100円ショップ店員の私と英語のコト
私の勤める100円ショップには、英語を母国語とする外国人のお客様が多く来店する。
流暢な日本語でコミュニケーションが取れる方もいらっしゃるが、たいていはカタコトの日本語か易しい英語が多い。
中には漢字だけ読めないが、平仮名や片仮名は完璧に読めて、商品の説明書を読みながら「ここの漢字は何ですか?」と質問してくる方もいらっしゃる。大したものだと、感心してしまう。
外国人のお客様は、有人レジが開いていても好んでセルフレジに並ぶ。なぜなら、英語での説明を選択できるから。
お客様の会計が終わると、私は必ず「ありがとうございました。またお越しください」と日本語で声を掛ける。彼らは皆 ニッコリと微笑んでくれる。嬉しさで、全員が美男美女にしか見えなくなってくる。
先輩の店員(といっても私より10歳以上年下なのだが)は、返品や大口注文の受付などに翻訳アプリでスムーズに対応する。私の憧れだ。
今日、ついに私にもチャンスがやってきた。
レジトラブルだ。女性が私を手招きしている。
How can I help you ?
何とか言えた。女性の手元にはしわくちゃの一万円札。渋沢栄一の顔があるので、新しいはずだが、シワシワなうえにシミまでついている。私はそれを手にとって機械に入れようとした。しかし、吐き出されてしまう。原因が、この一万円札にあるのは明らかだ。
dirty.
oh,dirty? ok
彼女はクレジットカードで支払った。本当は「この一万円札は汚れていて、機械で読み込むことができません。他の紙幣はありますか?」と説明したかったのに。アプリだって使いたかったのに。
dirtyって。直訳したら 《きったな〜い》じゃん。もっと何か言いようがなかったのか?私
いっぽう、彼女は彼女で、シワシワの紙幣をさらにクシャクシャに丸めて、ポケットに突っ込んでいた。もう、紙幣なのかゴミなのか分からない。実にワイルドだ。
外国人のお客様は、ポケットから直接お金やクレジットカードが出てくることが多い。それから、小銭を一度に何十枚も機械に入れて、レジを止めてしまうこともよくある。
ワイルドだ。
残念ながら私は、英語が話せない。学生時代から英語は苦手だ。単語、単語を並べるしか出来ない。それでも今までは別に困らなかった。多分、今後もたいして困ることはないだろう。でも、話せるようになりたい。
100円ショップ店員になって1年。そんな事を考える今日この頃なのである。