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キャンプ場で、お客さんと農園主の笑顔を増やしていくための作戦。

バタバタしている間に、すっかり秋の気配です。
みかん山の中の貸切キャンプ(グランピング)施設「Mandarin Field」では、ありがたいことに夏休みはたくさんの方にお越しいただけました。
しかし、ここの運営で利益を出すまでは、正直、いきません。
では、どうするの? 今日はそんなお話です。

想定外だった、客層。しかし理由を聞いて納得。

7月あたりから、ポツリポツリと予約が入り始めました。
おもしろいのは、「なっぷ」で予約したのち、ほとんどの方がMandarin FieldのInstagramへDMを送ってくれること。
予約しました、こんなことってできますか?
ほぼ、そんな質問です。
・乳幼児入れると定員オーバーですが、いいですか?
・薪風呂を昼間にプールとして使いたい(プールできるよ、とインスタでアップしていたので)
大きく分けると、この2つの質問に集約されます。

オープン前は、成人のグループ、家族(子どもが幼児以上)が利用すると考えていました。
ところがフタを開けてみると、7割は乳幼児のいるご家族、1割はキャンプデビューのグループ。
理由を聞いて納得だったのですが、まず乳幼児のいるグループは、普通のキャンプ場だと夜鳴きで迷惑をかけてしまいそうだと気になってしまい、利用を躊躇してしまうから。Mandarin Fieldだと誰にも気を遣わなくていいし、消灯時間もないから、本当にのんびりできる、というのがうちを選んだ理由。
キャンプデビューの方は、どんな道具を選べばいいかわからないし、自分たちの道具だと、キャンプ場で恥ずかしいかも。それに、キャンプのルールがわからないから行きづらい、という理由でした。

キャンプブームの中で、置き去りにされていく気持ちがあるような気がして、その思いを受け止められる場所になれればな、と感じました。
キャンプは、誰もが好きにたのしんだらいい。そう思います。
ギア自慢のブームが来て、盗難などネガティブな話題が出て、哀しいことです。ただ、ブームになってしまったら、いずれ冷めていくものです。
だからそれまで、僕は「キャンプがしたい!」という思いを持つ方をできるだけ受け入れていこうと思ったのでした。


利用料は少々高い(関西基準)。しかし、ここだけでは無理。

さて、お客さんが動き始めると、売上が立ち始めます。
Mandarin Fieldは、一般的なキャンプよりも高めの料金設定です。
いずれも1グループ大人6名、子ども含む最大8名までで、
月〜木は20,000円+税
金〜日曜は25,000円+税
祝日・ハイシーズンは30,000円+税
です。
うちの施設を知る関東のキャンパーからは、もっと高くてもいいよ、と言われますが、実は名古屋以西のキャンプ場ににかけるコストは、関東より低いのです。だから、苦しいけれどこれ以上の利用料金設定にはできない。

Mandarin Fieldには、いくつかのミッションがあります。
1.農薬に頼らないみかんづくりを、広く知らせる
2.農業従事者の所得を上げることで、安心して農業ができる環境に
3.グランピングはアウトドアホテルじゃない、を知ってもらいたい
大きくはこの3点。
農園主にホスト役およびサイトの保守をお願いしているのは、2番目のミッション。
通常は利用料から「なっぷ」の手数料と私の管理費を引けば売上になりますが、うちは農園主へ土地の利用料金と保守管理費用をお支払いすることにしています。
つまり、Mandarin Fieldにお客さんが来れば来るほど、ミッションの1と2がクリアできていく仕組みです。
裏を返せば、ここの運営だけで収益事業とするには無理がある、ということ。そのため、キャンプ場開設当初から、二次産物の製作に動いていました。それが薪風呂です。

第1弾の薪風呂。これはヨーロッパで主流の形を日本でつくりました。

上の写真は、初代薪風呂です。日本に「DutchHub」という名前で輸入されている薪風呂がありますが、薪をくべる炉は、ヨーロッパで主流となっており、DutchHubにも採用されてるグルグル巻きの形にしました。
ところが!

この形だと、最も高温となる炎の上を無駄にしています。ゆえに、450リットルほどあるうちのお風呂が沸くまでに、3時間近くを要することに。
お客さんはそれでも楽しめるよ、と言ってくれますが、我慢できませんよね。やっぱり2時間以内がボーダーラインではないでしょうか。
そこで、6月から第2弾の薪炉製作にとりかかっていたのでした。



アウトドア事業としての収益化を真剣に考える。

製作開始といっても、すぐには作り始められません。炎の勉強、水の流れ方の整理。炎と同時に風の動きも考える、などなど、検討ポイントはいろいろありました。それらを一つひとつ検証し、8月に完成したのが、第2弾薪風呂です。

第2弾は、フォルムの個性にもこだわりました。

これが、第2弾の薪炉。Mandarin Fieldにはもう導入済みです。
初火入れの時は、感動ものでした。無風状態という好条件も手伝って、450リットルの水が、しっかり温もれる温度になるまで90分だったのですから!
火を入れて2時間後には湯に浸かって「ほ〜」とでも言える時間です。
感動と同時に、市販レベルにできた実感がありました。
ここから細部の改良をさらに進め、10月には販売をスタートさせます。
とはいえ、すぐに売れるとは思っていないので、今年度はその告知がメインになるのかな。売れたら嬉しいけれど。
Mandarin Fieldは、この薪風呂をリアルに体験してもらえる場所。つまりショールームの機能をもつことになります。
その上で、全国のキャンプ場や古民家暮らしの方へ向け、薪風呂を販売していく。ここまでやって、ようやく「アウトドア事業」としての収益化が見えてくると考えています。
趣味ではなく、会社の事業として取り組むと決めた以上、きちんと売上にしていくことは当然です。

幸いなのは、本業は編集者・ディレクターなので、チラシやパンフレットの制作はお手のもの。撮影に協力してくれるカメラマンも仲間にいます。
あとは、伝え方。


ミッション3番目+αを伝える。

情報を伝えるという作業を、もう四半世紀仕事としてやっています。そのスキルをフルに使い、Mandarin Fieldは何を感じてほしい場所なのか、お客さんにどんな価値を提供していくのかを、丁寧に整理しているのが現在の状況です。
ミッションの3番目についてはこれまでもnoteで触れてきました。言うだけでなく体感できる場所として、そこにどんな価値を付加できるのか、それをどのような言葉にしていくのか。
仕事上では、クライアントからの依頼でこの作業をしています。でもこれって、オーダーが来た時点で向かうべき方向、ゴールは見えているのです。
しかし自分の施設となると、方向性やゴールの設定から考えていくことになります。ちょっと苦戦中ですw。

苦戦している理由は、実はもうひとつ。
施設のある「下津きょうだいみかん山」では、これまでになかった害虫被害が報告されています。農園主はその対応で、Mandarin Fieldの管理どころではないかもしれない。お客さんに農園のことを伝えられる心境ではないかもしれない。
そう考えると、僕は何を外へ向かって発信するべきなのか。使命を今一度整理しなければなりません。
僕は当事者にはなれない。恐らくそこが苦しいのだと思います。
しかし、自然をパートナーに選んでいるのは、農園もキャンプ事業も同じ。向き合い方の再検討、ですね。

農園は11月と12月、そしれ年明けまで収穫期に入ります。そのため、Mandarin Fieldは一時お休みです。
再会は1月中旬。その時、冬のお楽しみを用意したいなぁと考えています。構想はもう固まっていて、そのためのルートマップを頭の中で描いているところです。
3つのミッションを進めていくために、自分にできることは考えて、実現させること。お客さんが「来て良かった、また来よう」と思ってもらえる価値を提供することです。

みなさんも、ぜひ一度お越しくださいね。
気になってくれた方、まずはホームページとインスタでどんな施設なのか、覗いてみてください。最新情報はインスタで!

ホームページ→https://foun-p.com/
Instagram→https://www.instagram.com/mandalin_field/

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