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小学生による・小学生のための・小学生のビジョンづくり!ワークショップ実施

新宿区立柏木小学校では、「まなびのマルシェ」など、子供たちの可能性を開化するためのユニークな取り組みがされており、グラグリッドはそのプログラムデザインや運営に携わっています。

まなびのマルシェで大人たちの姿から刺激を受けた子供たち。今度は「子どもたちが主体的に活動する機会を作りたい!」、そんな校長先生の思いから、柏木小学校では今年から新たなプログラムである「柏木ライブ」がスタートしました!

「柏木ライブ」とは?

柏木ライブは、地元企業や起業家の協力のもと、社会や町を元気にしていくためのプロジェクトを立ち上げ、3〜6年生が活動を行っていく起業型探求プロジェクトです。

柏木ライブでは、①新宿区との新宿駅再開発プロジェクト、②地元プロサッカークラブ広報部との広告代理店プロジェクト、③ダンサーや演劇家とのエンターテイメントプロジェクト、④アーティスト・デザイナーとのアートプロジェクト、⑤小学校の屋上にある屋上菜園を活用した野菜の森プロジェクト、⑥各プロジェクトの取材や発信を担うマスコミプロジェクトの6つのプロジェクトチームが活動をしています。

今回は柏木ライブの各プロジェクトのチームビジョンをつくるために、チームの牽引役となる6年生とのワークショップを全2回に渡って、グラグリッドが企画・実施しました。

私たちにとっても初の小学生による・小学生のための・小学生とのビジョンづくり!今回は、子供たちとのビジョンづくりワークショップで行ったことと工夫を共有します。


なぜ子供たちとビジョンをつくるの?

子供たちは柏木ライブをとても楽しみにしており、「こんなことやってみたい!」という思いを各々持っていました。しかし、やってみたいことが各人の興味をもとに考えられているため、今回の柏木ライブの目的である「起業活動を通して社会や町を元気にしていく」とは紐付いておらず、またチームとしてやりたいことがまとまらない状態でした。

そこで、プロジェクトのチームビジョンを子どもたち自身が作ることで、「何のため」という目的を意識しながら、チーム一体となって活動できるようになるのではないかと考え、チームのビジョンをつくることにしました。

そして、チームビジョンをつくるためには、まずはチームとして活動する意識を高める必要があると考え、チームづくりを目的としたワークショップを実施することにしました。

ワークショップ①: チームづくり

Step1: やってみたいことを共有しよう

ワークショップは、まずは子供たち一人ひとりがプロジェクトを通してどんなことをやってみたいのか、それぞれのアイデアを共有することからスタートしました。

各プロジェクトごとにアイデア発想のヒントとなる問いを設定し、「こんなことができたら面白いかも!」と思うことを模造紙に各々書き出してもらいます。

他の子のアイデアからヒントを得て、どんどんやりたいことのアイデアが広がっていきます
広告代理店チームのやってみたい活動のアイデア

Step2: 誰のためのアイデアか考えよう

次に、模造紙の上に繰り広げられた活動のアイデアたちを参考に、特にやってみたいと思ったことを、一人ひとりワークシートに書き出してもらいます。

この際、ただ単に楽しそうだからやってみたいという視点だけではなく、もう一歩視野を広げ「誰のため」に役立つアイデアなのかということを意識して書いてもらうようにしました。
そこで活用したのが「街に住む人マップ」。マップを見ながらアイデアを考えることで、家族や友達だけではなく地域の人たちに目を向けてもらいやすいように工夫しました。

家族や友達以外にも、地域にはいろんな人がいるぞ!


また、アイデアをまとめるワークシートは、アイデアを実現したらどんな反応があるか、表情やセリフを書き込めるようにし、ワクワクしながら書いてもらえるようにしています。

新宿開発プロジェクトの活動アイデア一例
アートプロジェクトの活動アイデア一例

Step3: 何のためのアイデアか考えよう

今度はまとめたアイデアについてさらに一歩俯瞰的に捉え、「何のため」のアイデアなのかを考え、ピンクの付箋に書き出していきました。

すると、「駅を利用する高齢者が困った時に周りに手助けを求められるようにするため」、「ダンスパフォーマンスを通して、地域の人を応援し、元気にするため」「アートを通して、地域の人たちの交流を促進するため」など、自分たちの活動がどのように社会や地域で役立ちそうかが見えてきました!

ピンクの付箋に活動の目的が書かれています

Step4: チームに必要な役割を考えよう

ここまでのワークを通して、社会や地域のためにやってみたい様々なアイデアが出てきました。次は、それらを実現していくためにはチームにどんな役割が必要かを考えてもらいます。

最初は「社長が必要だよね」「営業する人もいるんじゃ?」など、役職について話が盛り上がってしまいました。ですが、外面的な役職ではなく、中身が大切です。
そこで、改めてチームにどんな人がいてくれたら活動が進んでいくか話し合っていくと、「まとめてくれる人」「盛り上げてくれる人」「周りの意見を聞ける人」が必要ではないか等の意見が出されました。

黄色の付箋にチームで必要な役割が書かれています

Step5: 自分の役割宣言をしよう

ワークショップ最後のワークは、個人の名刺作りです。
「このチームにはこんな人が必要だから、私はこんなことにチャレンジしたい!」という思いを名刺に書いて、宣言してもらいます。

小学生が自分の名刺を持つ機会ってなかなかないですよね。子供たちも大人のように自分の名刺を持ててなんだか嬉しそうです!

名刺づくり中
 完成した名刺!似顔絵と挑戦したいことが書かれています

ワークショップ②: チームでプロジェクトビジョンを考える

前回のワークショップから約1ヶ月後、夏休み明けの子供たちと2回目のワークショップを実施しました。
前回のワークショップでチームとしての活動の意識を高めた子供たち。今回はいよいよチームでプロジェクトのビジョンを考えていきます!

体育館に集合して、スタート!

Step1: チームの「いる意味」を考えよう!

まずは、このプロジェクトチームが「いる意味」を考えることからスタート。
いる意味のワークでは、チームが社会でどのような役割を果たしていきたいのか、地域の人たちにとってどのように役立ちたいのか、自分たちプロジェクトチームと社会のつながりを考えていきました。

具体的には、たくさんの写真の中から、ありたいチームのイメージに近いものを選び、一人ひとりが選んだ理由を共有していきます。
たくさんの写真の中から選ぶ作業は、ゲーム感覚でできるので子供たちも夢中になっていました!

写真を見ながら自分たちのいる意味を考える子どもたち

一人ひとりの共有では、
 「一番星のように社会を照らしていきたい」
 「友達のように、相談できて頼りになる存在になりたい」
 「橋のように、人と人を繋いでいきたい」
など、いろんな思いが出てきました。

次は各人の意見を参考にしながら、チームのいる意味を1つにまとめていくのですが、ここで一苦労。
「私は絶対こっちがいいと思う!」「いやこっちだって!」と意見が対立してしまい、なかなかチームとして一つにまとめることができません。
お互い自分の意見を主張をするばかりで、相手の意見と自分の意見をどう融合していけばいいのかわからず、子供たちも葛藤している様子でした。

その日のうちには意見をまとめることができないチームもありましたが、社会や地域にとってのチームの役割が見えてきました。

広告代理店チームが考えたチームの社会的役割

Step2: 「つくりたい社会」を考えよう!

ワークショップの最後は、今までのディスカッションを統合しながら、プロジェクトでの活動を通してつくり出したい社会のアイデアを1枚にまとめます。

ここではパーパスシップという構図を用い、チームを船にたとえ、帆に自分たちのいる意味を、船の先の島に目的地となるつくりたい未来を描き、ビジョンとしてまとめます。
(デザインのしたじきにもテンプレートがあるので、ぜひ皆さんもご活用ください)

今回はパーパスシップを模造紙に描いていきます。
船の上に自分たちのイラストを書いたり、船に色を塗ったりと、楽しみながら仕上げていきます。

夢中でパーパスシップを仕上げていく子どもたち

Step3: みんなにビジョンをお披露目!

最後はみんなで一生懸命つくったビジョンを全体でお披露目です!

「みんなが笑顔で楽しく、新しいことにチャレンジできる社会をつくってきたい!」「活動を通して、一人ひとりがアピールし、輝きやすい社会にしていきたい!」等、素敵なビジョンが発表されました。

ビジョンづくりという難しいテーマに子供たちがどこまで取り組めるか、はじめは未知数な部分もありましたが、どのチームも最後まで投げ出さずに実現したい社会まで考えることができ、「子供たちはこんな難しいことに挑戦できるんだ!」と、改めて子供たちの可能性を感じる機会となりました。

子どもたちにとって今回のビジョンづくりが、社会に目を向けるきっかけになり、また「何のため」を考えることの意味を感じる機会になれば嬉しいと思います。

(西岡)

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