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池袋の中央改札でトリビアを叫んだ馬鹿者
私は夕方18:00頃の帰宅ラッシュ時、池袋駅中央改札付近で叫んだ。
「少し耳を傾けてはくれないだろうか!」
家路に急ぐ人々のざわめきが収まり静寂が訪れた。私は今、白い目で見られている。冷やかな視線が刺さる。このまま語り続ければ、取り押さえられ西口交番に突き出されるやもしれぬ。しかし、例えそうなろうとも皆に伝えなければならないトリビアがあるのだ。
「私はふと気になったことがある。何故、西口に東武があり東口に西武があるのか。しかし、知る術が無かった。調べる気力も無かった。毎回、この中央改札を通る度に、そういえば、東西逆だよなぁ。と思っていたのにだ。笑いたければ笑ってくれ!
しかし、皆もふと気になったことがある筈だ!何故に西に東武があり、東に西武があるのか。この池袋に来たからには必ず一度はあるはずだ!あまりに些細であるがゆえに、どうでもよい豆知識であるがゆえに、その一瞬の気がかりを忘れて、皆、駅を通っていく。私もそうだった。
だが昨晩私の夢の中に、かの智を司る神、いけふくろうが現れて私に教えてくれたのだ!
「ググれば分かるよ。」と。
私はググった!そして知ったのだ、その真相を!それを今から皆に伝えようと思う!」
その瞬間、池袋駅中央改札付近に居た人々が歓喜に満ち溢れ、そして口々に言った。
「気になってたんだ!それ!」
「教えてくれよ!」
「ソースは?」
「これから私が話す真相は日経STYLEに掲載された記事の内容をかいつまんだものだ。詳しく知りたい人は馬鹿者の妄想演説なぞに目をくれず、ちゃんとした記事を読んでくれ!」
かくして、池袋駅中央改札の群衆は私の声に耳を傾ける聴衆へと変貌を遂げた。そこには、これから話されるトリビアを今か今かと待つ、トリビアの民だけが残ったのであった。
「時は90年前に遡る。1914年のことだ。この池袋の地には、東上鉄道の駅が出来た。現在の東武鉄道、東武東上線の前身だ。東上鉄道の東とは東京、そして上とは上州、今の群馬県を指す。池袋から群馬へと向かう鉄道であるが故に、西側に線路が走ったのだ。そして、1年後、今の西武鉄道の前身である武蔵野鉄道の駅が出来た。そう。元々は武蔵野鉄道だったのだ。それが時を経る内に武蔵国の西側を通ることから西武と名が変わったのだ。
つまり、駅が出来た順序からそれぞれの鉄道会社の池袋駅での東西が決まり、鉄道が通る土地が由来となって鉄道会社の名前が変わったことで、池袋での東西と路線の名が入れ替わったということだ。
また、このようになったのにはもっと深い訳があるのだが、ここでは割愛する!気になるものは日経STYLEの記事を読んでくれ!」
ここまで一息に語った私は、酸欠に見舞われて意識を失いました。そして目が覚めると自宅の布団の上だったのです。
そう。これは私が見た夢だったのでした。
ふと、本棚を見やると先日買ったいけふくろうのフィギュアと目が合いました。もしかすると、いけふくろうが私にこのトリビアを語って欲しいと願ったのかもしれませんね。
おわり