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秋の実り 栗の皮を長時間むいた影響で⁉ ツボで改善

 秋は実りの季節、栗は秋の味覚の代表で、栗ご飯、マロングラッセ、渋皮煮、モンブランなど、美味しい料理を頂くためには、鬼皮と渋皮を向く必要がある。硬い皮をむくのは一苦労だ。

 秋の季節に女性3人が立て続けに来診したことがある。
一人目は右肩の痛みを訴えは35歳、二人目はめまいが起こったという55歳、そして三人目は65歳で肘のしびれに苦しんでいた。それぞれ整形外科や耳鼻科の検査では、いずれも異状は見つからなかったという。

 診察したところ、一人目の「右肩痛」は、右手を後ろに回すと症状がひどくなった。二人目の「めまい」は上の棚を見上げるとめまい起きた。三人目は、ドアノブを回すように右手を内側に回すと「肘のしびれ」を訴えた。
「最近なにか特別なことをしなかったか」と話を聞いてみると、3人とも長時間、栗の皮をむいていたことが分かった。
 
 栗の皮むきは、親指から胸にかけて分布している肺経(はいけい)、人さし指から顔面にかけて分布する大腸経(だいちょうけい)の異状を引き起こしていた。
栗の皮は親指と人差し指を使ってむくため、二つの指に連携して動く体全体の動きに影響を与えたようだ。症状こそ異なるものの、同じ経絡から生じたと判断できた。

 これらの経絡のとっておきの4つのツボは、大腸経の二間(じかん:LU2)、曲池(きょくち:LU11)と、肺経の太淵(たいえん:LU9)、尺沢(しゃくたく:LU5)だ。
二間は人さし指の付け根にある関節の前のくぼみ、曲池は肘のシワの外側で骨の際、太淵は手首の内側のしわの上で脈が触れる部位の外側にあり、尺沢は肘のシワの中央辺りで腱の外側の際にある。それぞれツボを指で触れながら動きを確認すると、右肩痛の方は二間、めまいの方は太淵で改善がみられたため鍼を打つと、肩の痛みやめまいは驚くほど簡単に治った。
三人目が来院した時、身体の動きを診たあとに「栗むきをしたでしょう?」と指摘すると、「なぜ分かるんですか」と驚いていた。

 痛みの原因が日ごろの生活にあることは多い。しかしながら、あまりにも当たり前のことだと気にも止めない人が多い。診断と治療の基本は日常生活を把握すること。無駄な検査の繰り返しは、時間と医療費抑制の点から考えても問題が多いようだ。

ちなみに、季節の行事による過負荷が起因すると推測された症例は他にも多々経験した。例えば、春のいちご摘み、初夏の梅仕事、餅つき、そして庭の草むしりや畑仕事など。年一回の楽しい恒例行事が身体に負担になっているとは気づかないものである。
ここで紹介した症例のように、肩痛、めまい、肘痛など、どんな症状として現れるかはそれぞれの身体の使い方や年齢などで異なることを付け加えておきたい。

今年も「栗むき症例の時期ですね」と常連の患者さんが訪ねてきた。

症状は異なるが、同じブロックの動き=同じ経絡の異常

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