休学と復学
大学生になって1年生の前期が始まる前、自分がどういう決意をもって大学に通おうとしていたかが思い出せない。念願の大学生になれてめいいっぱい楽しもうというのか、それともうつにならないように慎重に行動していこうということだろうか。後期には復学して、もう授業が始まっているのだが、それにあたって自分がどういう心境でいるのかというのを書き留めておきたいと思う。それと同時に前期と休学中について振り返っていこうと思う。
前期で経験したこと
僕は双極性障害という病気を高校生のときに発症して、今回もそれで結局うつになって休学してしまったのだが、それでも前期通ってみてよかったことはいくつかある。
まずは、大学生活を体験できたことだ。僕は高校を1年留年しているのだが、大学生活に人並みにあこがれを持っていた。授業、学食、飲み会、パーティ、留学生との交流、恋愛など期間や回数こそ少なかったものの経験できてよかったと思っている。前期、メンタルの調子が悪くて、大学にいけてなかったときは、半分本気でもうここには戻ってこられないだろうと思っていた。しかし、大学生活を一瞬でも楽しめたことは大学進学したことを後悔しないだろうと思わせてくれた。
また消極的な理由で大学にいってみてよかったという思いもある。もともと留学に行きたい気持ちが強かったのだが、留学生との交流を通して、ストレスで病気の悪化の可能性を高めたり、お金を使ってまでわざわざ留学に行かなくてもいいかなと思うようになったのだ。これはチャンスや可能性を逃すという意味で消極的な選択だといえるだろう。まだ心理学が先進的な海外の国で勉強してみたいという気持ちもあるが、ただ海外へいきたいという気持ちは薄まった。同じようにボランティアをしたいという気持ちが大学入学前はあったのだが、それも薄れた。
もうひとつ消極的な理由で大学に行ってよかったと思うのは、「興味のある分野」の授業を取れたということだ。地域活性化やミュニシパリズムに興味があって、地域問題解決の授業を取ったりしてみたのだが、思ってたのとは違った。だから、「興味のある分野」を取ってみることでそれが本当に興味があるのか、それともないのかということが分かることは大きな収穫だった。
休学で得られたもの
一番大きかったのは心理学との出会いとセルフケアという概念の出会いだ。前期はストレスをいかに回避するかということを意識していて、飲み会やパーティーなど疲れそうなことは断ったりしていた。もちろんそれは大事なのだが、ストレスを回避するのではなく、どう低減するか、そしてどう発散するかという見方を得ることができた。認知行動療法で、ストレスがたまる場面での考え方を柔軟にしたり(ストレスを低減する)、休み方がスマホをいじっとして横になるしかなかったのが、読書や運動、料理、カフェ巡りなどいろんな時間の使い方をするようになった(ストレスを発散する)。
それらがストレス発散になるのか、疲れるだけじゃないのか、という方は「休養学:あなたを疲れから救う」を読んでみてほしい。休養には、横になり、眠るだけじゃなくいろんなタイプがあることが分かる。休み方で悩んでいる人はぜひよんでいただきたい。
また、認知行動療法やセルフケアに興味がある方はこちらの記事も読んでみてほしい。休み方といえるか分からないが、僕のストレスを軽減したり、発散するやり方が書かれている。
また、スマホを使う時間が大きく減った。休学中はなにもやることがないので、一日10時間以上スマホを見ていたのだが、それが4時間に減り、現在では2時間ぐらいのときもある。(最近また少し増えてしまっているが)もちろん、スマホをあまり使わない人や、スマホを使わない世代の人にとっては多いと感じられるかもしれないが、同年代の人からすれば少ない方だろう。スマホのスクリーンタイムは毎日記録しているのだが、設定から見られるので自分のスクリーンタイムをぜひチェックしてみてほしい。
スマホを使う時間が減ったのはもちろん意識しているからなのだが、セルフケアや自分が価値を置いているものに時間を使うようになったことが要因として大きい。興味のある分野の本を読むことや運動、料理や人間関係など、ストレスも低減されて価値のあることに時間を使えて一石二鳥だ。
そして双極性障害の界隈でよく言われる「低め安定」という意味を本当の意味で知れたのも、この休学期間中だった。これについてはまた別の回で書きたいと思う。
休みではなく、「休学」のメリット
そして、休みではなく「休学」というのが僕にはよかったみたいだ。僕は通信制高校にいて時間はありあまっていたのだが、元気な時は受験勉強をして、またうつになってと繰り返していた。一方、休学は元気になってもなにもすることもしなきゃいけないこともない。だから、自分がどうやったら元気になれるのか、それを維持するにはどうすればいいかを学ぶいい時間になった。受験勉強は僕にとっては強迫的だったので、勉強や仕事をしなきゃいけない期間だったらそんなことできなかった。それが心理学という興味のある学問に出会うことにもなる。
復学にあたっての心境と決意
前期や休学中の話が中心になってしまったが、これが今回書き残しておきたいことだ。
まず休学してよかったということ。この休学でさまざまなすばらしいものを手に入れることができた。もう消極的な休学は勘弁だが、休学や病気というのは自分の生き方をみなおすきっかけになるということを伝えたい。
そして今回の復学には自信がある。それは半学期やっていけるという自信だ。休学中に得たものが自分を助けてくれるという自信がある。これを躁状態ゆえの過信とみるか、それとも自分に対する静かな自信とみるかは読者に任せたいと思う。しかし、一つ言えるのは、前期始まる前このような自信はなかったということだ。