【読書記録】キリン解剖記
数年前に見つけて以来、読んでみたかった本をついに読んだ。
キリンが特別好きなわけではない。
どちらかというと解剖学の方に興味を持ったんだと思う。
大学で『解剖学』という授業が必修科目だった。
医療関係の資格のために必要な知識。
当時はただテスト対策のように筋肉や神経の名前を丸暗記するぐらいにしか学んでいなかった。
同時にヒト以外の動物の骨格や構造にも少し興味を持っていた。が、
忙しい大学生活の中で、資格に必要のないことまで勉強する余裕がないという言い訳で、調べたり、学んだりすることはなかった。
確かに、ほかの大学生よりは必須科目数は多く、実習や実技テストに日々追われていた。でも社会人よりは時間も体力も余裕があったんだと、社会に出てから気づいた。
時間がないというのは言い訳でしかない。って分かっていても、なかなか行動って出来ない。
この本はとても面白かった。
多少なりとも、解剖学的な知識があったからか、書き方が上手だったからかはわからないけど、とても読みやすく半日で一気に読めた。
小さいころからキリンがとにかく好きで、大学に入って(東大に入れる時点ですごいけど)、キリンの研究をして、新たな発見をし、論文を書いて・・・
と好きなことを極めることの楽しさ、面白さ、難しさがぎゅっとまとまっていた。
好きなこと、やりたいこと、興味のあることを口に出すってやっぱり大事なんだなぁ。でもこれが結構難しかったりする。
この著者である郡司さんは物心つく頃にはすでにキリンが好きだった。
私はもうアラサー。何かを極めたりするには遅い・・・。
好きなことを仕事に出来る人なんてのは限られている・・・。
と、楽しく読みながらも今の自分と比べて少し嫉妬した。
実際、子供のころから好きだったものを、ずっと学び続け、子供頃の気持ちのまま仕事に出来る人は数少ないとは思う。
でも最後の方のコラムで、郡司さんのお母さんの話が出てきた。
お母さんは専業主婦だったがお香にハマり、お香作りを習い、
お香にまつわる歴史についての本まで読むようになった。
そして今では調香師としてお香作りを教える立場になっているらしい。
何を始めるにも年齢は関係なく、好きなことを極めていいんだと。
すごい人の本なんかを読むと、自分とはすべてが違うと思ってしまいがちだけど、この話で少し希望が持てた。
好きなことを見つけたり、極めたりしてみようかな。