映画『アンダーカレント』にホントがある
リリーさん
ガーリィラウンジの2階からこんばんは
もう四半世紀も前の話ですが(こう書くと大昔っぽい)その頃よく遊んでいた友人がリリーさん(フランキー)と知り合いで彼がどんなに面白いのかを毎日語っていました。会うとリリーさんの事ばかり話してました。確かに少し上の世代の大人が面白いと嬉しい。その頃、面白い大人が周りにもたくさんいたけど私はリリーさんに会ったことあるのかは覚えてません。
でもリリーさんがどんどんビッグになっていく様子を映画で見るたびにその頃のことを思い出します。
これはホントの話。
まさかの居眠りからの『アンダーカレント』
最近は旅に出るか、閉じこもって作業ばかりの日々だったので映画館は久しぶり。(当社比)実際はムビチケを持っていた『ミステリーという勿れ』を消化しなくては、と外に出たのですがまさかの居眠りをしてしまって。
#ストーリーは原作読んでいたので追いついてますが
#なんとも残念
このままでは帰れないともう一本。池袋の別の映画館へ。
今泉力哉監督の新作を観ることに。
いつもは観る時は「今日こんな感じの映画で誰が出ていて」を把握して出かけるのですが、劇場トレーラーを見た記憶はあってもすっかり忘れた状態でした。
結果から言うとあんなに長い140分越えの作品なのに寝なかったです。面白かった。
今年の何本かの好きな映画に入るかも
ちょこっとネタバレしてしまうけど(少しだけね)
この夫は理由なく出て行った。(ようにみえた)
探偵が調べたら夫の経歴は嘘ばかりだった。法に触れない程度の個人的な嘘だ。
映画を観てる人はみんな自分の近しい人の事、どれだけわかっているだろうと観ながらちょっと頭をかすめているだろう。
私もそうだ。
でも、嘘をついていることが嫌で自覚できているのなら、今からでも話せば許されることかもしれないし多分愛する夫の事なら、かなえは許しただろう。
夫は息を吸うように小さい頃からその人にウケが良い言葉ばかりを選び、受け答えを予想してうまく嘘を重ねている自分自身が嫌になったのだろうか。
その癖は治せないから「悪いな」と思いながらも、やっぱり本当の自分はあなたには一生見せられないと思ったから自ら消えたのだろうか。
「じゃああなたが好きって言えばいい?」と言う嘘を言われたら本当に殴りたい。
そしてリリーさんに井浦新さん
突然、住み込みで働きにやってくる堀(井浦新)さんも履歴書こそ出せど口数少なく本当のことは語っていない。
最初は働き手として登場するのだから、それは別に腹の立たないことなのだ。彼がどんな秘密を持っていたとしても深掘りしようとしなかった。
でも気持ちが変わるとホントを言ってくれないと腹が立つ。
リリーさんが演じる探偵は最初はうさんくさく、初対面で言葉で痛い本質をつき最後は面倒を見るという。あの場面に笑いを入れてくる天使のような存在に見えた。『人は第一印象では分からないのだ』の良い例。
本当のことは話したくないのだ
まさかの最後の方に夫と再会するシーンがありますが、その時話したことも全部嘘ならばもう仕方ない。もうどちらでも良い。
大体、人と知り合うとまあ第一印象が良ければ良い人。あんまり良くなくてもその後関係がそこそこ良くなったりもする。
細かいことはとりあえずそこまで相手に興味がないからどうでも良いのだ。
では家族だったらどうか?嘘をつかれると一旦腹がたつが長年一緒にいる相手だと、お互い相手に言ってないこともたくさんあるだろうし成長し切った子どもに今日の出来事を根掘り葉掘り聞いたりすることはまず無いから、知らないこともいっぱいだろう。それは嘘をついていることではないんだな。
登場するたばこ屋の爺さんの域に
大体、腹が立つのは相手が自分の思うように行動したり発言したりしないからなんだからって、いつの間にか思うようになった。
これは私の話。
私だって全部話したくないんだからお互い様だ。
と思うと、どうやらもう自分はあの中では街を俯瞰しては降りてくるたばこ屋の爺さんの域だ。長く生きているとなんとつまらないのだろう。(笑)
イライラするのは若い証拠だ。
今泉監督の青春群像劇と今回はちょっと年齢が上の話だなと思って観ていたけど、これだってまだまだ若い話か、と翌日に思っている自分がいます。
本当のことなんてどうでもいい
あ、でも私は特に嘘を作って話す方が色々面倒くさいので本当のことで生きてます。ただ、長くなってきた人生で直近のことしか言っていない人と過去のことを知っている人とではこんなに関係が変わるのかとここ数年で味わってます。
とりあえず映画一本見てあれこれ考えて書き散らすことはできるようにまたなりました。
今泉力哉監督の作品の中では今回ちょっと感じが違うので他の映画も色々見て欲しいです。私が監督の名前で観に行ってしまう数少ない一人です。
ではまた。
明日もご安全に。
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