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BricsCAD®からお手軽に JW_CAD(.jww)に変換してみる

ということで、タイトルの通り BricsCAD から JW_CAD のファイルへ簡単かつコストを掛けずに変換する流れを説明してみようと思います。

用意するもの

  • PDF to JWW Converter
    junkbulk.com さん作のアンライセンスなツール

  • BullZIP PDF Printer
    フリーな PDFプリンタドライバ(有償版で高性能に)
    (標準で入ってる microsoft のやつでも OK)

  • BricsCAD
    バージョンは何でもOK。

  • 変換したい図面
    2D,3Dどちらでも OK

事前準備

Bullzip PDF Printer の設定

用紙サイズの指定は、大抵のプリンタが基本縦が長い方向での設定になっています。そのまま PDF出力すると CAD上で用紙の方向で横の指定をしたものが横長の状態で90度回転して出力されてしまいます。
Adobe の Acrobat とかがあると、一括で回転して横方向にできたりしますが、Bullzip PDF Printer に回転して出力する設定があるので、それを活用して横方向で保存するようにします。

設定手順

1. Windows の設定でBullzip PDF プリンタのオプションを実行します。

Windows 10,11 なら検索すれば出てきます

2.その他のタブを表示して、「ページの回転」で用紙の配置を左90度に設定し、OKボタンで保存します。

Bullzip PDF プリンタの用紙の配置設定

以上です。Bullzip PDF プリンタで出力するすべてのPDFが回転しちゃうので、ほかのアプリで使うときには注意は必要です。

BricsCAD to JWW の変換の手順

1.BricsCADでJWWに変換したい図面を開きます。

BricsCADで開けるファイル形式なら何でもいいので、DWG, DXF, DGN, IFC, RVT, SKP, etcで何でもいいです。3DのファイルでもOK。

PDF に出力出来ちゃえばいいので異尺混在のレイアウトの出力もOK。

2.BricsCAD からPDFファイルを作成します。

BricsCAD から PDFファイルを作る方法は複数ありますが、”印刷”から出力してください。

PDF出力時の注意点

  • BricsCAD では 3D PDFファイルも作成できますが、JW_CADで3D モデルは扱えないので、2D の PDFファイルとして書き出します。

  • BricsCAD に標準で入っている Print as PDF.pc3 ファイルから PDF出力できますが、次のステップで使う PDF to JWW Converter でデータの認識ができないタイプの PDF になるので「Bullzip PDF Printer」や Windowsに標準で入っている 「Microsoft print to PDF」のプリンタを選択して出力します。この理由により、PDF書き出しで出力したものは利用できません。

BullZIP PDF Printer は CAD の利用に限らず PDF やイメージへの出力で小回りが利く結構おすすめなツールです。10ユーザまではフリーで使えたりしますのも小さな組織には助かるポイントですね。

Bullzipプリンタの出力ダイアログ
Bullzipプリンタの出力ダイアログ
Bullzip の設定でダイアログ表示なしでの出力も可能です。
作成された PDF ファイル

3.書き出した PDFファイルを PDF to JWW Converter で開いて変換する。

PDF to JWW Converter に出力した PDFファイルをドラッグ&ドロップして開けます。

PDF to JWW Converter の使い方は難しいことはなく、ファイル選択して変換するページの指定(1,3,5 や 1-12 などの範囲指定も可能)と、用紙と縮尺の指定、あとは必要なオプションを有効にして「変換」ボタン押すだけです。

用紙サイズと縮尺は PDFファイルに書き出した際の設定をそのまま使えばいいです。

PDF to JWW Converter のダイアログ

PDF to JWW Converter で、PDF ファイルデータ的に扱えるタイプが少ないようなので、今回の記事では出力するプリンタを標準のPDFドライバから変更して出力しています。
対応しているデータであればボタン一発なので楽ですね。

4.変換したファイルを JW_CADで開いて確認。
変換できているか確認します。

変換したファイルを JW_CADで表示した状態
文字が一部つながって1つの文字列になってたり、レイアウトを出力したものだとビューにかかる図形がうまく切れていない状態で来ちゃったりすることがありますが、サイズなどの見た目はそのまま変換されてます。

以上が、BricsCADから JW_CAD のファイルへ変換する流れとなります。

PDF 経由で変換することでデータ的に、DXF経由で変換する場合に諸々細かく調整しなければいけないような無駄な工程を踏まなくて済みます。

PDF to JWW Converter で扱える PDFファイルの幅が広がったり、コマンドラインでのパラメータ渡しなんかができるともうちょっと色々楽に変換できるような設定ができたりしますが、とりあえず現状こんな感じで費用をかけずに絵的に DWG から JWWに変換できます。

補足:パブリッシュで出力する場合

PDF to JWW Converter で扱える PDFファイルとして出力するためには、BricsCAD 標準のPDFドライバを使わずに出力する必要があります。
そのため、パブリッシュでは、パブリッシュ設定にある PDF の出力設定を使わずに、「ページ設定のプリンタ」で Bullzip PDF Printer などのPDFドライバを使用して出力する設定にして出力する必要があります。


個人的に、JW_CAD はデータ的に貧弱すぎて、すでに技術的負債のポジションになっているので、「いい加減仕事で使うのはやめようよ。」って思ったりしています。

貧弱なデータ構造に合わせるための無駄な変換にかける非生産的な事に消費されるコストは省かれてしかるべき内容なので、手間は JW_CAD ユーザ側で負ってくれ。的な対応という意味で、この内容は有用ではなかろうかと思いまして記事にした次第です。

PDF to JWW Converter 側でPDFレイヤーの活用やフォント指定の対応とか、コマンドラインでの処理とかで高機能化されるとさらに手間なく綺麗に変換できると思いますが、PDF を処理するの結構難しいのよね。😅
(要望があるなら junkbulk.com の開発者さんに相談してみると良いかも。)

JW_CAD は、手書き図面の延長で図面の"画を描く"という点では長らく使われてきたツールではあるので、お金のない自治体や貧民が使うのをやめることは当面ないだろうなというのもわからんでもないですが、DX に向かないCADであることは間違いないので、JW_CAD 使うくらいなら FreeCAD 使ったほうがだいぶ良いと思います。

ということで、BricsCAD から JW_CADの.jwwファイルを書き出す方法として、PDF経由で変換するのはありじゃね?な記事でした。有償ツールでやるならBricsCAD のアドオンでもスタンドアロンなツールでも、色々とあるので、探してみるといいでしょう。

逆の変換は BricsCADの標準機能で PDF経由で出来るしな。ってことで。

ではでは。

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