詩を書いてみる 「暗記じゃない。記憶」
自分の人生を暗記じゃなく記憶している
どうしても叫びたくて
でも叫ぶ言葉が見当たらなかった
「どうか神様」とすがりたくて
でもすがる神様が居なかった
何も与えられなかった
与えてくれる人すら居ないから
一人ぼっちの世界では
何の歴史も作られはしなくて
そんな物必要なくて
孤独に耐える力さえあれば十分だった
自分の人生を暗記じゃなく記憶している
何の温もりさえ無い記憶ではあるけれど
同い年の記憶は今日も
俺が居るだけで少し幸せそうだ
記憶の中には顔の知らない自分が一人
それで良いんだよ
何かを叫んだところで
誰の記憶にすら残りはしない
ちょっと甘えてみたくて
それ以上に甘えられたくて
叶わない夢だと分かってる
夢にすら誰も居ないから
来客の居ないここは
ちょっとの喧騒もありはしなくて
うるさいものはただ一つ
静寂のせいで鳴り響く耳鳴りだけだった
自分の人生を記録じゃなく記憶している
一言で言い表せる記憶ではあるけれど
空っぽではない記憶は今日も
程よく満たされ微笑んでいる
思い返すまでもない記憶を辿る
目的地のない紙ひこうき
目的のないこの人生
出発地点さえ定かではない紙ひこうき
始発点すら分からないこの人生
霧に飲まれた視界も世界も
足元に戻ってきた紙ひこうきすらも
この頭は確かに記憶した
自分の人生を暗記じゃなく記憶している
記憶したところで虚しいだけだったけれど
足元に落ちた紙ひこうきを飛ばす
霧に飲まれて見えなくなった
追いかけ刻まれる白い記憶
程よく満たされていく
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