あの頃の君? 第15話
藤吉と映画に行く約束をした当日、桜は時間通りに待ち合わせの駅に向かっていた。
藤吉「あ、ねこだ…にゃ〜」
待ち合わせに場所に10分以上も早く来ていた藤吉は待ち合わせ場所で寝転んでる猫を見つけると、周りに誰もいないことを確認して猫と戯れていた。
桜(藤吉さんだ、なにしてるんだろ)
桜「藤吉さんおはよう」
藤吉「にy…あ、おはよう」
桜「何してるの?」
藤吉「桜くんが遅いからこの子と遊んでた」
桜「時間通りに来たから許して」
藤吉「もっと早く起きなよ」
桜「朝は弱くて…てかさっき何か言っt」
藤吉「うるさい、バカ」
桜「はい、ごめんなさい」
藤吉「いいから早く行こ、遅れちゃうよ」
桜「うん」
2人は電車に乗って映画館に向かい、映画のチケットを買った。
桜「映画までそんな時間ないからもうポップコーンとか買いに行く?」
藤吉「そうだね」
桜「どれにしようかな」
藤吉「これでいいじゃん」
藤吉は迷うことなく2人用のポップコーンを指さす。
桜「藤吉さん即決だね」
藤吉「悩んでる時間がもったいないから」
桜「もしかして最初から決めてたり…」
藤吉「何か言った?」
桜「いや…これにしよう」
藤吉「そうだね」
2人用のポップコーンを買うと2人はすこしこぢんまりとしたスクリーン6に入って後ろ側の席についた。
桜「人少ないね」
藤吉「マイナー小説だからね」
桜「でも少なくてよかった、ゆったり見れそう」
藤吉「そうだね」
上映が始まり、館内が真っ暗になった。
桜が暗闇の中映画を観ながらポップコーンを取ろうと手を伸ばすと2人の手が触れ合う。
桜「あ、ごめん…」
藤吉「ううん、いいよ」
桜(ちょっと気まずい…)
桜はそう思いながら横に座る藤吉の顔を見る。
そのとき暗闇の中でスクリーンの微かな光に照らされた藤吉の横顔はとてもきれいだった。
2人は映画が終わり、映画館を出る。
藤吉「どうだった?」
桜「めっちゃおもしろかった、あの人が犯人とは思わなかったよ」
藤吉「でしょ、私も展開は知ってたけど文字で見るより全然よかった」
桜「思うんだけどさ、あの女の子ハッピーエンドって感じ出てたけど実際はかわいそうだよね」
藤吉「やっぱり桜くんもそう思った?」
桜「藤吉さんも?」
藤吉「うん、これ読んだとき桜くんなら共感してくれるかなって思ってたけどその通りだった」
桜「よくわかったね」
藤吉「私たちってちょっと似てると思うから…」
桜「あーそれ森田さんにも言われた」
藤吉「2人って仲良いよね」
桜「そうだね、なんでかわからないけど初日からよく話しかけてくれたんだよね。それで仲良くなった」
藤吉「いいなぁ…」
桜「ん?なに?」
藤吉「なんでもない、てかお腹すいた」
桜「どっか食べに行く?」
藤吉「うん、行こ」
2人は近くのカフェで昼ごはんを食べた。
藤吉「おいしかったね」
桜「うん、今度あれ真似して作ろうかな」
藤吉「え、料理できるの?」
桜「料理同好会入ってるって言わなかったっけ」
藤吉「聞いてない」
桜「そうか」
藤吉「今度食べさせてね」
桜「わかった」
藤吉「ねぇ、寄りたいところあるんだけどいい?」
桜「いいよ」
続く…