理系のためのキャリア成功モデル
皆さんは学術論文を読んだり書いたりしたことはありますか?難しい、専門的な研究内容がつらつらと書いてあって、なかなか進んで読みたいとは思えないことが多いのではないでしょうか?ところが、実はアメリカにはいいキャリアのモデルの作り方を検討した論文もあるのです。
今回は、医師と研究者を両立するPhisician-Scientistというゴリゴリの理系人間のために書かれた論文から、成功モデルとメンタリングの大切さについてご紹介します。医師でも研究者でもないよ…と思っている方、読んでみるとどんな職種にも共通するヒントが隠れていましたよ!そして意外にも、この文章は仕事一筋の成功を目指すものではなく、家庭生活もふまえた大局的な「成功」を目指しています。
では早速、キャリアの成功モデルの概要を見てみましょう。
このモデルの外的成功とは収入、出世、リーダー、プロジェクトの予算(研究費)、成果(論文)のこと、内的成功とは今やっている仕事、キャリア全体、そして人生の満足度が挙げられています。
このモデルを見てみると、薄字の項目(社会背景や性格)を除いて、ほとんどの要因がメンタリングによって改善できる可能性があることが分かります。ここに書かれた要因で、今自分に足りないものが皆さん頭に浮かぶのではないでしょうか?では、これまで出会った人の中で同じような悩みを抱えていそうな人はいませんか?その悩みから脱出した人は?あるいはその分野でずば抜けてうまく行っている人は思いつきますか?
今、頭に浮かんだ人に声をかけてみて、アドバイスをもらったり、悩みを共有して対策を考えたりすることで、人生の成功へ一歩近づくことができます。案外、同じ悩みを持っている人は多かったり、また問題を解決して成功した人は是非その経験を周りの人に共有したいと思っていたりして、すんなり解決、あるいは改善できるかもしれません。
わざわざ時間と労力を使ってもらうなんて悪い、と思うかもしれませんが、実はアドバイスをくれた人もあなたに自分の知識や経験をシェアすることでLegacyという形で「成功」の大事なピースを受け取っているんです。(詳細:自分の「成功」を定義する ~万華鏡アプローチ~)
さて、このモデルで挙げられている要因は、残念ながらいつでも「成功」にプラスに働くものばかりではありません。いろいろな要因が作用しあって最終的な満足度や成果につながっていきます。
わかりやすい例を見てみましょう。
残念ながら、今の日本の社会状況では女性であることはそもそもあまり出世に有利とはいえません。そして、家事育児介護の負担も女性に任せられることが多いことは否定できず、少なくとも短期的には出世の妨げになってしまっています。
ここで、組織としてメンタリングやサポート体制が整っていれば、こうした状況を十分カバーし、適切なポジションについてもらう可能性が上がります。
もしこれを読んでいる方が組織の構造や制度を変えられる位置にいらっしゃれば、是非この「成功」モデルの組織の要因の改善を考えてみてもらえればうれしいです。そして今この記事を悩みながらこの記事を読んでいる方も、このモデルをヒントにして今のトンネルを抜け出して、是非その経験を生かして周りで悩んでいる人のサポーターになってあげてくださいね。
参考:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3228877/