あれ、四国君の椅子、足りなくない?
補欠選挙の話
関門海峡を渡れば衆院補選が行われていますが、明石海峡大橋を渡れば参院補選が行われていますね。所謂「合区」と言われる奴で、高知県・徳島県から1名選出です。事実上の与野党対決で、解散の試金石とも言われていますが、いまいち盛り上がっていない様子なのが徳島県。マイペースな様子を見せていますが、何を隠そう候補者が両方とも高知の人。高知の人が辞めたので高知の人同士で戦います。あれ?徳島県の椅子は?剣山の向こうの揉め事とか興味無いんだけど。椅子、足りなくない?
2016年と19年の選挙で、それぞれ1つずつ四国の椅子が奪われ、高知県と徳島県の椅子取りゲームが始まりました。参議院の定数増えたのに。偶数回で徳島、奇数回で高知の人が~…じゃあ今回は高知か…。となるわけもなく。今回はこっち、次回はあっち、なんていう1票の格差が無限倍になってしまうことを日本人が認めるとは思いません。
まぁ、無理があるんですよ。都道府県がほとんど変わらないまま県民意識というものが作られていった、そして参議院は衆議院と違い原則都道府県単位である。その前提に立脚したとき、うまく機能するわけが無いんです。数字の上では上手く行っても実際その通りには回るわけがない話。
改善案
では、どうすべきか?という案。いくつか挙げてみましょう。
1 0.5人区
1つ目が、0.5人区を作る案です。ややこしい話ですが、参議院は任期6年なのに3年ごとに選挙がある、所謂半数改選の方式を採っています。そのため、1人区で選出される議員は2人となります。前回選出された人が1人、今回選出された人が1人、という感じで。
つまり0.5人区とは、「任期を3年にして合区を解消させよう」という案です。現在、「鳥取県・島根県」から2人、「高知県・徳島県」から2人がそれぞれ任期6年で選出されていますが、各県から任期3年で1人ずつ選出するのはどうかという話です。各県から選出されますし、選出議員の数は変わりません。人口に対して「人 X 期間」分の選出能力があると見做すということですね。
更に付随したメリットがありまして、これを拡大すると、4.5人区とかも作れるようになるわけです。4人目までは6年、5人目は3年の任期ですよ、と。現状偶数人区しか存在しない参議院選挙区に奇数人区を作れるんです。なんでこんな厄介なことやるの?と思うかもしれませんが、つまり1票の格差が小さくなるのです。これまで、都道府県あたり2人ずつしか動かせなかったのが、1人ずつ動かせるようになるので。
しかし、私はこれには否定的です。任期を半分にすることが決して1票の格差を解消するとは思えないからです。また、実際に議会の一場面を切り抜いた時、人口に対して議会に占める0.5人区の県の議席の割合が大きくなってしまうという欠点もあります。更に、これが増えた場合、1回で改選する議席の割合が全体に対して大きくなるわけなので、大きく勢力が動かないという参議院のメリットが消えてしまいます。良識の府、落ち着いてくれ。
2 鳥取県を基準に定数を増やす案
人口が一番少ない県、鳥取。無論合区を作るときは島根県と一緒にされたわけですが、この鳥取を基準にして各県の定数を増加させる、というのが次の案です。1票の格差を、増やして解決するというもの。
一番わかりやすい方法だとは思うんですが、議員を増やす、というのは理解が得られない風潮があるのかなという気がします。しかし、私は議員定数を増加させるべきだと考えていますので、この案を是非押していきたい。
勿論欠点もあります。定数が増えるのもそうですが、とにかく東京都の議席が大きくなってしまうことです。2020年の国勢調査を基にしても、東京都は1改選あたり26議席。全酷区以上に熾烈な争いになりそうです。
3 各都道府県同数を選出する案
これはかなり割り切った案ですが、つまるところ現状のバージニア案に対するニュージャージー案という訳です。一票の格差?ガン無視です。都道府県間の格差を平等にする案、ということになります。現状、参議院の選挙区議席は148議席なので、40議席足して全県4人区とかでしょうか。現状からあまり動かさないなら全県3人区で、余りを使って東京都・北海道だけは特別扱いして良いかもしれません。(3人区の扱いに困るというのはご尤もな話ですが)
「一票の格差」に慣れ切った日本人には馴染みが薄いかもしれませんが、地方分権を進める上では、地方にある程度力を持たせてあげるのも大切だと思います。もっとも、日本の場合は「邦」ではなく「県」な訳ですが。(ニュージャージー案では、各自治体の権限が大きい連邦国家であることを前提としている)
なんかいい感じの〆
ともかく、ただでさえ低い投票率が問題視されている現状、徒にこれ以上投票率を低下させるべきではありません。そのため、私は合区には反対です。多少議員が増えようが、より地に根差した活動をして、より国民に近い国政であってほしいと思います。
四国に関して、もう一つ書きたいことがあるのですが、それはまた時間があるときに。
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