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75%の時短を実現!ZoomとChatGPTで議事録作成が驚くほど簡単になった方法
「週に15時間」
これは、ある調査によると日本のビジネスパーソンが会議に費やす平均時間です。さらに驚くべきことに、その3分の1は議事録作成に充てられています。
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まるで時間泥棒のような存在である『議事録作成』。しかし、私たちはこの『必要だけど面倒』な作業を、驚くほどシンプルに効率化する方法を見つけました。
ZoomとchatGPTが生み出す、まったく新しいワークフローが、この長年の課題を一気に解決してしまったのです。
本記事では、たった2週間で部署朝礼の議事録作成時間を75%削減した、私たちの挑戦をお伝えします。
文字起こしとAIを組み合わせた議事録作成フロー
私たちの部署では毎朝30分の朝礼を実施していますが、その後の議事録作成に20分以上を要していました。
つまり、1日の業務開始時に約50分を朝礼関連の作業に費やしている状況でした。この時間的な課題を解決するため、2024年11月に議事録作成の効率化プロジェクトを開始しました。
最初の検討事項は、会議内容を効率的に記録し、チーム内で共有しやすい形に整理する方法の確立でした。
そこで私たちは、まずZoomの文字起こし機能を活用し、会議中にリアルタイムで発言内容をテキスト化する試みを実施しました。このテキストデータを基に、ChatGPTを用いて会議の要点を抽出し、自動で議事録を生成する流れを設計したのです。
プロジェクト初期の課題
しかし、プロジェクト初期には多くの課題が浮かび上がりました。当初は「Zoomの文字起こしを議事録形式に整理してください」という簡単なプロンプトでChatGPTに依頼していたため、特に要約の質に関する問題が発生しました。
①会議の内容が要約されすぎてしまう
下記の画像のように、会議の内容が極端に要約されてしまい、具体的な議論の内容が失われてしまうケースが頻発したのです。
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②人名の誤認識
さらに、基本的なプロンプトでは参加者の発言の識別も正確に行えませんでした。以下の画像のように、Zoomの文字起こし機能による誤認識が原因で、発言者が間違って記録されるケースが発生したのです。
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このように、ChatGPTに適切な指示を与えないと、期待する品質の議事録は作成できないということが明確になりました。
ChatGPTを「完璧な議事録作成者」に仕立てる
プロジェクト初期の課題を解決する鍵は、ChatGPTへの適切な指示、つまりプロンプト設計にありました。
まず、朝礼特有の構成要素を明確にプロンプトに組み込みました。
# あなたの役割
以下の制約と出力形式に沿って、
提供されたテキストデータ(zoomのMTG内容を文字起こししたデータ)から正確で包括的な議事録を作成してください。
# 制約
- 会議に参加していない人が見ても、内容が理解できるように詳しく記述してください。
- 内容を要約しすぎないように注意し、発言内容を適切に反映してください。
- 誰が話しているのかを正確に判別し、発言者を明記してください。
- 補足説明や質問など、他の参加者からの反応や発言も議事録に含めてください。
- 参加者一覧には、実際にMTGに出席していた人だけを正確にリストアップし、ニックネームや誤変換があれば正しい表記に修正してください。
- 出力した議事録は、そのままコピー&ペーストで転用できるよう、コードブロック(`````)内にフォーマットを整えて出力してください。
- 会議中に出たすべての重要事項、議論、タスク、役割分担を詳細に記録してください。
- {日付}は本日の日付を反映させてください。
# 出力項目の詳細
**参加者**:
- 高橋 一郎, 白井 真理, 鈴木 千春, 佐藤 優子, 田中 正志, 中村 賢一
(会議に出席した全員を明記)
**<ニュース共有>**:
- 会議冒頭で共有された外部に詳細を明かせない特定分野のツール関連ニュースを、元の発言を踏まえ詳細に記録
**<全体共有>**:
- プロジェクト進捗、特殊ツールの機能改善報告など、社外秘性の高い内容を反映
**<タスク共有>**:
- 把握すべき業務や案件対応内容を記録
# 出力形式
【{日付}】
参加者:
高橋 一郎, 白井 真理, 鈴木 千春, 佐藤 優子, 田中 正志, 中村 賢一
<ニュース共有>
◆発言者
- 内容
<全体共有>
◆発言者
- 内容
質疑者>
- 内容
<タスク共有>
◆発言者
- 内容
具体的には以下のような指示を含めています。
・会議参加者を正確に記録し、
ニックネームや誤変換は正しい表記に修正すること
・全体への共有事項(プロジェクト進捗や機能改善報告など)
を漏れなく記載すること
・個別のタスク共有内容を具体的に記録すること
・質疑応答の詳細な記録を行うこと
・社外秘情報は適切に取り扱い、記録すること
また、プロンプトには議事録のフォーマットも具体的に指定しました。
例えば「◆発言者」という形式で記録することや、内容を箇条書きで整理すること、日付を自動で反映させることなど、見やすさと実用性を考慮した指示を加えています。
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これらの改善により、議事録の質が大きく向上しました。
発言内容が『ニュース共有』『全体共有』『タスク共有』というフェーズごとに整理され、各フェーズでの発言者と発言内容が明確に記録されるようになりました。また、過度な要約がなくなり、人名の誤認識も減少したことで、読み手が内容を正確に理解できるようになりました。
現在では、30分の朝礼に対して5分もかからずに正確な議事録を作成できるようになっています。プロンプトの改善という単純な対応でしたが、その効果は劇的でした。
ChatGPT o1 Proが可能にした会話理解型議事録
プロンプトの改善に加えて、ChatGPTのモデル選択も議事録の質に大きな影響を与えることが分かりました。
特に注目したのが「ChatGPT Proのo1 Proモード」の活用です。
従来のモデルでは、単純な発言の記録に留まっていた議事録が、o1 Proモードでは大きく進化しました。
複数の参加者による連続的な会話も正確に記録できるようになり、さらには発言に対する他のメンバーの反応や補足まで文脈を含めて記録できるようになったのです。また、どの発言が特に重要であるかの判断も的確で、メリハリの効いた議事録を作成できるようになりました。
・複数人による連続的な会話の正確な記録
・発言に対する反応や補足の文脈を含めた記録
・発言の意図や重要度の適切な判断
この改善効果を実際の議事録で比較してみると、従来モデルでは発言者の順番と内容を単純に羅列するだけの無機質な記録でしたが、o1 Proモードでは発言同士の関連性や、その場の文脈まで含めたより立体的な議事録が作成できるようになりました。
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この改善により、朝礼の議事録作成における作業の流れも大きく変わりました。以前は全工程を人間が行っていた作業が、現在ではAIが約8割を自動で生成し、残りの2割を人間が確認・修正するだけで完了するようになったのです。
このような成功を受けて、今後は応用範囲を広げていくことも検討しています。部署間の情報共有文書や、プロジェクトの進捗報告書、さらには企画書の初期ドラフト作成など、文書作成業務全般での活用が期待できます。
ただし、完全な自動化を目指すのではなく、AIと人間の役割分担を明確にすることが重要です。それぞれの強みを活かしながら、より効率的な業務プロセスを構築していくことが私たちの目指す方向性なのです。
AIと人間の創意工夫がもたらす、業務改善の展望
私たちは議事録作成の課題に対し、ZoomとChatGPTを組み合わせた新しいアプローチを試みました。プロンプトの改善とChatGPT o1 Proの活用により、30分の朝礼に対して5分程度で正確な議事録を作成できるようになっています。
この効率化は、単なる時間短縮にとどまりません。会話の文脈まで理解した議事録により、チーム内の情報共有もより円滑になりました。特に重要な発言の把握や、複数人の会話の流れも正確に記録できるようになったことで、不在者へのフォローも容易になっています。
この成功を足掛かりに、今後は企画書作成など、より幅広い業務での活用を目指しています。AIツールは確かに強力ですが、その力を引き出すにはプロンプトの工夫など、人間側の創意工夫が欠かせません。
この記事で紹介した手法を、ぜひ皆様の職場での課題解決にお役立てください。