海

横山
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誰もやってこない崖にかろうじて残る
海沿いの美術館 僕はそこにいた
足音だけが響く シャンデリア揺れる
古びた1枚のキャンバスを見つけた

描かれた君を観て灯台へと向かう
ベンチは濡れていた ホッカイロ握った
固いパンを食べた カモメが鳴いていた
強い風が吹いた 君の骨を撒いた

「やっと会えたね」 君が笑っていた
「さよならはつまらないよ」と囁いていた

サービスエリア 双眼鏡を覗く
迷子の竜巻がぶつかって弾けた
風の忠告 よそ見してハンバーガー
頬張る横顔が愛しくて透き通る

君の手を繋いで展望台に登る
薄ピンクの口紅 キラービートの悲しみ
古いスピーカーからジングルベルが鳴り
潮風が歌い出す クラゲが踊ってる

BGMは僕らにはいらない
「来年もまた来ようね」と君は言ったのに

ーーーーーーーー解説ーーーーーーー

クリスマス、男は美術館へとやってきた。
彼女が昔、モデルとして描かれた絵を見るために。去年は二人で、今年は一人で見に来た。彼女は今年、亡くなっていたから。絵を見た男は近くの灯台へ行き、彼女の骨を海に撒いた。絵の中の彼女が「さよならはつまらないよ」と言っていたから。


男は彼女との思い出を辿るつもりだった。
帰り道、去年同様、サービスエリアに寄った。
ハンバーガーを食べる彼女が見えたと思ったら幻で、透き通っていた。
男は思い出す。
「去年は展望台で二人で海を眺めていたら、
スピーカーからジングルベルが鳴り出して、海に響いていたなぁ。」
今年はあんまり聴きたくないな、と男は思った。


日本海のような寂しい荒れた海をイメージした歌です。

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