寂しさ
考えても仕方のないことを考えて、自ら苦しさに飛び込んでゆくこのスタイル。
「住む世界が違う」って、頭の中で鳴り響く。これは警告音なのか、それとも。
一体わたしはどこに住んでいるというのだろう。
私は自分の住む世界に仲間がいない。
いいや、はじめから一人の世界にいるのかもしれない。
閉ざしているつもりはないのに、来客もないじゃないか。
愛したいと思った。
たとえ違う世界に住んでいても、愛することはできると信じていた。
それがいつしか、私の世界に引き摺り込みたいに変わってしまったのかもしれない。
私はただただ寂しい。
自分で自分を構ってあげて寂しさを解消するなんてのは聞こえがいい。
そう、もちろん一人でいるときはそれでいい。
けれど、愛に囲まれた人と会い話すと、私は私では埋められない、どデカい穴を自分の中に見つけてしまう。
これをどうしていいのか。もう、何十年も分らない。
寂しい。
誰も私を知らない。
分かってくれない。
寂しい。
誰も私を愛してくれない。
私は誰も愛せない。
寂しい。
私は「大切」じゃなかった。
ただ安心して、その温もりの中で眠りたかったよ。
小さな私はその人に頭を撫でられたくて、近所の優しいお兄さんに会うみたいに、会いに行く。
理性的で打算的な私はそこに意味を見出したくて苦しい。
「ねえ、それじゃあ都合のいい子になっちゃうんだよ」
「そんなんじゃいけないよ」
「ある日突然捨てられて悲しくなるんだよ」
「覚悟のない人に身を寄せるのは危険なんだよ」
小さな私は理性的で打算的な私にそう言われる。
だから、これ以上は、これ以上はいけないって立ち止まる。
たぶん、きっとそれは「正しい」。
理性的で打算的な私は、「足りない寂しい一人にしないで」って泣きそうな私を引っ張って帰る。
そうかと思えば、「これは大人のことだから」って別に撫でてもらいたくない人の温度を感じさせてくる。
なんで、なんで。
そりゃあ泣きたくもなる。
小さな私。あなたが懐いたその人に、あなたが愛されることはきっとない。
あなたが懐いたその人は、あなたのことを包み込む力がきっと足りない。
その人はまだ幼いの。その人はもうあなたに構う力が残っていないの。その人はあなたの住む世界と全然違うところに住むようになったの。
その人が力を取り戻す頃にはあなたはもう泣き疲れて死んでいる。
でも今その人に愛を求めてもあなたはきっと泣き続けるだけ。
どうして懐いてしまったのだろうね。
どうしてなんだろう。
ごめんね、あなたの目の前に現れたその人のこと「多分この人は大丈夫だよ」って紹介したのは私だね。
私が見誤ったんだ。
あなたをもっともっと寂しくさせてしまった。
あんなににこにこ笑っていたあなた。
ごめんね。
私には、小さな私の記憶から彼を消す力もなければ、彼と完全に引き離すこともできない。
何をしてあげられる。
なにが小さな私にとっていいことなの?
私だって泣きたい。