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④赤ちゃんできちゃった
そんな不思議な夢を見て間もない頃、これまでの感覚にはない体の変化に気がついた。
生理もなんか変な感じである。
「もしかして?」と妊娠検査薬を試してみた。
「あ。陽性??」
「ねえ。どうしよう」
「え。。!どうする?え?産みたい?」
「うん。産みたい!」私は即答した。はっきり言って何も考えていなかったかも。
「そっか。わかった。」
その後お互いの両親に電話で報告した。
私は父から「裏切り者」と激怒されてしまった。
戦中生まれの父にしてみれば結婚=家と家の結婚という意識の強い世代である。
怒るのも無理はないが怒られても仕方がない。
私は弟が一人いるが一人娘で特に父からはとても可愛がられていた。
実家は神戸にあった。
大学を卒業しても帰ってこない私に「卒業したのになぜ神戸へ帰らないんだ。なぜ神戸で就職しないんだ」と毎度のように電話で怒られていた。
妊娠してしまう少し前の話だが、ある時いつものように母からの電話で
「ちょっと。あんたなんで帰ってこないの?
東京は地震もいっぱいあって怖いとこやろ。神戸はええで。地震も少ないし。」
母は地震を引き合いにして神戸へ私を戻そうとしていた。
ところが電話の次の日阪神淡路大震災が起こった。
実家は震災の被害をまぬがれたが、水道などのインフラが止まり、家の中は大散乱だったようだ。
家は半壊との診断をされ、瓦がかなり落ちてしまったようだった。
両親は落ち着かない状況となってしまった。
ニュースを見て心配になり「私帰ろうかな。」と電話で伝えると「あかん。帰ってくるな」と逆に言われてしまった。
そうこうしているうちに春が来て、その5月に妊娠を伝える電話をした次第だった。
両親にとっては大激動の年になった。
結局は生まれてくる子供のためにも結婚を。という話になっていった訳たが、両親は心を整理するのに1ヶ月かかっていた。
後で分かった話だが、大切に育てた一人娘の結婚相手がどういう人なのかどうやら外部に調査を依頼していたようだった。
ヨシの仕事先の事務所に探偵事務所から連絡が来て彼のことを逐一聞いていったという話だった。
「勤務態度はどうか」など聞かれたのだろうか。
ヨシは私の両親にとって「どこの馬の骨かわからない」人なのだ。
家柄、親兄弟の状況なども調べたに違いない。
しかし同じく私自身もヨシのお母さんや家の人から「どこの馬の骨か」と言われていたようだった。
所詮「馬の骨」同士の結婚だ。
まあ無理もないか。
母からはあなたを信用していたのに私達は裏切られた。というようなことを言っていた。
しかしなぜそれが親を「裏切る」行為となるのか。
この年になってもよくわからない。