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#40 「サッカー監督という仕事」を読んで。その2

こんばんは。今日は体育館の練習でした。今更気付いたんですが、ドイツの体育館って大体室内はあったかくて半袖でもいいぐらいなんですよね。壁も丈夫でボールをぶつけても大丈夫です。
日本の学校の体育館は、冬はめちゃくちゃ寒いんですよね。そして夏は暑い。壁は脆くてサッカー禁止って場所が多いです。ドイツの環境が少し羨ましいです。

昨日に引き続き湯浅さんのサッカー監督という仕事を読んだ感想とまとめ。を書いていきます。

・戦術的エッセンス
そもそも戦術とは?「戦うすべ」のこと。
個人戦術、グループ戦術、チーム戦術。
これらに大きく分けられます。難しく考えすぎてしまうこともありますが、シンプルにどのように戦うか?の方法のことです。

攻撃
本当の勝負は「ムダ走り」で決まる
相手の守備組織を崩すためには、必ず相手陣内で発生する「決定的スペース」を使えるかどうかにかかっている。そのためには、何度も、何度も、スペースへ、スペースへ。走り続け、挑戦することが重要なのです。
ボールに注目しがちなサッカーですが、このフリーランニングこそが勝負を決めると言われています。元日本代表、中田英寿は味方にこう声をかけたそうです。「ボールを見て、パスを出す前に走ってくれ。」と。味方のリアクションなランニングにイラついていたのでしょう。
僕はこれまで、コート上での自己表現はボールを持った時が最も起こりやすいと考えていました。しかしボールが持っていない、フリーランニングでも自己表現は大切です。「ここに出せ!」とパスを呼び込む動き。この自己表現をし続け、ムダ走りをし続けることが攻撃には重要だとわかりました。

・ロジック組織プレーと個人勝負プレー
自由か?規律か?
個人技術か?組織力か?
この対極に見える能力どちらが重要か?という議論はよく行われてるように思います。「こちらが大事だ!」と極端に考え、それを指導現場に持ち込む人も多いように思います。
湯浅さんはこう書いてます。
「ロジックな組織プレーと自分主体の個人プレーの優れたバランスがなければ結果は残せないのである。」
「チームプレーだけでは相手の守備の「読み」の逆をついて崩し切る、危険な攻めを、いつも繰り出すことはできない。」
リスクを冒して攻めてこない無難なプレーばかりする選手からは怖さはあまりありません。逆に不必要にリスクを冒してばかりのチャレンジしまくりでも、チームが勝つことはできません。組み立ての段階ではボールをスムーズに動かし、「タメ」を作り、ここぞ!というところで勝負をするのです。
チャレンジすることは素晴らしい!といっても例えば自陣ゴール前でディフェンダーが仕掛けることはただの無謀な行いです。
組織プレーと個人プレーの優れたバランス。それを模索していくことが監督には必要なのです。

守備
・攻撃的な守備。
サッカーではどの年代でも「攻守の切替」は強く求められる。僕も時々「切り替えろ!もう相手は攻めてきてるぞ。」と声を掛けています。
守→攻はポジティブな場面なので、自然に高い意識を持つことが出来ます。しかし攻→守はネガティヴな場面なので心理的に重いものになります。湯浅さんは「だからこそ、「守備の意識」を高く保ち続けることが、大事な要素になる。」と話します。
攻撃は最大の防御!という格言を少し僕は勘違いしていました。湯浅さんがいうには「攻守にわたって攻撃的にプレーすることで、相手を消極的で受け身の心理状態に押し込んでしまうこと。」と書きます。
つまり相手のボールを次々にすぐに奪い返してしまうことです。「攻めるぜ!」となっても攻撃的な守備によりすぐ取り返されてしまう。そして落ち込む、、、
最高の守備は「あぁ、おれらが攻めても結局ダメだ、、、」と相手の心をへし折ることでしょう。それが攻撃が最大の防御の本当の意味だと解釈します。

・ボールウォッチャーにならない。
ボールウォッチャーとは視線はボールだけど、体は反応していない状態のこと。
なぜこうなってしまうのか?湯浅さんは、「もうだめだ。」と思った瞬間にボールウォッチャーになってしまうことが多いと具体例を挙げて話してくれます。決定的なパスを出されて、「終わりだ。」と諦めてしまうのです。もし、諦めずに走り、自陣に戻ったら、失点を防げていた。そんな場面はよくみられます。しかし優れたディフェンダーは危機察知能力が高く、次のプレーを予測し、最後まで諦めずに走ります。それがもちろん結果に結びつかないこともありますが、絶賛されるディフェンダーのスーパープレーは諦めずに最後の最後まで危機を探し走り続けたから起こるのです。

僕も昔みたある場面を思い出しました。それは16/17シーズンのエルクラシコ。結果はロスタイムにメッシの得点で3-2でした。後半途中、イエローカードをもらったカゼミロと代わりコバチッチを投入。そして決定的パスがアルバに、左サイドから折り返しのパスをフリーのメッシがダイレクトシュートで得点し勝利。この時のアルバへの決定的パスの場面でのコバチッチはまさにボールウォッチャーでした。コバチッチよりも前にいたはずのモドリッチは全力で帰陣するも間に合わず。もしもカゼミロだったら?メッシを危機察知し、防いでいたかもしれません。
コバチッチは今は素晴らしい選手として活躍していますが、当時はまだ若手でした。モドリッチとカゼミロ、若手のコバチッチ。最後まで諦めずに危機察知し走る。これが世界トップとの差なんだな。と感じたことがありました。

良いディフェンダーとは危機察知能力が高い選手のことだと解釈しました。感覚的に、「あ、こいつのこれはやばい。」と察知し走ります。時にはポジションを放棄しても。または「あ、こいつここにパスするな?」と敢えてそこのパスコースをあけてパスカットを狙ったり、「読み」も優れています。それをチーム単位で守備戦術を共有して実行する。良い守備の定義を少し理解できた気がします。

以上です!
攻撃、守備の戦術の基本的なことを理解できた気がします。そしての基本的なことを理解して、システムやチーム戦術など難しく複雑な領域を考えていく必要がありますね。
攻撃でも守備でも、最後まで走り続けることが重要だと感じます。特に守備ではネガティブな場面でもチームのために走る。最後の最後まで諦めず、次のプレーを予測する。そんなことが当たり前にできる選手が世界で活躍しているのでしょう。
先程例に挙げたモドリッチは毎回これをやってると思います。37歳でも。それを当たり前にやりながら、攻撃ではここぞ!という場面でリスクを冒して決定的なパスを出しまくり、攻撃にも違いを作ります。サッカーを知れば知るほど、モドリッチという選手の凄さを実感しています。37歳のベテランが最も走る。そんな人があるチームの若手達はさぼれませんよね。必然的に良いチームになりそうです。

そんな選手になってほしいと願いながら指導していきたいですね。そして指導の中で、なぜ走ることが大切なのか?をしっかり説明していきたいです。

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