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「平和の詩」を聞いて
大学4年の冬、沖縄で一人旅をした。沖縄といっても本島ではなく、石垣島を拠点に、八重山諸島を3泊4日で廻るという旅程だった。特に印象に残っているのは、最終日に行った日本最西端の島・与那国島である。台湾までの距離111kmは、石垣島との距離127kmを下回り、地理的な視点だけで言うのなら、「ほぼ台湾」の島である。しかし、与那国島と台湾の間には強烈な海流が通っており、昔の人々はなかなか往来することができなかったのだと、現地の空港で学んだ。
ただ、時代は令和。海の向こうから漂ってくる緊張感は、いつ八重山諸島や沖縄の島々に影響を及ぼすかわからない。私が旅の中で発見した美しい景色たちも、ひょっとすると色を失くしてしまうかもしれない。
今年の「慰霊の日」に、平和の詩を朗読した現地の高校3年生は、「戦争の『せ』の字も知らない」という表現を用いた。彼の祖父母も戦後生まれとのことで、戦争を知る日本人がどんどん減ってしまっているのが現実だ。ただ事実、世界の各地では「誰かが始めた争い」が今日も起こっている。私が生まれてから、これほどまでに「世界中で戦争が巻き起こるかもしれない」と思ったことはない。我々にできることはそう多くない。だからこそ学び、知り、そして伝えよう。日本の、いや、世界の美しい風景を決して壊すことのないように。