20240912 日記373 ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 完結編 第1章の感想
観ました。
虹ヶ咲、1期も2期も俺はすごく好きな作品でした。
1期の1話から一貫して、アイドルの輝きを受け取った個人の一歩を描いていた作品だと思っていて、与えた側のアイドルもまた、観客席からの光がなければ花を咲かせることができない。
その循環の中で「あなたはどうするの?」と常に問いかけてきた(ように俺が受け止めた)作品で、俺の信じてきたステージと観客席の関係性にかなり近いものを描いているように感じたことが理由です。
ラブライブという超巨大コンテンツの中で、物語を受け取った一人一人の未来を願うような作品が生まれたことに、何か勝手に救われたような気持ちになったことを覚えています。
ただ、アニメ以外の媒体でストーリーを追っていたわけではなく、コンテンツの動向と共に女性声優さんを追うことが体力的にも厳しくなっていた時期(スフィアを除く)だったこともあって、アニメ二期放映後は少し距離が空いていたことも確かだった。
溜めていたOVAを観た後に、完結編を観にいく。
現金でチケットを購入したところ、お釣りの戻りが少ない。
間違えて2枚買っちゃったかな……と思ってチケットをみると『MX4D』の文字が刻印されている。MX4D!?
予告編でスペースマウンテンみたいな映像が流れ出し、映像に合わせて椅子が揺れて、肘置きから水しぶきが噴出する。
これから虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の皆さんの一挙手一投足に合わせて、映画館がビカビカに光ったり、椅子が揺さぶられたりする様を想像して、かなり面白くなってしまった。
映画はとても良かったです。コンテンツと距離は離れていたけど、虹ヶ咲の根底にある思想が好きという気持ちに変わりはないことを確かめさせてもらった気がします。
仲間だけどライバル。個人でもユニットとしても活動する虹ヶ咲学園のスクールアイドルとして、仲間であることにもライバルであることにも向き合い、その上で競い合う道を選んだみんなの姿が美しかった。
特に、かつて同好会に入ることができなかったランジュが、仲間であることにもライバルであることにも向き合う物語に深く関わってるのがめちゃくちゃ嬉しかった。
当初からグランプリに対するモチベーションに悩んでいた歩夢に対して、ランジュが伝えた言葉で、俺の目から水が噴出してしまった……。(セルフMX4D)
前段の語りも含めて、彼方ちゃんのライブが死ぬほど良かったね……。
同時に、順位という意味では現時点でのトップのライブはエマさんだとも思った。
虹ヶ咲のライブシーン、領域展開のように語られがちだけと、結構、俺にとっては自分の鑑賞体験をデフォルメして視覚化したものに近いと思っているんですよね。これはかなり特殊なケースだとは自覚してるので、そういうところでも噛み合ってるのかもしれない。
虹ヶ咲のライブシーンで心象風景として映されるのは、ステージの上で歌ってるアイドルたちの観客席を見ていない(見られていない)日常の姿だ。
こちらを見ていない視線の先にこそ、彼女たちと私たちが暮らす生活が重なる瞬間があって、俺はそういうお互いをみていない瞬間の重なり合いに幾度となく救われてきた。
それをショーアップしてるのが虹ヶ咲のライブシーンだと思っていて、現実には衣装チェンジも夢のような演出も行われていないけど、空白を残しながら「誰かにはそう観えている」という描き方は結構好きなんですよね。
ただ、そうやってみてるからこそ、MX4Dのライブ演出は俺にとってはちょっと余計だったかもしれない……。
尻でビートを刻みながら、人のステージの感じ方を勝手に想像して感情を増幅させるな!!!!!と思いながら、面白くて笑ってしまっていた。
ランジュと歩夢のライブシーンに関しては、MX4Dの演出良かったなと思ったのだけど、あれは劇中でも実際にショーアップされたステージだったからなのだと思う。俺がめんどくさいだけかもしれない。(9割の事象がそう)
ただ、水しぶきのデモンストレーションがあった時「ニジガクのみんなが水辺で遊んで俺たちに水が掛かるシーン以外の使い道がないだろ」と思っていたら、開幕でまさにそういうシーンが来たのは流石に笑ってしまった。
かすみんが動くたび、かすみんの賑やかな動きに連動して椅子が揺れる。これはかすみんがこの映画の主役であり、視点であることを示唆してるんですよね。(MX4D深読みおじさん)
虹ヶ咲、唯一苦手なところというか、反発を覚えそうになっていたのが、根本的に資本主義すぎる(東京すぎる)ところだったが、映画は東京を離れてますます資本の暴力をやっていて笑ってしまった。
でも、さっき書いたように、巨大コンテンツの側からこのメッセージ性が表現されることに虹ヶ咲の唯一性があるとも思っているので、表裏なのだろうなとも感じている。
MX4D的に一番面白かったのが、エマさんと赤嶺天さんのライブシーンの前に風が吹いた時、いい匂いがした瞬間だった。エマさんいい匂いしてワロタ。次点は桜坂しずくさんのマッサージに連動されて足が刺激されるところ。
コロナ罹患後、嗅覚障害が一番長く続いて、結構直近まで繊細な匂いは嗅ぎ分けられなかったのだけど、エマさんいい匂いしてワロタと思った瞬間、ようやく匂いが分かるようになった自分を認識することになった。
ラブライブで嗅覚を取り戻し、当たり前の日常が当たり前ではなかったことに気づかされることになった。ありがとうMX4D……。ありがとうエマ・ヴェルデさん……。
これ、本当は他のアイドルもライブシーンの前にいい匂いがしてたのに、エマさんの時だけしか気づけてなかったとかだったらどうしよう……。
第2章も楽しみです。映画の本筋とは別のところでめちゃくちゃ笑ってしまうため、次は少なくとも1回目はMX4Dじゃないので観ようと思います。