見出し画像

レコード棚を総浚い #67:『Daryl Hall & John Oates / Abandoned Luncheonette』

名曲『シーズ・ゴーン』収録のセカンド。

オリジナルは、アトランティックからのリリースだが、本盤はFriday Musicから重量盤で出た復刻。

大学入試のために『試験に出る英単語』を選ばずに『連想式英単語記憶術』を使った捻くれ者の皆さんは、この盤のタイトルに「あ、晩だと勉強捨てる」を思い出してニヤリとしたのではないだろうか。

ジャケット写真に写る、タイトル通りの「打ち捨てられたダイナー」こそは、ダリル・ホールが高校時代を過ごしたポッツタウンで営業していたロズデイル・ダイナーのなれの果てで、長い間放置されたこの建物は、探し当てた熱心なファンたちによって分解され一片ずつ持ち帰られ、今は跡形もないそうだ。聖地巡礼どころの騒ぎではない。

『シーズ・ゴーン』の出来が際立つ本盤だが、僕は少し違う感慨を以てこのアルバムを愛聴している。
高校時代からの友人であるドラマーと、40歳も過ぎてからススキノの小さなバーで飲みながらこの重量盤を手に入れたと話したら、「ああ、バーナード・パーディーのアルバムな」と返され、「誰それ」「おい!」という会話の果てに、バーナード・パーディー探求の旅を始めることとなった。

パーディー参加のセッションは多いが、本盤『Abandoned Luncheonette』では9曲中7曲でパーディーが叩いているため、集中的に学ぶにはもってこいだ。まだ理解には程遠いが、バーナード・パーディーの名を見かければ、反射的にそのグルーブに耳を澄ますようになった、きっかけのアルバムである。

いいなと思ったら応援しよう!