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20221105 LAWSON presents 麻倉もも Live Tour 2022 “Piacere!”の感想

当初はいろいろあって参加できない気がしていたのですが、リモートワークの抜け道(反則スレスレ)を利用することで参加にこぎつけました。

はじめに(俺と麻倉ももさん)

Agapanthusのライブは配信で観させて頂きましたが、何やかんや麻倉ももさんのソロコンサートに直接参加するのは今回が初めて。

麻倉ももさんの音楽を聴くようになったきっかけは、青Pさんとの出会いでした。

かつて、スフィアと豊崎愛生さんのファンであることが理由で『こえ部』という声優さんについての同人誌に呼んで頂いていたのですが、その打ち上げの席で、麻倉ももさんについての文章を寄稿していた青Pさんと仲良くなりました。

その後、いろいろあって、ツイキャスやらスペースやらで、定期的に熱くお互いの人生の話をするうちに、青Pさんを通じて麻倉ももさんのことを知っていくことになりました。

Agapanthusあたりまでは、青Pさんが辿ってきた道と、その想いを間借りして麻倉ももさんの曲を聴き、勝手に青Pさんの気持ちになってうれしくなったり涙したりするという不健全な聴き方をしていました。

ただ、3枚目のアルバムApiacereがめちゃくちゃ良かったのと、最近始まった一人喋りのラジオ『ももにち』が超良かったことで、だんだん俺自身が麻倉ももさんのことを好きなのかもしれん……という思いを否定しきれなくなってきました。

今年は、麻倉ももさんの楽曲を爆音で流しながら富士山の麓までドライブし、サウナや温泉施設などで精神統一した後、また麻倉ももさんの楽曲を延々と流しながら帰るという日もありました。

階段・眠ること・夢見ること

前回のAgapanthusのライブは、日記を読む麻倉さんの語りと共に進行していき、それがライブ全体に一本の物語性を通していたのが印象的だった。

対して、今回はスクリーンでの映像演出はなく、バンドメンバー、ダンサー、麻倉ももさんのシンプルなステージ構成でライブが行われた。

その中で、個人的には階段の使い方が強く印象に残っている。

ステージの上手には、一段ごとに舞台が大きくなる四段の階段が設置されていて、その一段目と二段目は「眠る場所(起きる場所)」として扱われていたのではないかなと思う。

階段の二段目で眠っていた麻倉さんにスポットライトが当たり、起床するところからライブが始まる。

ネムイケドからスタートするセットリストというのが全く予想していなかったもので、おおお……となったのだけど、2曲目で365×LOVE「いってきます」「おはよう」という朝の風景に繋げた流れに、さらにおおお!となった。

3曲目のカラフル「みんなの夢を見たよ 少しケンカしてた だけど寝て覚めた時は また笑ってた」という歌詞を聴いて、眠るというのは「夢をみること」にも繋がっていくことに気づかされる。

閑話休題:シュークリームちゃんを守る会(完結編)

バンドメンバー紹介とMC(超面白い)を挟んで、4曲目がシュークリーム

この曲、俺にとっては浅からぬ因縁があった。

2020年4月、シュークリームちゃんを守る会というふざけたブログが、俺が書く文章としては広めに拡散される。

深刻なミーム汚染

ブログを書くにあたり、無限にシュークリームを聴いていたところ、普通にこの曲が好きになっていたのだけど、ずっと追いかけてきた青Pさんでさえライブではほとんど聴いたことがないと話していて、前回は収録アルバムを引っさげたライブにも関わらずセットリスト落ちしていた。

それが、今回はシュークリームを歌うらしい……!

シュークリームちゃんは俺が守る……………………!(2階11列)

歌い出しから麻倉ももさんが振り付けでプンプン(かわいい)していて、ぶちぎれとる……これは麻倉さん自身の“奴”に対する怒りなのか……?と思っていたが、MCの話によると振り付けのHIROMI先生が「プンプンしてる姿をオタク(※HIROMI先生のこと)が見たいから」という理由でつけられたものと判明する。

1~3曲目に「眠り」「夢」という繋がりを見出したが、くしくもシュークリームにも「ねぇ何で不機嫌なの?眠いのに起こされてまだ怒ってるの?すぐに謝っちゃう私」という微かな連続性を持たせていることが分かる。

おい!!!!!お前が繋がってくんなや!!!!!!!

シュークリームちゃん、何歳なんだろう……と思っていたけど、今回のライブをみて、俺が思っていたよりは年齢層が低いような気がしてきました。

なんか“奴”がパチンコやスロットをやっていそうというイメージに引っ張られて、無意識のうちにシュークリームちゃんも20代中盤くらいに設定していた。高校生くらいでしょうか。(なにシュークリームちゃんと一緒に寝とんねん!!!!!!)

ぷんぷん怒ってる姿は子供のように思えて、フワフワのベールというのも、少し幼い夢想の比喩のようにも感じました。

シュークリームを生で聴く念願が叶って良かったです。

ユメシンデレラ

シュークリーム→Love me, Choose me→ふたりシグナル→フラワーズの流れは、よくよく歌詞を聴くと、どこかすれ違って上手くいかない感情を歌った曲たちでもある。

そこからガラリと流れが変わるのが8曲目のeclatante。

鏡の中を覗いたら
夢の続きが始まるの

扉の向こうでほら
泣き虫な王子様が呼んでるの

一粒の涙が
きらめく真珠に変わる Magic

『eclatante』麻倉もも

素敵な夢の世界そのものを歌ったようなこの曲のあと、麻倉ももさんは再び階段の2段目で眠りに落ちる。

この演出によって、逆説的に4曲目~7曲目までも「夢の世界」の話だったのではないかと思わされる。

麻倉ももさんは恋愛の歌を歌う。

しかし、その感情に自分を寄せるのではなく、歌詞の中に出てくる登場人物の気持ちに寄り添い演じるように歌っている。

ただ、このライブは麻倉もものステージで、俺たちが観ているのは麻倉さん自身の姿だ。

歌ってきた楽曲の登場人物たちは、麻倉さんの頭の中にいるのだ。

いわば、その頭の中の世界を見せてくれたのが4~7曲目だったのではないか。

そして、夢うつつのように、布団の中で9曲目のユメシンデレラを歌う。

1番を歌い終えたあとに目覚めて、ここで麻倉さんはライブを通じて初めて3段目の階段に登ることになる。

はしゃぎすぎて眠っている白雪姫
素敵な夢見てる
王子のキスはいらないわ
胸が躍ってオシャレをして私日和
そうだよ幸せよ今の私も
限りある瞬間を大切にして

恋をして大人ぶってるシンデレラは
キラキラ 窮屈で
ガラスの靴を脱ぎ捨てた
背伸びやめて力抜いて深呼吸して
そうだよ楽しもう今の私を
あっという間の夢を大切にして

『ユメシンデレラ』麻倉もも

この目覚めというのは、眠りからの目覚めであると同時に、麻倉ももさんがここまで歌ってきた夢の世界から、現実に戻ってきたことを意味する。

そして、3段目に登ったのは、現実の自分を肯定することで、大人への一歩を踏み出した合図のように思えた。

ユメシンデレラは、ガラスの靴を脱ぎ捨て、王子のキスはいらないといい、等身大の今の自分とこの瞬間を大切にしようと歌う曲。

背伸びをすることでも、着飾ることでも、王子のキスでもなく、すれ違って上手くいかない自分自身の感情と正面から向きあい、それも今の私なのだと認めた先で、夢見た自分の姿に一歩だけ近づく

このユメシンデレラでの目覚めが、このライブで一番痺れた瞬間だったかもしれない。

朝、目が覚めるところから始まったこのステージで描かれた時間の経過は、そのまま少女が大人になっていく時間の経過のように感じた。

それは、麻倉ももさんが何が歌いたいのか明確ではなかった頃から、自分のやりたいことをやりたいように歌ったアルバムをリリースするまでの時間とも言い換えることができる。

もちろん、麻倉ももという一人の女性が年を重ねていくこととも相違ないだろう。

そうした時間と自身の経過と共に、変化していく感情のグラデーションを閉じ込めたパートであり、その上で全ての感情を自分であると肯定するに至ったのが、ユメシンデレラという歌だったように感じたのだ。

少女から大人へ

MCで「2曲続けて歌います」と宣言して歌ったのは、10曲目monologueと、11曲目あしあと

この2曲に共通しているのが、大人というフレーズで、2曲をまとめたのも。

“もうちょっと わたしが大人なら…”
いまはもう思わないよ

『monologue』麻倉もも

大人になったふりして苦いコーヒー飲んでみた
私にはまだ早すぎたかな ほっとしてる

『あしあと』麻倉もも

ただ、いずれもユメシンデレラと同じく、背伸びをしても大人にはなれず、今の自分を受け入れるしかないという文脈で大人というフレーズが用いられる。

受け入れた上で、ほんの小さな一歩を踏み出すことがこの2曲の共通点であるというのは、このセットリストが気づかせてくれたことだった。

というよりこのライブ、麻倉さんがこんなことを歌っていたんだという発見がとにかくたくさんあった気がする。

恋愛の曲が多いという共通点はあったけど、こんなにも「夢」というフレーズを使っていたのかというのも新たな気づきの一つでもあった。

閑話休題:MCが最強すぎる

麻倉ももさん、ライブに行って初めて気づいたのだけど、MCがあまりにも強すぎる。

すごく誤解を招くような言い方をすると、一部女性声優さんのライブで笑う時、己の10の笑いを100に誇張して笑っているところがまあまあある。

ただ、麻倉ももさんのMCに関しては、当人が別におうけを狙いにいっている訳ではないのに、だからこそ100笑わされてしまう。

あと、もちょ10のために観客の大半が麻倉ももさんの指示通りに動く操り人形と化した時「あとでみなさんの姿が全世界に晒されることになります」「座っていた人(※映りたくない人は座っていて下さいといっていた)、賢明ですね」と言っていたのがめちゃくちゃ良かった。

麻倉ももさんのMCの魅力は、そのまま『ももにち』に生かされているようにも感じる。

ももにちと同じく、発言を文字に起こししてしまうと、その温度感が伝えきれず、誤解を招く可能性が高くなるのも、ある意味すごいことだなと思う。

何を言うか以上に、誰が言うかに、ここまで価値を生み出せる麻倉ももさん、最高のMCだと思う。

届ける言葉、交わしあう想い

アンコール前、最後のMCを終えると明日は君と。→Run for you→Shake it up!→満開スケジュール→ピンキーフックと続いていく。

この5曲はMCと同じく、階段を使わずにステージで歌い上げる。

眠りの中で素敵な夢見ていた白雪姫は、なぜ自ら目を覚ますことを選んだのか。

階段の上で、麻倉ももさんは、楽曲の登場人物の感情を想像した「夢の世界」のことを歌っていた。

ただ、今回は「はじめまして」「お会いできてうれしいです」という意味の『Piacere!』というタイトルで行われた、麻倉さんとしては初めての全国ツアーだ。

言葉を届けるために、歌を届けるために、そして想いを交わしあうために。

他の誰かではなく、等身大の自分自身としてステージで歌う必要があった。

背伸びして大人になろうとするのではなく、等身大の自分を認める勇気を持ち、一歩踏み出した先こそが、階段を下りたステージの上だったのだと思う。

勇気なくて自信なくて
吐息さえも届きそうなのに
叫べ叫べ
名前も知らない君に届くまで

『明日は君と。』麻倉もも

そう きっと 何よりも大切だから
言葉にして伝えたいよ
ちゃんと目を見て まっすぐ自分の声で

『Run for you』麻倉もも

「ありがとう」届けたい
君がパワーくれたように
今夜君の笑顔の居場所になるよ

『Shake it up!』麻倉もも

これまで、誰かのことを想像しながら歌った言葉たちが、麻倉ももさん自身の味方になってくれる。

いつかはまたコール&レスポンスが出来るようになると願って、新しく作られた満開スケジュール

そして、真っ直ぐで強い愛情を歌ったピンキーフックといった、今現在、最新の麻倉ももさんの想いを伝えて、アンコール前は幕を閉じる。

今は言葉を交わせなくとも、想いを交わすことは出来る。

観客席から光が届いているからこそ、その愛を返すために、麻倉さんはステージに立ち続けて、歌い続けているのだろうと思った。

閑話休題:シロクジチュウム

ここまで、階段に着眼してライブを観てきたので、アンコール1曲目で初めて4段目(一番上)に登ることには確信めいた予感があった。(※写真撮影はMC中なのでステージ演出という意味での初めてです)

アンコール1曲目のプリンセスじゃなくてもは、階段の4段目からステージの上に降りていく。

ただ、ここは……セットリスト的にもう…………シロクジチュウムしかあり得ないと思っていたので………………。

観てないので予想でしかないのですが、シロクジチュウムも4段目で歌っていたはずです。

4段目というのは、現在の先にある、未来の姿だと思っています。

シロクジチュウムは、白昼夢から着想を得た言葉か。

アルバムの最後を飾るこの曲で「四六時中あたしを上映して」「四六時中あたしを照らし出して」直接的な捉え方をすると、ずっと私を見ていてと繰り返し歌っていたのは、個人的には結構な衝撃だった。

後にインタビューを読んで、自分のやりたいことをやりたいように歌ったこのアルバムの中で、シロクジチュウムだけは、麻倉さんからは「ほぼ何も言っていない」ということが判明する。

つまり、これは音楽的にも、言葉としても、麻倉ももというアーティストの現在とこれからの可能性を信じて贈られた楽曲とも捉えることができる。

「四六時中あたしを照らし出して」という歌詞は、彩色硝子で歌われている“ひかり”に対応してくる言葉のようにも思う。

音楽的な挑戦と、これからの可能性が込められたこの曲で、ずっと私を見ていてという言葉を歌うのは、麻倉ももさんが等身大の自分で進んでいく覚悟であり、これからの音楽活動に対する自信のようにも思えたのだ。

その未来は、私たちと麻倉ももさんにとって『夢』と言い換えてもいいのだと思う。

だから、四六時中夢の中にいる。それは現実と溶け合っていく。

そういうセットリストだったんだよ!!!!!!

少なくとも俺の中ではな!!!!!!

だから、ここのシロクジチュウムじゃないというのは、絶対に代替が効かないものであるように感じているので、聴けた人は私にどんなパフォーマンスだったかお伝えください。

彩色硝子

気を取り直して、アンコール1曲目のプリンセスじゃなくても。2曲目の箱庭ボーダーラインは、共に80年代アイドルを感じさせるナンバー。

未来を目指すという意味でプリンセスじゃなくてもは、この先の理想像を歌ったようにも捉えられる。

一歩だけ踏み出してみようかな?
ここではないどこかへと 飛び込もう

『箱庭ボーダーライン』麻倉もも

箱庭の中 空を眺めたひとりぼっちの詩(うた)は
きっと きっと 届くよ

『箱庭ボーダーライン』麻倉もも

そして、箱庭ボーダーラインで、ここから新しい世界へと一歩を踏み出していくことを予感させる。

これまで、夢想の中で歌ってきた言葉たちが届いたことは、これまでのステージで、麻倉ももさん自身が証明している。

そして、ライブ最後の曲に選ばれたのが彩色硝子

ステンドグラスは、外部からの光を透過して鮮やかに輝く。

麻倉さんはこの曲を歌う前に、観客席の一人一人に目を合わせるように歌うから「恥ずかしがらずに、返して下さい」と話していた。

そう 余りあるやさしさ
貰ったあとには思うの
“本当は愛し愛されたい”

じゃ、今度はあげなきゃ
あなたに誰かにってやるうち
微笑えみは連鎖する

『彩色硝子』麻倉もも

この曲を聴いた時、ステンドグラスは麻倉さんのことで“ひかり”は観客席のサイリウムという構図が一番最初に浮かんできた。

だからこそ、ここまでシンプルに形作られてきたステージが、鮮やかな七色の照明に照らし出された時、麻倉さんから、これがあなたたちから受け取った“ひかり”なんだと言われたようにも感じてしまった。

そして、その光が麻倉さんを彩る美しい姿から目を逸らさず、恥ずかしがらずに見つめ続けてなくてはいけない。

この景色こそが「四六時中あたしを照らし出して」という言葉の意味なのだろうと思った。

そして、この姿を、自分の言葉と自分の歌でお返しするために、麻倉さんはここまで変化しながら音楽活動を続けてきて、ここからさらに新しい世界に歩み出すのだろうとも。

麻倉ももさん、めっちゃ可愛かった……………………。

なんというか、動きというか、全身がかわいらしいんですよね……………………。

声とか顔とかというより、麻倉ももという全存在がかわいい。

完全にめっちゃ目を合わせてくる麻倉ももさんに激照れして目を背けるような3行を足してしまったな……………。

本当にいい時間でした。参加できて良かったです。

あと初めてライブに参加するシャバ僧が感じたことなので、全然見当違いな失礼なこと言ってたら許してください……。(保険をかけるな)

終わりだよ~。


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