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2025/1/25(土) IDLES
外人と話す男がいる。日本人なのかはわからない。フード付きのジャンバーを着た黒人男もタトゥーまみれの白人女も山羊髭の赤ら顔も汗だくだ。俺の左腕の革ジャンが人いきれで重たくなっている。重心を後ろに移して高く跳ぶ構えの男がいる。サークルピットがイソギンチャクみたいに開閉する。Joe Talbotが大阪は美しい、大阪ありがとう、と連呼する。Mark BowenとLee Kiernanがサークルピットまで降りてノイズを奏でる。ベースは新顔で太っちょに変わっている。Danny Nedelkoが始まり、あと少しでライブが終わる。Jon Beavisか背筋を正してドラムを叩きつける。気違い染みているが美しいドラマーの首元で金色の太いネックレスが光っている。Jon Beavisが手を振りながら下手へ消えると客電が点いた。白地の床がアルコールと水分で反射する。ペットボトルを踏み潰す音がする。重たい黒尽しの男が不満げに視線を左右に動かして出口へと向かう。
スマホが頭上で点在する、若者が人海にダイブする、ステージに上がりJoe Talbotと肩を組む。その表情がJoe Talbotとは対照的で露悪的に映るだろう。本日はソールドアウトとなり大変混み合うことが予想されます、コート等の上着をクロークへお預け下さいますようお願い申し上げます。そう言えば開演前に不慣れな声でアナウンスがあった。スマートフォン等での撮影、録音は禁止されております。IDLESの大阪公演は早くに完売になった。会場に入ると理由がわかった。とても狭いのだ。最前列と最後列が目と鼻の先の会場は満員で間隙がない。のっけから肩を左に右に揺らす者、両手を挙げて飛び跳ねる者、Fuckin'××と叫ぶ者。
俺は富士山のようにライブを嗜むつもりだった
が、モッシュが其処彼処で起こる直中にいては、眼鏡とスマホと自分の身を気にかけてしまった。後方は浮島のように一段高い台座になっていて場を眺められるが、先住者に物凄い圧で下へと押し返された。誰かがスマホを高く掲げて空いた手で指差している。口元を二度三度と指で触れて出血の具合を確かめている。胸元あたりで小太りの女が何かを喚いている。みんなが汗だくになって。