まず描く!話し合いに全員が参加できるコンセプトワーク ~新宿区立落合第六小学校×グラグリッド 参加型体験授業【2019年6年生②】 ~
「意見が対立して決まらない!」
「話を聞いてもらえない!」
「話す場にも関わらず黙っている人が多い!」
「声が小さくて聞こえない!」
これらは、小学6年生たちが話し合いの場で困っていることの一例です。
新宿区落合第六小学校では、落六DASHという1年生〜6年生までが一つのテーマを決めて、それを探求する縦割りの授業があります。
その落六DASHをリードする役割が6年生。「どんなテーマにするか?」「どうやって進めるか?」その話し合いを進める中で、冒頭の困りごとが発生しています。前回から4ヶ月ほどたった今回のグラグリッドの授業。ここでは、そんな6年生の困りごとの解決に向けて実施した授業についてレポートします。
ちなみに、冒頭の困りごと、ビジネスの世界でもチームを率いるリーダーの皆さんは、少なからず同じような悩みを抱えているのではないでしょうか?
そんな皆さんにもきっと興味を持ってもらえる内容です!
全員が話し合いに参加できるコンセプトワークの授業
一人ひとりの意見が尊重され、全員が話し合いに参加できる。そして、みんなのアクションにつながる希望の星をみんなで見つけよう!そんな話し合いの構造がイメージしやすいように、てっぺんに☆のついた2段のクリスマスツリーを描きました。
話し合いの「テーマ」を決める
はじめは話し合いのテーマ決め。ここで、講師の尾形からクラスのみんなが同じように知っていたり、共に体験したりしているものとして「給食をもっと楽しく食べるには?」とテーマを発表したところ、子どもたちからブーイングの嵐!
「いま給食楽しいしー」
はて、困った。
そこで、子どもたちと「話し合いたいこと(テーマ)」についての話し合いに。
すかさず、子どもたちの中から「掃除は楽しくなーい」という声があがり、「掃除、掃除!」と盛り上がりました。
そこで、給食ではなく「掃除をもっと楽しくするには?」をテーマにして、二つのグループに分かれてはじめることに。
絵を使って話し合いを変える。
それは、一人ひとりがアイデアを描くことからはじまる!
テーマが「掃除をもっと楽しくするには?」と決まり、ここからが、話し合いです。しかし、最初から話し合いはしません。絵を使うことで、話し合いを変える体験がはじまります。
まずは一人ひとり、テーマに対してアイデアを絵に描き出します。解放された力なのか、子どもたちは臆することなく、どんどん描いていきます。
ゴミ競争:空っぽのゴミ箱が動き回ってゴミの収集量が多いチームが勝ち〜
鬼ごっこで掃除ができる!?
ひとり2つ程度アイデアを絵で描きます
「一人ひとりのアイデア」を、並べて「みんなのアイデアに」
ひとり2案ほどのアイデアを描き終えたら、クリスマスツリーの下の段に並べてもらいました。アイデアが次々と並べられるにしたがって、子どもたちは自分が出した以外のアイデアも面白がるような目に変わっていきました。個人のアイデアだったものが、みんなのアイデアたちに変わった瞬間でした。
アイデアの核を、眺めながら、話し合って抽象化。
重要な要素をキーワードに!
次は、一般的には似た要素を集めて共通項でくくりがちですが、ここではKJ法や親和図法と異なりくくりません。
出揃ったアイデアたちを眺めていると、絵で表現されている効果もあってアイデアに含まれている共通するものや特徴的なものが話し合いから浮かび上がってきます。これらを重要な要素としてキーワード化してクリスマスツリーの上の段に書き出します。
自動、ゲーム、パリピ、ギャンブル、遊び、スポーツ・・・
理想の姿として、一つの☆を編み出す
最後に、☆です。☆は、みんなが理想とする掃除の姿。アイデアたちから抽出されたキーワードを眺めて、話し合いながら編み出していきます。
そして、各グループで編み出された言葉が、「掃除のテーマパーク」と「笑顔の生まれる掃除」。
どちらももっと掃除が楽しくなるようなイメージができますね。それぞれの☆が決まって、話し合いがまとまりました!
絵を使って話し合いが変わった
実際のデザインプロセスとしては、ここから具体的に実行できるアイデアを考えていくことになりますが、授業としてはここまで。最後に発表をして、今日の授業をふりかえりました。
みんなが話し合いに参加できること、みんなの違う意見を多方面から見ること、話し合いの構造を共有しやすくすること、話し合いを進めるにあたって、それぞれ大切なことを子どもたちは授業を通じて感じ取ってくれたようです。
【今回実施した話し合いのSTEP】
STEP1:話し合いの構造を決める
STEP2:話し合いのテーマを決める
STEP3:テーマに対するアイデアを絵で描く
STEP4:アイデアを並べる
STEP5:アイデアの核となる重要な要素を抽出する
STEP6:理想の姿として、ひとつの☆を編み出す
この経験が、落六DASH、に限らず社会の中の話し合いをしていく場で活かされていくことができたら嬉しいですね。
さて、これで、本年度のグラグリッドの授業は終了。と同時に2年間続いた6年生たちとの最後の授業でもありました。思えばグラグリッドは皆さんから多くのことを学ばせてもらいました。ありがとうございました。そして、これからも、共に成長していきましょう!
(尾形)
写真提供:逢坂写真事務所 逢坂憲吾さん
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