無題
悲しい人が、死んでいく。
悲しいまま生きて、そして死んでいく。
神様はいないな、って思う。
悲しみはどこへいく。
俺が掴まえたとして、誰にも伝えないが。
伝えたほうがいいのかな。
閉じている時、寄り添う音を探す。
潮風で錆びた鉄筋はぐにゃぐにゃ。
くやしい人の、代わりにはなれない。
俺が動けば景色は変わっていく。
あったかい小さな命が泣いてて、
透き通った懐かしい声を思い出した。
悲しい人が、死んでいく。
俺のことを待っていた。
まるでいつか会えるかのように、
笑ってるんだ。
まるでいつか会えるとでも思いたいのかも。
俺も思いたい。
でも、永遠の別れなんだ、これは。
とてもつらいけど。
さようなら。ありがとう。
ありがとう。さようなら。