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熊肉の妄想

今回は僕が昔なんかの小説の問題で解いて心に残っている話をする。僕の妄想で付け加えて考えている食レポである。
今日の晩餐は、どこか秘境の山奥でしか味わえない特別な贅沢。熊肉だ。

秋の間に発芽のために栄養を蓄えた甘いどんぐり、産卵の時期に備え脂の乗った鮭、を食らい、冬眠の準備をしている熊。こいつを狩る。撃ち殺す時に注意すべきなのは1発で仕留めることだ。仕留め損なうと熊は緊張して肉が硬くなる。首を狙い1発で仕留める。

熊肉はいわゆるジビエと言われる獣肉だ。ジビエは一般に臭みが強いので処理が大変だが、熊は違う。

まずは、その存在感を持つ熊のステーキを目の前にすると、自然と心臓が高鳴る。目の前には、炭火で焼かれたばかりの、ジューシーで香ばしい熊肉の塊が。皮目はパリッと香ばしく、肉汁が滴るほどの鮮やかな赤身。もはや食べるまでもない。これは旨い。口に運ぶと、最初に感じるのは、野生の香り。山の恵みそのものの、力強い風味が鼻腔を駆け抜ける。

一口嚙むと、肉の繊維が口の中でほどけ、驚くほどの柔らかさと深みのある味わいが広がる。熊肉特有の甘みとコク、その奥に潜むほんのりとした獣の風味が、舌の上で踊る。野生の力強さを感じるこの味は、まさに自然が織りなす芸術だ。

付け合わせは、山菜の炒め物。蕨やこごみが熊肉の濃厚さを受け止め、さらにその味を引き立てる。醤油ベースのソースは、熊肉の豊かな味わいを引き立て、かつ、食欲をそそる香りを放つ。

一口、また一口と進めるうちに、自然と身体が温まる。まるで、熊の持つ生命力が自分の中に宿るかのようだ。そして、ワイルドなこの食事は、ただ食べるだけでなく、体験そのもの。地球の鼓動を感じる一皿。

どんぐりは熊に食べられ、その熊を僕はいま食べている。輪廻転生、命の重み、死、感じる。生に感謝して生きていこう。そう思わせてくれる。

今回はこれで終わる。
追記:この記事の見出しの画像は僕の撮った夜景です。めっちゃ綺麗でしょ。


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