵具(アクリル絵具+ポーリングメディウム)
・キャンバスを浮かせておくための台(写真では右下の養生テープ。作業用と、乾燥時にもあるとよい)
・紙コップorプラコップ(使い捨て)
・割り箸などとにかく使い捨ての棒(間違ってもヘラの柄で混ぜてはいけない)
・汚れてもよいデケエ紙(二重にする。破れるので)
以下お好みで。
・ヘラ。あると楽しい。
・ラメ。あると楽しい。しかし金箔はくすんでしまうので避けたほうがよい。
・敷いた紙の四隅を固定する重しがあるとなおよい。
・使い捨て手袋をするといいが、私はめんどくさい。
・アクリル絵具用のメディウムを何らかの形で組み合わせてもおもしろそうだと思って出してある。
さんかいめにしてわかったことなど
白が大事
ポーリングにおいては(フルイドアートという言い方のほうが一般的なようですが、ポーリングのほうがかわいいのでポーリングと呼びます)、白が超大事です。絵具とメディウムが混ざった状態の白、大容量であるならそれを買うんですが、ない!ので、おそらくポーリングメディウム界隈で一番コスパのいいU-35のメディウムと絵具を買ってみました。450mlのもあります。
しかしここで罠なのはめちゃくちゃ混ぜるのが大変だということ。これを全色やってたらたまったもんじゃないので、やるなら白だけにすることを強くおススメしますね。
混ぜるときのコツは、まず絵具だけの状態でよく練る。お菓子作りでバターを練るのと同じですね。これを怠るとダマがすごいことになります。それから袋をよくもんだメディウムをすこーしずつ加え、コップの壁でダマをすりつぶしながらしっかり混ぜていきます。しっかり混ざっていないと流した時に粒々してキモいです。私はキモくなってしまいました。
さてこの大量の白をどうするのかといいますと、まず!キャンバス全体に!白をまんべんなく流してください!これが大事なんですよ……。もったいない!と思うかもしれませんが(実際私も思うんですが)、これをやるのとやらないのとでは、作業性と仕上がりに雲泥の差があります。ベースはあとから別の色で塗潰してしまってもいいですし、白のまま残してもきれいです。
上のU-35ポーリングメディウムでは「そのまま、または絵具と混ぜて」などと書いてあるので最初は絵具を混ぜずにベースに流してみたんですが、相性があるのか水色系の絵具は微妙ににじんでしまいました。あとなんか風を当てると模様がまるでチョコレートが分離した感じになってしまう。それはそれでいいとは思うけどね! 色の境界をはっきりさせるには(あと単純に単体だとかなりゆるいので、他の色と流動性を合わせるためにも)、絵具はちゃんと混ぜたほうがよさそうです。おそらく「そのまま、または絵具と混ぜて」というのは全メディウム共通の文言な気がします。
シリコンオイルの使い方
シリコンオイルってどうやって使うのか本当に謎だったんですが、絵具に混ぜて使うらしいです。らしいですて。私は全然使っていないからです。ポーリングらしいセル模様をたくさん出したいのなら、先ほどのベースの白に何滴か混ぜておくとよいでしょう。元々シリコンオイルが混ざった絵具もあるようなので、混ぜなくても若干はできます。集合体恐怖症の人は使わないほうがいいでしょう。たぶん。
仕上にライターやヒートガンなどで炙ると、さらに模様がふつふつ出てくるようです。温風のドライヤーを使うというのも見かけたんですが、温風だと絵具の表面が乾いてシワが寄ってしまい、綺麗にできなかった記憶があるので(風量にもよるかもしれませんが)……ドライヤーじゃないもののほうがよさそうな気はします。
ドライヤー
上でも書きましたがドライヤーを使うなら冷風がよいと思います。ただ、あまり小さいキャンバスだと(15*15cmなど)全然広がらない割には一瞬で結構ぐちゃぐちゃな混ざり方をしてしまうので、ある程度大きいサイズで使うのがよいと思います。大判ポストカードくらいのサイズでドライヤーできれいにできたときもあったんですが、いったい何がファクターなのかよくわかりません。冬は絵具が硬いというのもあるだろうし、そもそも開封して時間が経っているのもあったので乾燥していたのかも。
小さなキャンバスにはストローか、そのまま息を吹きかけるのがコントロールもしやすく、きれいに広がります。白ベースを塗潰さないで残して仕上げると、みずみずしい透明感が得られます。息を吹きかける際は髪の毛や衣服に充分注意しましょう。アクリル絵具は服につくとまず取れません。私はお気に入りの部屋着にしっかりつけました。グレーに白なのでまぁ、許す(白地に黒つけたことある人)。
ドライヤーででっかい作品を作っている気持のよい動画はこちら(もちろん私ではありません)。
なんでここまでことごとく症例写真がないんですか?とお思いかもしれませんが、ポーリング作画中に写真を撮るのはマジで至難の業です。カメラが絵具まみれになります。私のカメラは絵具まみれになりました。というわけで今後も写真はないんです。
ヘラ
カタリストのシリコンウェッジが欲しかったんですが、ついで買いしようとした世界堂には在庫がなく(某川では高額出品しかなかったので)、柄のついたシリコンブレードにしました。めちゃくちゃデカくて邪魔です。しかし効果は面白いし、シリコン製で手入れも楽なので(アクリル絵具なら乾燥後にペリッとはがせる)、持っていて損はないです。ポーリング以外でも、テクスチャー系のメディウムを盛るのにも使えます。下地でメディウムを盛った上からポーリングしたらどうなるかなと思って下地作って乾かしてたら存在を忘れてました。また次回。
私はオレンジ(B50-05)と緑(B50-03)と青(B50-02)を買ったんですが、オレンジは調理器具の油塗るやつくらい柔らかかったので、ポーリングには向いてませんでした。すぐ目が詰まっちゃう。青は波紋のような効果が出て楽しいです!緑は使ってみるのを忘れていたので、今度使ったら追記するかもしれません。しないかもしれません。
これは割と前に買ったのでシリコンウェッジなんですが、黒(W-01)も持っています。広い面に均一に塗り広げるのに便利です。筆とかハケだとどうしても絵具のロスが多くなりがちだし、アクリルだと乾く前に洗わないといけないので大変なんですが、これは本当に優秀ですよ。ペインティングナイフと違って素材も柔らかいので画面を傷つける心配もなし。
えっていうか待ってください、ホルベインの通販にはウェッジの在庫正規価格であんじゃん待って。買う。
キャンバスを浮かせておくための台
これは本当に大事です。もう一度言います。これは本当に大事ですよ。乾かすときにも必要ですからね皆さん。キャンバスの裏側など誰も見ないとはいえ、新聞紙の破片などが貼りついているとちょっとアレですよね。それもそうなんですが、第一にキャンバスの縁から絵具が広がって固まってしまうと、ヒゲが生えてしまいます。絵に。生やしたいのならというか、それを効果として狙ってやるならいいんですけど、そうでないのならこれは結構厄介なんですよ。ポーリングって要は絵具をねっとりさせて描く技法なんですけど、乾いてもねっとりしているというか、ねっとりさせた弊害が随所に現れてきてしまうんですね。ヒゲを千切ろうと引っ張ると伸びるんですね(切れよ)。おまけにキャンバスから剝がれるんですよ、絵具が。これは失敗作を剝がしてキャンバスを再利用できるという点では魅力的ですが、塗られていた下地材も一緒に剥がれてしまうので注意です。
あとは保管。ポーリングの絵、乾いてもなんかぺたぺたしています。それゆえ安易に重ねてしまっておくことができません。悲劇が起こります。作品同士がくっついて最悪の場合画面が損傷します。
これが最善なのかはよくわかりませんが、私は20センチ以下の作品ばかり作っているので、外表にして二枚重ねたキャンバスをOPP袋に入れています。A4サイズくらいの袋であればたいてい入ります。自家通販の民あるある:家にOPP袋と封筒とプチプチが大量にある。まぁそれでも裏面に回ってしまった絵具同士で多少はくっついちゃうんですが、裏面なのでヨシ! 気になる場合は裏面の部分の絵具だけ剥がして切り取っちゃうといいでしょう。
ラメ
キラキラしたものが好きです。アナログ絵はキラキラさせるのが醍醐味だと思ってるところあります。ラメを買いましょう。百均にもかわいいのいっぱいありますからね! ただし金箔は一度乗せたことあるんですがなんかくすんでしまったので、避けたほうが無難かと思います。銀箔はどうなんだろう。まぁでも金箔銀箔は他に使い道があるのでわざわざ実験しなくてもいいか……という気持ちはある。
キラキラしてると可愛いというのはもちろんあるんですが、ラメを振りかけることによって情報量が増えるので、なんか絵がうまくなって見えます(小ズルい用途)。普通の絵だとラメの接着に気を遣うんですが、ポーリングはそんなことありません。乾かす前にパラパラッとやっておけば定着します。ラインストーンなんかも問題なく貼れます。が、重さで沈みやすい+ひっくり返りやすいので、ピンセットなどで慎重に乗せるといいと思います。
いろいろと実験してみたい
冒頭の写真に、説明で一切触れられていないラップが写っていますが、これをどうしようと思ったかといいますと……。
絵具を流したキャンバスの上にラップを張って、写し取った絵具を……乾かして……ラップから剝がして……丸めたり折り曲げたりして再び分身であるキャンバスに貼りつけたら面白いんじゃないかと思ったんですが……。そもそも膜が薄すぎてラップから剝がせないし、穴も開いてるし、厚みも不均一だし……で、とりあえずそのまま放置されています。いつか何かに使えるといいね。
キャンバス
一番手に入りやすい+種類が多いのは張キャンバスですね。画材屋さんはもちろん、百均や雑貨屋さんでも置いてる場合があります。円形や楕円形、六角形、三角形、ひいてはハート形などの変形サイズもあります。そして私は正方形のキャンバスを探すのにえらく苦心した……。クオリティが担保できる画材屋さんでは四角いのはPとかMとかの規格サイズが主なので、正方形ってほとんどないんですよ。困ったね。これにはいまだにちょっと困っている。正方形かわいいのに。とりあえずフライングタイガーで買った。でもいつまで取り扱っているか謎。
キャンバスボードというのもあります。張キャンバスが木枠に画布を張り詰めてるのに対し、キャンバスボードは厚紙やベニヤに画布や画布っぽくした紙を貼りつけているものですね。詳しくはググってくださいね。薄いので保管性はバツグンなんですが、いかんせんこれも種類が非常に少ない。変形サイズはまずないです。とりあえずペベオの20センチ角を買ったりしておるのですが、ど~~も汚れてたり角が甘かったりと当たり外れがあるので……。うーん。
なんで正方形にこだわっているのかは、この記事に写真がなさすぎることとも関係しているんですが……それは後程明らかになることでしょう。
上で厚紙でもオッケーと書いたんですが、これは私がキャンバス代と保管場所をケチりた過ぎたゆえに、ブロック水彩紙の台紙を切って使ってみたらそこそこイケちゃった、という経験に基づいています。どんな厚紙でもいいというわけではなさそうですが、ブロック水彩紙なら水にもある程度強そうですし、水彩もやってるよ~~という方は練習にでも使ってみるといいかもしれません。もちろん販売には向きません。自宅に飾るとしても額が必要になるでしょう。
配色
これはポーリングをやってみた人類が必ず悩むところだと思うのですが……。端的に言うと同色系でまとめたほうが失敗しづらいというのはあります。水彩でも同じ感じなんですが、色は混ざれば混ざるほど灰色か茶色になるので、明るい色のまま仕上げたい場合は同色系でまとめる・原色に近い色を使う・色数を減らす、などでどうにかなると思います。私はかなり色の好みに偏りがある+既製品のメディウムが混ざった絵具はそもそも色展開が少ないので、壊滅的な失敗をしたことがないのであれですが……。究極いうと二色でもきれいにできます。四色くらいが華やかかつ扱いやすい色数かなと思います。
同色系でまとめる例
・青+水色+白+銀
・赤+ピンク+オレンジ+銅
・黄色+緑+青+金
原色に近い色を使う例
※三原色のうち、二色までにとどめるのがベター
・紫を使いたいなら、ピンクか青のどちらかを一緒に使う
・緑を使いたいなら、黄色か青のどちらか、または両方を一緒に使う
・茶色を使いたいなら、赤か黄色のどちらか、または両方を一緒に使う
上記の例はあくまで例なので、こうしなければいけないわけでもないし、こうすれば失敗しないと言い切れるわけでもありません。あしからず。赤+白+青のトリコロール配色でもかわいくできそうですね。蛍光ピンクを青系でまとめた差し色に使うととってもかわいいです。
金銀などのメタリックカラーは一色持っておくと便利です。なんせ華やかなので。キラキラしているのもそうなんですが、乾いたときにこう……立体感というか、なんというか……があり情報量が増えます。あと他の色の下にもぐった時もきれいです。
技法
ポーリング技法にはいろいろあります。
ポーリングといえば!なのはフリップカップだと思いますが、なんかこれはすごく難しい気がします。めちょめちょに混ざっちゃって……。大きなキャンバスならうまくいくのかもしれませんが、大きいキャンバスを保管するスペースなどありませんので、私は潔く諦めました。コップのロスも多いし。
模様のコントロールがある程度しやすいのはダッチプアかスワイプじゃないかなぁと思います。私はダッチプアが好きです。あとは傾け具合とか、ヘラで引っ搔いてみたりとか、爪楊枝で動かしてみたり、いろいろできます。自分だけのやり方を模索していくのもいいですね。YouTubeにはポーリングの動画がたくさんあるので、見てみるのもいいでしょう。
なんか思ったより長くなってしまいました!楽しいポーリングライフを!
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