専門的だけど気を付ける必要がある話
今日の内容は療育本筋からはちょっと離れるけど、支援者・親の双方にとって結構大切な話。
内容は「確証バイアス」について
そもそも確証バイアスとは何かというと、自分の考えなどを裏付ける理論や情報だけを、積極的に集めてしまう心理傾向の事を言う。
そもそも人間には自分が考えたことを正当化したいという欲求や自分に都合が良い情報を信じたいという欲求がある。
例えば療育や支援などにおいて、ABA(応用行動分析)はとても有用だと根拠もあり証明もされているが、いまだにABAに対する批判も耳にする。
そして、その批判のほとんどが根拠が示されていないやあまりに希薄なものを根拠としている場合が多い。
もちろんすべての場面でABAが使えるわけでもないし、場合によっては他の療育方法を選ぶ場合も当然ある。
しかし、それはすべての支援・療育方法において同じ事であり、どのくらい多くのスキルや支援方法を学ぶことができるか、それをどの程度うまく運用できるかが専門性と呼ぶべきだと個人的には考えている。
だからこそ、「発達支援事業所 ひらそるの芽」では積極的に色々なタイプの研修に職員を出している。
ちなみに先日、ABAを専門的に実施している人が虐待を行っていたというニュースが取り沙汰されていた。
発達支援事業所 ひらそるの芽も比較的近くだったこともあり、その方に対する情報も多く聞く結果となった。
ちなみにこのニュースを聞いたときにABAを批判している人たちの中には「やっぱり」と思った方もいただろう。
そして、強い確信をもってABAを批判している人がいたのも聞いている。
そのような話を聞くたびにこの「確証バイアス」の話を思い出す。
そもそも何かの情報が正しいのか正しくないのかという事を1例をもって判断するのは非常に危うい。
というよりも、1例だけで判断できるのであれば、世の中は良い支援・療育方法であふれているだろう。
特に支援者・専門家と呼ばれる人たちが、これを根拠としてABAを批判しているのを見ると本当に悲しい気持ちになる。
せめて支援者・専門家と呼ばれる方々には、多くの事象・根拠などをもって、客観的な判断が出来るようになって欲しいというのが、正直な気持ちだ。
そうしないと、自分たちだけでなく支援される側の人たちが不利益を被る形となってしまう。
話は戻るが、該当の人からは多くの聞き取りがなされ、実際に現在行われるべきとされているABAとは明らかに違う手法で支援を行っていたことが表明されているが、その情報は先の虐待の情報に対して非常に少ない。
そもそも支援や療育の最先端の国々ではABAは当然の考え方として様々な支援方法のベースに組み込まれている。
ABAが必要かという議論をしだすと文章が長くなるので割愛するが、個人的にはABAが必要かと聞かれたときには「え?なぜ必要ではないの?」と聞きたくなるレベルの考え方なのだ。
そもそも必要ないと考えている方の多くは、きちんとABAについて学んでいない方が本当に多い。
ABA自体がさっと理解できるような理論ではないので、十分に理解していないと議論が難しい場合も多い。
個人的には批判するなら、根拠などを示すか、きちんと理解したうえでというのが大事と考えているので、議論自体が難しい状況は困るのが正直なところだ。
さて、話は戻るが親にしても支援者にしてもどうしても自分が信じたことを正当化したいという気持ちにはなるが、如何に客観性を持ち続ける事が出来るか、他人の言葉に耳を貸すことができるかというのがとても大切だという事だ。
そして、支援者の方はぜひ分からない時はそれをきちんと伝える事も大切だ。
数年前までであれば、感覚統合理論なども根拠が不十分な療育方法として言われていた。
しかし、ここ最近では厚労省が出している療育方法としてもきちんと根拠が確立されたものとして、変更されてきている。
以前までであればこの感覚統合に関しては、根拠不十分だけど、昔からある療育方法で、肌感覚として効果が理解されている療育方法として実施させてもらっていたが、今後は昔からあり最近効果も実証された療育方法として実施することができるようになった。
このように私も「分からないけどやってます」という支援の状況ももちろんある。
支援方法によってはこういう場合に効果が高いなど、文献を十分読み込めていない物はそのように伝える場合もある。
自分としてはそれこそが誠実に向き合うという事だと考えている。
そして、親の方々に言える事としては同じ親の立場として、自分の子どもの事を調べるときに一度専門家の意見を聞いてほしいという事だ。
もちろん自分できちんと調べつくした自信があるのであれば、親だけで決めても良いが、専門家ですら陥るのが確証バイアスだ。
我が子の事となったときにはやっぱり陥りやすい。
我が家の話になるが、父親の自分は作業療法士、公認心理師、介護福祉士を持ち、妻は作業療法士である。
にもかかわらず、自分たちの子どもの事を考えた際には出来るだけ専門家の意見を聞くようにしている。
なぜかと言えば、自分の子どもだけに有利になるように考えてしまったり、場合によっては我が子可愛さで子どものためにならない判断をしてしまったりするからだ。
そのような判断は結果として、子どもに悪影響を及ぼす場合も少なくない。
だからこそ、専門家の意見を聞くことがとても大切になるのだ。
長くなったが、「確証バイアス」の考え方は理解し、自分たちは出来るだけ陥らないように、陥ったとしても他の人の意見に気を付けるように注意していきたい。
ところで、、、私は少額だがNISAをしている。
そして、NISAの持ってる商品が将来的に上がるという情報を見つめながらにやにやしている。
しかし、その商品が下がるという情報に対してはフッと鼻で笑い、そっと情報を閉じるようにしている。
これが良くないと噂の「確証バイアス」というやつである。
みんなは陥らないようにしようね!!(*´▽`*)