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B級ライセンス取得コース全日程終了

 2月のトライアルから半年以上かけてようやくB級ライセンス取得のコース全日程が終了しました。指導実践、筆記試験、口頭試験、医学以外のオンラインテスト以外の合格とのことでしたので振り返りを項目ごとに出しても問題ない範囲で整理します。何か役に立つことが一つでもあれば嬉しいです。

・今回強く感じたこと

 実は昨年の同じコースの最終日、自分の所属しているサッカー部の生徒たちを選手役として派遣しピッチ脇から指導実践の試験を見学していました。当時の(未熟で井の中の蛙なアホな)自分は半分以上の受講生に対して「これでB級の指導者なの?全然大したことしてない。」という感想を抱きました。
 今回、クロージングでチューター(呼び名がインストラクターから変更されてます)が「合格した受講生でも人によって力の差は当然ある。ただ大事なのは今後どのように成長していくかだし、今回の評価が高くても数年後そこから成長していなければ意味がない」といったことを伝えられました。今回受講して確かに色々な知識を手に入れましたし、サッカーについてや指導についてアドバイスもされました。でもB級ライセンスはあくまで「B級ライセンス取得の課程を修了している」ことの証明であり、指導力の証明でもなんでもないのだなと思いました。大事なのは日頃見てる選手がどれだけ成長できるかだしチームがどれだけレベルアップしていくかです。C級でも素晴らしい指導者はたくさんいるし、もしかしたらS級でも素晴らしくない指導者はいるかもしれません。「学び続ける指導者が選手にとって一番魅力的」というシニアチューターからの言葉を大切にしたいと思いました。

・選手目線

 自分は生まれてこのかたGKとしてしかプレーをした事がないので、サッカー選手としては素人な自分は今回周りの受講生に大変なご迷惑をかけつつもなるべくフィールドプレーヤーとして選手役の時間を過ごしました。おかげでFPの選手たちがどのように自分の中にサッカー観を養っているのか、どのように上達していくのかを多少なりとも追体験することができました。その中で、気づいたのは

・教えてもらえばできることは増える
・イメージがないと何もできない
・外から見てるのと中でやるのは大違い

という3点です。(そりゃそうなんだけど)

 トライアルの時に素人だった自分は素人に毛が生えた程度には成長したかもしれません。具体的なプレーでいえば、「ポケットに飛び出す」「3人目を意識してつながる」「2タッチしてたら間に合わないけど1タッチなら通る」「スペースがあったら運ぶ(運んだ後のイメージがない時は運んでハマるw)」「タイミングが合えば相手の守備範囲は格段に狭くなる」「このくらいの強さで出せば通る」とか本当に初歩的なことです。これまでも、素人ながらにミニゲームでFPすることはありました。でも指導を受けながらプレーすると「実行→分析・評価→改善」のプロセスを踏めるので選手の成長速度が上がるのだなぁと実感しました。最終日のゲームは自分でも「あー。こんなプレーできるようになったんだ。」って思うプレーがいくつかありました。いいプレーができるようになればサッカーをするのがどんどん楽しくなっていくということも感じました。できるようになれば楽しいし、楽しいからさらにできるようになりたくなるという循環が大事だなと思いました。
 ただ、実践を通して1点も取ることができなかったのが非常に残念です。最終日は3回得点の機会に恵まれたのですがいずれもゴールを奪うには至りませんでした。やはり、ゴールを奪うというのは素人に毛が生えた程度では難しいと言うことですね。まぁ、一番はシンプルに「フィールドプレーヤーってすごい!2度とFPの非難はしない!」とはなんども思いました(笑)

・指導者目線
 まず、不思議だったのが受講生全員のTRメニューが指導実践を重ねるにつれシンプルなものになっていったことです。これはあるあるなのでしょうか?笑

 この難問に対する今の自分の仮説は、指導者が成長したからではないか、具体的に言えばオーガナイズではなくコーチングでプレーの改善や意図の伝達ができるようになっていったから複雑なメニューが必要なくなるといったことがあるのではないかというものです。実際に指導案作成中に「TR1は全テーマ3x3でもいけるくね?」と、ある受講生が言っていました。もちろん、実際にはそうしないし、オーガナイズの重要性はみんな十分理解してます。ただ、条件をつければつけるほどクラリティが上がるというのは避けられない部分ではあるし、指導実践はテーマの理解度を測られている部分が大きいというのもあるので当たらずとも遠からずという風に感じました。

 B級の指導実践はあらかじめテーマが決められています。そしてどのテーマにも押さえておくべきキーファクターがあります。それぞれの指導者がテーマを解釈して定義づけして指導実践を進めていくのですが、その中で多くの受講生を苦しめ、最終の指導実践でも追試者が一番多かったのが「クロスの守備」です。理屈と現実の乖離が一番大きいテーマで、TR2とゲームの乖離が一番大きいテーマでした。やればやるほど「そりゃクロスからの得点が多いわけだわ」と思いました。
  
 これは人によって意見が分かれる部分もあると思いますが、指導実践というものに限って言えば自分は守備のセッションの方がやりやすく感じました。なぜなら攻撃は選手の質(技術や体力)がもろに影響するからです。もちろん「選手の質で成功したのか、指導者の働きかけによって成功したのかが大事」とチューターからも言われましたし、実際はそうなのだと思います。ただ、例えば、FP全員が自分だったとして「ゴールを奪う」のようなテーマでと言われたらたとえ指導者がペップや風間さんでも難しいと思います。守備は意識や準備でカバーできる部分が多分にあり、改善の即効性があるように感じました。

 逆に言えば「ボールを扱う技術」は一朝一夕に改善されるものではなく長い年月をかけて制度が高められていくものであるとも言えます。もちろん、いわゆる「トメルケール」が完璧なら全てOKというわけでもありません。特に時間もスペースもないゴール前はサッカーにおいて特別な場所です。そこで得点を取り続けられる選手もまた特別だということを思いました。それを裏返せば、その特別な選手たちからゴールを守り続けるGKもまた特別な選手でなければならないということを考えました。

 また、今回のコースの最終日は日本代表のワールドカップ初戦であるドイツ戦当日でした。神奈川出身が7人いることもあり、ワールドカップといえど、自分たちの日常の延長に存在しているのだなと思いました。以前、とあるS級の指導者に「お前は、目の前のこいつらがプロになる可能性があると思って指導しているのか」と言われたことがあります。「指導者は子供の未来に触れている」という言葉がありますがまさにそれだなと思いました。

・その他

 今回、自分は合宿型での受講となりました。合計4回の合宿期間がありました。チューターたちや所属チームに通い型の受講生がいる指導者の方々も言っていましたが、通い型受講生達と比べると成長度合いも一体感も全然違うそうです。思い返せば、夜各々部屋に集まってグループごとに指導案を何時間もかけて作った時間というのは合宿ならではだったのだなと気づきました。ただ、体力的にはきつく、(今回からカリキュラムが大幅に変わって初の合宿だったこともありましたが、)後期の3泊4日の4日目に指導実践を20人連続でやるという暴挙に出た結果、それまでの疲労もあり10人目でまさかの打ち切りということもありました。(残った10人は後日やりました。)それを除いても、日頃1日動き続けることをしない指導者にとってはなかなかの負荷でした。それでも、すごく楽しかったし、合宿型でよかったと思ったし、クロージングが近づくと終わってしまうのを惜しむ声が多かったです。何より真摯にサッカーや指導に対して向き合う人が多いコースだったのですごくいい仲間に恵まれて充実した時間を過ごさせてもらいました。とても感謝しています。

・最後に

結局指導者次第。
 期間中、何度かチューターによる指導実践がありました。おそらく多くの受講生が感じたことですが、明らかに受講生と指導の質が違いました。具体的に何がと言われると困るのですが、全体的に全然違いました。「この指導をずっと受けてれば自分も意外とそこそこの選手になってたのではないか」と思いました。言い過ぎかもしれませんが、それくらいの衝撃でした。「勝手にサッカーしとけ!」で育った選手達の3年間の成長度を10とするならば、それが5になるか30になるか、はたまたマイナスになってしまうかは指導者次第だなと思いました。もちろん、それがチームの結果にも影響を与えるので、指導者次第で結果が変わると言っても過言ではないと思います。もちろん、パラレルワールドは存在しないので確認も証明もできませんが、これまで現場で見てきたことや今回の学びを踏まえるとそんなに間違ってないかなと思いますし、それだけ責任ある立場だということを再認識しました。
 GKの上位ライセンスを取るという目的だけで参加したB級コースでしたが、色々な学びや経験、仲間との出会い、本当に参加してよかったと思います。


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