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就活で問われる留学の本質

giriです。欧州と米国に留学したのち、1年半前に日本に帰国して某外資系企業に勤めています。今回は留学と就職活動について回想します。

大変ありがたいことに、私は留学時に応募した奨学金と研究費(計6件)の採用率、また就活時のES通過率(3社)が全て100%でした。私の経験が、これから留学をしようとしている人、留学後に就活をしようとしている人の参考に少しでもなれば幸いです。

留学はもはや普通

海外留学が珍しかった一昔前とは異なり、今や留学は学生生活のごく一般的な選択肢となっています。これは大学の国際交流の活発化や各種奨学金制度の整備などが功を奏しているものと思われます。私が在学していた大学も、夏休みを利用した2-4週間の短期留学から、半年-1 年間の交換留学、海外大学院との学位取得コースの提携など、多岐にわたるプログラムが留学案内パンフレットに目白押しでした。したがって、短期、長期を含め留学経験のある学生の人数も非常に多くなっているのが現状です。文部科学省の発表によると2019年の日本人留学生の数は10万人を超えており、日本の大学の学生数が290万人程であることを考えると、その割合の大きさがわかります。

このように、留学それ自体は一般に珍しいことではなくなってきています。つまり、学生時代に留学をし、それを武器に日本で就職活動をする人(またこれから留学をしようとしている人)にとっては、ライバルが多い状態であることをまずは認識することが必要です。

「どこに行ったか」ではなく「何をしたか」

多くの日本人は世界大学ランキングトップ10くらいの大学名しか知りません。これは企業の面接官にとっても同じで、アイビーリーグの大学を全て言える人さえほんの一握りでしょう(その内の1校に留学していたはずの私も言えません)。よほどネームバリューのある大学でない限り、留学先の大学名だけで面接官に好印象を与えるのは不可能です。

世界のトップ大学に留学をした人も含め、「どこに行ったか」ではなく「何をしたか」が問われます。先述の通り留学生の数は増えてきているので、その他多数の留学生にはないユニークさが求められるということです。留学で何をしたか。「英語の勉強」は駅前留学でもオンライン英会話できるので当然ダメです。「国際交流」だけでも留学生全員ができるはずなのでダメ。「異国の地で○年間の留学生活を完遂した」という文言だけでは、よほど過酷なサバンナやツンドラ地帯の真ん中にある大学などでないとアピールになりません。

留学先の大学で単位や学位を取ったりすることに加え、何かしらのプラスアルファが必要です。例えば、英語以外の現地語の習得、芸術活動やスポーツを通した交流、日本文化の売り込み、現地文化の輸入、自分にしかできない調査・研究活動の推進などが該当します。これらを客観的に説明できるようにしておくのが就職活動、あるいはこれから留学をしようとしていて留学奨学金などに応募しようしている人にとって最も重要となります。

企業が留学生に求めていること

英語圏に留学している学生に対しては、当然にある程度の英語力が期待されています。多くの場合、ネイティブ並みの完璧な英語である必要はありませんが、ビジネスレベルで通用する英語(英文の記事が理解できる、外国人とメールのやりとりができる、英語で簡単なプレゼンができるなど)は身についているとみなされます。

求める人材はその企業によって多種多様なので一概には言えませんが、更には「物怖じせずに発言する力」や「忍耐力・適応力」などのソフトスキルが期待されることもあるでしょう。

修士課程や博士課程で留学した場合はこれらに加えて専門性が求められるのは言うまでもありません。留学経験者ならどんな人でも採用したい、というスタンスの企業はほとんどありません。自身の専門性に加えてユニークな「国際経験」があるからこそ付加価値をつけることができるのです。

「国際経験」とは結局何なのか?

耳あたりの良い言葉ですよね。なにかの書類に留学の動機や学んだことを書く欄があったら乱発してしまいそうです(お勧めはしません)。広義には海外でのあらゆる経験がこれに該当しますので、海外に住んでスーパーで買い物をして現地のものを食べるだけでも「国際経験」が達成されます。

私は「国際経験」という言葉は「郷に入って郷に従う」とほぼ同義だと考えています。日本人としてのアイデンティティは保ちつつも、現地の習慣に迎合し、徐々に現地コミュニティに溶け込んでいく事を意味します。より具体的には、英語やその他の現地語で、現地の人や他の国からの留学生とコミュニケーションをとり、その多様性を知って自分なりに解釈し、同じ釜の飯を食べ、授業のグループワークをクリアし、生涯にわたる友人を作ることです。新たな環境に適応する力を鍛える、と言うこともできるでしょう。

留学中は様々なトラブルに見舞われます。寮でお湯が出なかったり、授業のRegistrationがなぜか上手くいっていなかったり、レポートの英語が下手すぎて先生に怒られたり、カフェで貴重品を盗まれたり(経験者は語る)。様々な人に助けを仰ぎつつ、時には自分が誰かを助けつつ、トラブルを乗り越え、どんな環境でも生きていける自信をつけることこそが、留学の醍醐味であり国際経験なのです。

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