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「小学校入学前」の親子の会話。もっとも大事なポイントとは
元テレビ局のアナウンサーで、NHKの「すくすく子育て」の司会も務めた天野ひかりによる連載です。 今まで5万人以上から相談を受けてきた親子コミュニケーションのプロが、実際によく相談される悩みをどうやったら解決できるか、自己肯定感を育てる会話のコツをお話します。
小学校の入学を控えるご家庭では、心構えはもちろん、準備すべきものも多くて大変ですね。
インターネットで“入学前にできるようにすべきこと”なんていう記事が目に入る機会も増えて、落ち着かない気持ちになります。
4月生まれと3月生まれではできることの違いや、成長にも個人差はありますが、それほど気にしなくてもいいと思います。できる子と比較して、我が子にダメ出しするほうが、よっぽどマイナスです。
そんなことはわかっていても……
「〇〇ができないと、小学校入ってから困るよ!」と叱って、やらせてしまいがちですね。自己肯定感を上げるためにも、どんな声がけをしたらいいのか見ていきましょう。
まずはNGマンガです。
![](https://assets.st-note.com/img/1648457860330-rYKOCfGXgQ.png?width=1200)
■それ、本当にできないとダメなこと?
マンガでは事あるごとに「◯◯できないと学校で困るよ!」と言っていますね。
でも本当にそうでしょうか。
早起きできない(しない)大人もたくさんいます。
脱いだ服をたため(ま)ない大人もいます。
「早く食べなさい」と言われていたのに、大人になると「ゆっくり食事を楽しみましょう」と言われます。
言われてできるようになるなら、大人になったらみんなできるはず。でも、できない人、やらない人がいます。
それに状況や文化が違えば、すべき内容も変わります。
「やらせよう!」とするのではなく、子ども自身が考えて判断できる言葉がけをしましょうと、これまでの連載でお伝えしてきました。今回は、園と学校で異なる点を理解したうえで、言葉がけを考えてみます。
![](https://assets.st-note.com/img/1648457944575-aMzPfQt6Zk.png?width=1200)
■できないことを気にしすぎなくても良い
NGマンガのように、子どもが「うーん……」もしくは「イヤ!」などとしか答えられない言葉がけでは、いつまで経っても自分の考えを育めません。
OKマンガのように、子どもが考えて話せるような言葉がけができるといいですね。子どもも頭を使うので、目が覚めますし、今日1日のやることが明確になって、元気になります。
子どもが脱いだ服を、その場でたたむ様子を見せましょう。そして時には、自分でたためるように服を渡しながら、一緒にできるといいですね。
たたまずにそのまま洗濯機に入れるご家庭もあるかもしれません。
いずれにしても、急に何でもできる小学生になるわけではありません。毎日の積み重ねが大切です。
また、こうしたことは、園や学校ではちゃんとできていて、家では単純にやらないだけかも。ですから、やらないことをそんなに気にしなくてもいいようにも思います。それはそれで、ONとOFFを使い分けられるようになったということ。成長した証拠ですね。
それよりも、小学校までに身につけたいことは、ただ1つ。
それは、学校であったことをお母さんお父さんに何でも話せる信頼関係を作っておくことです。
それ以外は、子どもの成長に合わせてゆっくりでいいと思います。
■園と小学校の最大の違いとは
園と学校で大きく異なるのは、学校での子どもの様子がわからないこと。
園では、連絡帳やお便り、写真や送り迎えの時に先生とお話することで、状況を知ることができます。わからないことはその場で先生に聞いたり、相談にも乗っていただけますね。
ところが小学校に入り、状況を把握するためには、子どもから聞く話だけになります。もちろん、ママ友パパ友が同じ学校にいる場合は心強いのですが、園のありがたさを実感するとともに、急に心もとなくなります。
ぜひ、小学生になるまでに、子どもがお母さんお父さんにお話することの楽しさを実感させてあげてください。子どもにとって良いことはもちろん、都合の悪いことも話せるようにしておくことが大事です。
子どもが、お母さんお父さんに何かを打ち明けたら
・叱られそう
・自分はダメな子だと思われそう
・悲しませてしまいそう
・どうせ、自分の話に興味なさそう
などと感じ、話すことをためらってしまうとしたら、悲しいと思いませんか? 大事なことを見逃してしまうかもしれません。
将来、辛いことやいじめなどにあった時、真っ先に相談される親でありたいと思います。
そのことに比べたら、朝1人で起きられないことや服をたたむことなんて、大したことではないように思いませんか。
ぜひ、子どもの話を聞き、子どもが話せる信頼関係を築きましょう。
<今日のコミュポイント>
「小学校に行くまでに、子どもがなんでも話したくなる親になろう」
マンガ:とげとげ。
■筆者プロフィール■
天野ひかり
上智大卒。テレビ局アナウンサーを経てフリーに。NHK「すくすく子育て」キャスターの経験を生かし、親子コミュニケーションアドバイザーとして 講演や企業セミナー講師を務める。子どもの自己肯定感を育てるため自身で立ち上げた「NPO法人親子コミュニケーションラボ」代表理事、一般社団 法人グローバルキッズアカデミー主席研究員。主な著書に『子どもが聴いてくれて話してくれる会話のコツ』(サンクチュアリ出版)や『賢い子を育てる 夫婦の会話』(あさ出版)などがある。